荻野洋一 映画等覚書ブログ

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悪意について

2009-11-24 01:01:11 | 映画
 私もときどき犯してしまうことなので、あまり偉そうなことは言えないのであるが、単にダメなだけの作品を、へんてこな理屈を発明しつつカルト的に珍重してしまう傾向というものが、世の中にはある。
 私がここ3週間の間に見た新作映画の中には、芳しからざるものが少なくとも3本も(益子昌一『さまよう刃』、犬童一心『ゼロの焦点』、角川春樹『笑う警官』)含まれていた。いずれもなぜか日本映画なのは、偶然か。犬童一心の意外なほどのダメさには驚かされたが、『笑う警官』の意図的でさえあるようなまずさには、協力者や観客に対する製作者の悪意を感じる。少なくとも私は、製作者にからかわれていると感じた。こういうものが安易にカルト化されてはなるまい。演技者たちは人質であるかのように、無意味な長回しの画面内で、愚かな役を延々と演じ続けており、これでは残酷にすぎる。
 それでも恐いもの見たさで、劇場窓口にて、きょうもこういう手合いの切符を買ってしまう。私は『笑う警官』を見たことをまったく後悔していない。そんなことの繰り返しである。


『笑う警官』は、丸の内TOEI 1など全国で上映中
http://www.warau-keikan.com/