荻野洋一 映画等覚書ブログ

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人形町「吉星」にて秋の旬を堪能す

2013-09-04 01:50:20 | 味覚
 今夜はうまいもので散財することとする。リーガ・エスパニョーラ開幕、大学の採点と成績表提出、梅本追悼イベントなど忙殺と寝不足の日々を、なんとか乗りきったその一人祝いである。日本橋人形町のわが愛すべき「吉星(きちせい)」にて、秋の味覚に興じることとする。店のHPによれば、松茸の宝楽焼きは「要予約」とある。この陽気だから、まだ国産ものは入っていないそう。それでも電話で予約しておいた(写真は撮ったものではなく、店HPから引っ張ったもの)。
 疲れが出て映画は見に行かず仕舞なり。遅い昼寝のあと、店まで歩く。天狗舞の冷やを二合ほどいただきながら、ふな寿司、鱧の落とし、鱧椀、松茸の宝楽焼き、炊き合わせ。鱧の椀が絶品。小津『秋刀魚の味』で東野英治郎が「ハム?」などと素っ頓狂なことを訊きながら鱧の椀を啜って、「これは結構なものですな」と感想を述べつつ「サカナヘンにユタカと書いて、鱧か」と箸で空中に書くあれである。この時期の鱧は「戻り鱧」といってとても脂が乗っている。
 4席ほど置いたご老人曰く「松茸? もうかい? いったいどこのだい?」 吉星の主人「中国です」 ご老人「中国かい? ハハ、自己満足みたいなものだな」。あらぬ侮辱をもらいながらも耐える。而していただいた松茸、くやしいけれど、味はいいが確かに風味については、去年食べたものの方がもっと鼻をつく風味に溢れていた。鯖と茄子と里芋の炊き合わせは美味。締めに栗おこわを頼もうと当初は思っていたが、炊き合わせまでで満腹。栗おこわはお預けとあいなったが、これも寄る年波というもので、欲望を目一杯発露できぬ怨みは残りつつ、いったんセガフレード・ザネッティにてエスプレッソで酔いざまし(したがって、大好きなサンブーカのショットは入れず)、二軒目にて食後酒で締めると、夜が更けた。


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