大前研一のニュースのポイント

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自国民への義務教育改革と、移民政策に着手するべき

2007年01月16日 | ニュースの視点
政府は法律で定める「成人年齢」を現行の20歳から18歳に引き下げる方向で検討に入った。

成人年齢の議論は、単に各種法律の修正という事務的な側面だけを見ていても意味がないと私は思っている。

「義務教育」を改革し、そして「成人としての誓約(儀式)」を整備して初めて意味のある議論になるだろう。

具体的には、義務教育を「6年&6年」の12年制にする。

そして、成人=社会人として立派にやっていけるスキルと人格を有する人と定義し、その教育の中には、現在大学教育の一般教養課程の内容も盛り込むべきだと思う。

そして、この義務教育を修了した者には、立派な社会人としての誓約をさせて、その上で選挙権を付与すればよいだろう。

また、今後の日本を考えたとき、このような義務教育の見直しに加えて、将来日本が受け入れるべき、多くの移民に対する教育制度を確立していくことが非常に重要だ。

今後、日本は間違いなく少子高齢化社会へと移行する。

現状の水準から試算すると、2055年には15歳~65歳という働く年齢層の人口は、46%減るという将来推計がでています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口2006年12月推計」)。

これだけ劇的に減少するとなると、移民を受け入れていく以外に道はないだろう。

現在のところ、50年後には人口の約20%を移民に頼らなければならなくない試算が出ている。

当然、それだけ多くの移民を受け入れるためには、彼らのための教育体制を整備することが必要になる。

日本は、自国民に対する教育改革と共に、来る少子高齢化社会への準備として、外から日本に入ってくる移民のための教育を真剣に考えなければならない段階に入っていることを見逃してはいけない。

政府はこのことを認識し、早急に手を打つべきだろう。

万一、移民政策の準備が遅れてしまうと日本という国家自体の危機に関わる問題になると私は見ている。

若者の人口が極端に少ない人口分布になると、軍隊、警察、消防などの厳しい職業に就く若者が居なくなってしまうからだ。

これは由々しき問題だ。「お金は有り余っていて、軍隊、警察は機能していない国」になってしまったら、「太った豚」よろしく、侵略してくださいと言っているのも同じ状態だ。

人口分布などというのは、将来像が明確に見えているのだから、それに対して先手先手で手を打っていくのが当たり前だ。

政府にはぐずぐずしないで、迅速な対処をして日本の未来を守ってもらいたいと思う。

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