荻野洋一 映画等覚書ブログ

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松林宗恵 再見

2009-11-03 22:28:54 | 映画
 録り貯めたHDDはどんどん見て消去していかないと、一杯になってしまって、新たに録画できなくなってしまう。そこで、今夏に逝った松林宗恵(1920-2009)を追悼せんと『人間魚雷回天』『へそくり社長』『社長三代記』『続・社長三代記』の初期作品4本を続けざまに見たが、まったく疲労することがない。『人間魚雷回天』(1955)のラスト、故障のためアメリカの駆逐・空母への特攻を果たせず、すっかり観念しきった朝倉少尉(岡田英次)が、水没した魚雷の中で腕組みして静かに死を待つ姿には、かすかにユーモアすら漂う(魚雷の出入口は出撃時に外側から閉められるため、故障したからといって脱出はできない)。津島恵子は従来まったく好みではないのだが、『人間魚雷回天』では非常に良い。
 きょうみゆき座で見たイギリス映画『パイレーツ・ロック』も海洋もので、こちらは1960年代後半の海賊放送をじつに可愛らしく描いている。快作『ライフ・アクアティック』のイタダキだろう。しかし『人間魚雷回天』を見た後では、どうも見応えがない。

P.S.
 松林宗恵の異色作『ひかげの娘』(1957)についてのレビューはこちらです。