荻野洋一 映画等覚書ブログ

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ピ・チョンドゥクについて

2007-06-13 04:14:00 | 
 先月25日に97歳で逝った韓国の名随筆家・詩人・イギリス文学者、ピ・チョンドゥク(皮千得)の死亡記事を読み、興味を惹かれたため、日本で昨秋に邦訳が出た『ピ・チョンドゥク随筆集』(株式会社アルク)を読んでみた。

 なるほど、隣国での高評価がすぐにわかる素晴らしい文集であり、大いに心を打たれた。数ヶ月前にNHKのある教養番組内で、韓国美術の神髄が「清雅簡潔」という一語に尽きると教えられたが、まさに現代文学において、「清雅簡潔」を実践しているのが、この本ではないか。

 特に、戦前の東京留学時代に出会った日本人少女との3度の出会いと3度の別れを、「清雅簡潔」に書き、代表作といわれる随筆『縁』は、韓国で学校教科書によく掲載される定番なのだそうだが、これほど切なく、甘く、痛ましくもあり清々しくもある文章を、多感な十代に読むことになる生徒たちが羨ましい。

P.S.
 映画『僕の彼女を紹介します』にピ・チョンドゥクが引用されていたそうだが、正直まったく覚えていない。大した映画ではなかったので…


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