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テロとの戦争が自滅的である4つの理由(ジョージ・ソロス)

2006-08-19 02:45:37 | 時事問題
ジョージ・ソロスは、テロとの戦争は自滅的であると断じている。ブッシュ大統領が行っている軍事的作戦に過重に依拠したテロの撲滅作戦が、うまくいっていないと批判しているのである。聞くべきことが多いと思うので、なぜテロとの戦争が自滅的なのかという箇条書きの部分を記録しておく。

第一に、戦争それ自体の性質のために、無実の犠牲者を作り出す。なぜならばテロリストは居場所を隠し続ける傾向があるからである。市民の死、負傷、侮辱は、家族内や共同体内で怒りを生み出し、それがテロリストに対する支持を作り出すことになる。

第二に、テロリズムは抽象である。テロリズムは、テロ的戦術を使うすべての政治運動をひとまとめにする。アル・カイーダ、ハマス、ヒズボラ、イラクのスンニ派の反乱やマハディ軍は、非常に多様な勢力である。しかしブッシュ大統領のテロに対する戦争は、私たちがそれらを区別して、しかるべく処理することを妨げるのである。テロとの戦争のために、イランやシリアとの必要とされる交渉も禁じられる。なぜならばそれらはテロ集団を支持している国家であるからだ。

第三に、テロとの戦争は軍事行動を強調するが、たいていのテロ紛争は政治的解決を必要とするのである。イギリスが示したように、アル・カイーダは、優れた諜報により、もっともよく処理できるのだ。テロの戦争はテロの脅威を高めて、諜報機関の任務を非常に困難にしている。オサマ・ビン・ラディンやアイマン・アル・ザワヒリはまだ捕らわれていない。私たちは、彼らを発見して、攻撃を防ぐことに集中する必要がある。

第四に、テロに対する戦争は「私たち」と「彼らの」間にくさびを打ち込んでいる。私たちは無実の犠牲者である。彼らは加害者である。しかし私たちは、このプロセスの中で私たちも加害者となることに気づいていない。しかし世界のその他では気がついている。これゆえにアメリカと世界のほとんどの間での広いギャップが生じているのである。

A Self-Defeating War by George Soros
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