菅直人首相は16日の衆院本会議で「若い人でも障壁なく農業に参加できるよう農地法など法体系も見直す必要がある」との見解を示した。また、農業従事者の平均年齢が65.8歳と高齢化していることにについて「わが国の農業は貿易自由化とは関係なく、このままでは立ちゆかなくなる」と強い懸念を示した。
私はすでに20年以上前に、拙著「大前研一の新・国富論」の中でこの問題を指摘し、2005年までに改革する必要性を主張した。以来「農業は世界の最適地でやるべき」というのが私の一貫した主張だ。
今までのように農業利権だけで政治が成り立っているという状況が続けば、いずれ日本は「国民の胃袋さえ守れない」という時代を迎えることになるだろう。
農水省はこれまで適当な理由をつけて頑なに「農業の開放」を拒んできた。そして、圃場工事で莫大な税金を使って農業整備基盤事業を押し進めてきた。しかし日本の農業の生産性はほとんど向上していない。おそらく「やる気」の問題だと思う。
「(国内で)自由にやっていい」と言われても、オーストラリアやアメリカなど「農業最適地」で自由にやっている人を見てしまったら、モチベーションが上がらないのは当然だと私は思う。
中途半端に日本国内に固執するのではなく、「農業は世界の最適地でやるべき」という考えに基づいて、日本の会社や農民が世界の農業最適地へ行き、そこで作ったものを国内に持ってくるという流れを作ることが重要だ。
そのためには、法整備を含めいくつもの障害を取り除く必要がある。例えばオーストラリアで安く米を作ることができても、現状では日本国内に持ち込むときに一気に値段が跳ね上がってしまう。日本の法律によって物流会社にもさまざまな制約があるからです。
また農業を取り巻く状況を見ると、もう少し大きな問題も見えてくる。この20年間で、農業従事者数は激減し、耕作放棄地は拡大する一方だ。そして、農業従事者に対する税制が優遇されているため、一層この流れが助長されている。
農業利権だけを持っている「農民もどき」が日本には多過ぎると思う。実際のところ、専業農家は全体の2割くらいで、農業利権だけを主張している人が500万人くらい居るはずだ。
今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を推し進める動きが活発化しているが、この辺りの法整備を含めてばっさりと改善していけば話は前に進んでいくだろう。そして、本気でTPPにより「際限ない自由化」を実現しようと思うなら、「農業は世界の最適地でやるべき」という考え方は大切だと私は考えている。
現実的に日本の若者が国内で農業に従事する、というのは考えづらい。まだバングラデシュの若者が日本に来て日本で農業をやる、という方が納得できる。日本の若者がオーストラリアなど国外の農業最適地で農業に携わり、そこから日本に農作物を輸入するという流れをぜひ実現してもらいたいと私は願っている。
【今週の問題解決視点のポイント】
事実として何が起こっているのかを正確に理解し、そしてその事から今後どういった事態に発展するのかを考える。
私はすでに20年以上前に、拙著「大前研一の新・国富論」の中でこの問題を指摘し、2005年までに改革する必要性を主張した。以来「農業は世界の最適地でやるべき」というのが私の一貫した主張だ。
今までのように農業利権だけで政治が成り立っているという状況が続けば、いずれ日本は「国民の胃袋さえ守れない」という時代を迎えることになるだろう。
農水省はこれまで適当な理由をつけて頑なに「農業の開放」を拒んできた。そして、圃場工事で莫大な税金を使って農業整備基盤事業を押し進めてきた。しかし日本の農業の生産性はほとんど向上していない。おそらく「やる気」の問題だと思う。
「(国内で)自由にやっていい」と言われても、オーストラリアやアメリカなど「農業最適地」で自由にやっている人を見てしまったら、モチベーションが上がらないのは当然だと私は思う。
中途半端に日本国内に固執するのではなく、「農業は世界の最適地でやるべき」という考えに基づいて、日本の会社や農民が世界の農業最適地へ行き、そこで作ったものを国内に持ってくるという流れを作ることが重要だ。
そのためには、法整備を含めいくつもの障害を取り除く必要がある。例えばオーストラリアで安く米を作ることができても、現状では日本国内に持ち込むときに一気に値段が跳ね上がってしまう。日本の法律によって物流会社にもさまざまな制約があるからです。
また農業を取り巻く状況を見ると、もう少し大きな問題も見えてくる。この20年間で、農業従事者数は激減し、耕作放棄地は拡大する一方だ。そして、農業従事者に対する税制が優遇されているため、一層この流れが助長されている。
農業利権だけを持っている「農民もどき」が日本には多過ぎると思う。実際のところ、専業農家は全体の2割くらいで、農業利権だけを主張している人が500万人くらい居るはずだ。
今、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を推し進める動きが活発化しているが、この辺りの法整備を含めてばっさりと改善していけば話は前に進んでいくだろう。そして、本気でTPPにより「際限ない自由化」を実現しようと思うなら、「農業は世界の最適地でやるべき」という考え方は大切だと私は考えている。
現実的に日本の若者が国内で農業に従事する、というのは考えづらい。まだバングラデシュの若者が日本に来て日本で農業をやる、という方が納得できる。日本の若者がオーストラリアなど国外の農業最適地で農業に携わり、そこから日本に農作物を輸入するという流れをぜひ実現してもらいたいと私は願っている。
【今週の問題解決視点のポイント】
事実として何が起こっているのかを正確に理解し、そしてその事から今後どういった事態に発展するのかを考える。
これらのハードルは既存の技術と資金で十分に克服できる。
また昨今の地政学的リスクの高まりなどを考慮すると現実化するのはなかなかハードルの高いアイディアだなぁと感じました。
本当に良質な食糧を得たいのであれば、良質な土壌のある土地へ引っ越して自給するのが悪くないかもです。極論ですが。。
水に関しては、明確に日本が世界有数の最適地だし、それを維持する努力も必要かと思います。
日本の農業でも最も大規模化が進んでいる北海道においても、決して世界と戦うには全く十分とは言えないのでしょう。
既に現場レベルでもそういう動きが顕著になりつつあるのに政府のやっていることの的外れさが目に余ります。
コメが儲からなければ野菜やくだものを作れよ。
少しは、自ら切り開く気概をもてよ。
パラサイト農家はもう通用しないよ。
当該国が、国内での供給を優先して海外への禁輸措置をとることは十分予測できます。
戦後の食糧難を経験した世代としては、お金を出せばいくらでも食料が手に入る時代というのが未来永劫続くとは思えないのですが。
よくこういった反論を見かけますが、全くナンセンスだと思います。
もちろん危機管理として100%食糧を海外に依存するのは危険だとは思いますが、TPP等を含めここでの議論はいかに日本の農業に競争力を持たせるかです。
日本の経営者・資本が海外で生産することは工業製品ではごく当たり前に行われていることで食糧だけ危険視するのはいかがかと。
それに日本の高い農業技術を世界の最適地で行うこと自体、食糧危機を回避する上で有意と考えます。
食糧危機に備えて、日本国内の自給率を高めよというのは結構ですが、そのために内に閉じこもれというのでは結局競争力を無くすこととなり本末転倒な結果が待っているでしょう。
当該国が、国内での供給を優先して海外への禁輸措置をとることは十分予測できます。
ってさ…。
じゃあ日本は石油止められたらどうするの?
レアアースは?ウランは?様々な資源は?
それに対する対策は?
食料だけ特別なんて説得力ないね!