ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

家族の受容

2019-10-09 02:31:00 | 日記
ウチの母はもう何もできなくなっていて…と
心配して毎日のように訪ねてくる娘さんがいる。

かと思えば

ウチの母はまだ大丈夫です。
一人でもっとやらせてください!と
極力、介護サービスなしで頑張らせようとする娘さんもいる。

どっちもありがたいが、どっちも困る。

世話を焼きすぎる娘さんがいると
親はどんどん弱ってしまうし
スパルタ過ぎると
親はなんとか自分で頑張ろうと無理をしてしまう。

キョウコがいい例だ。

先々月圧迫骨折によって
立つことも、トイレに行くことも、食堂までの移動も
自力では困難になってしまったキョウコ。

まだもう少し介助が必要だろうと考えていたが
きのう家族がやってきて言う。

「いつまでも甘やかせていたら
母は一人で動けなくなってしまいます。
どうかスパルタでお願いします」

いや、まだ…
そう言っても、家族は聞かない。

だから今朝から一人で食堂に行ってもらうことにしたのだが…。

あ〜あ、それみたことかい!?
キョウコは歩行器で食堂を歩いている途中
カーブを曲がり損ねて顔面から床に転倒してしまったのである。

幸い顔面と膝の打撲で済んだが
キョウコ本人はひどく落ち込んでいる。
「娘に言われて頑張ったら
かえって皆さんにご迷惑をかけてしまいました」と。

そんなこと、いいのよお。
とは言ったが
実際、立てるようになるまでこっちは大変だ。

介護中の親に対して過保護になるのも問題だが
「ウチの親はまだまだできます。頑張れます」と
過剰な期待をするのはもっと問題である。

介護を必要としている親のできること、できないこと…
その見極めは
どうか毎日見ている私たちにお任せいただきたい。


お手上げ!

2019-10-05 01:43:00 | 日記
久々にサナエの話である。

サナエのエピソードはこれまでもたくさん書いてきた。

(直近では7月12日『ウィッグ婆』と同月16日『洋子』)

部屋中便まみれにしてくれるは
浴室やキッチンの流しを便で詰まらせるは
人のご飯を食べてしまうは…
とにかくいっときも目を離すことのできない認知症であるにもかかわらず
家族は訪問も連絡も拒否!という
まったくもって気の毒な利用者なのである。

そのサナエが、今日もやらかしてくれた。

体操教室が始まる食堂で、騒ぎは起こった。

キャー!
いやだ!
帰りなさいよ!

事務所まで轟く利用者の嬌声に驚いて駆けつけると
サナエが、下半身スッポンポンで突っ立っている。

サ、サナエさん、お部屋に戻りましょう!

職員数人で、慌ててサナエを拉致。
部屋に連れ帰ると
吐きたくなるような便臭がたちこめ
床は便を拭き取った跡が広がり
ゴミ箱には便のついたリハパンとズボンが捨てられており…と
まさしく便地獄であった。

汚いものを脱ぎ捨て、置き捨て
サナエは清々して体操教室に行こうとしたらしい。

同僚のナナミがキレた。
サナエさん、なんでそんな恥ずかしい格好で外に出るの!?

サナエは困惑した表情で答えた。
「そんなことするはずないでしょ?
私、キレイ好きだし神経質なんだから」

お手上げだ。
家族よ、逃げていないで出てきてくれ!
お母さんが人から笑われたり蔑まされたりしないで
暮らしていく方法を
人任せにしないで一緒に考えてくれ!

追伸
自立の多い2階では、その後
この話で持ちきりだったそうである。
そりゃそうだ
自立でサービス付高齢者住宅にいるような人たちは
暇を持て余しているんだから。
だーかーらー
自立と認知症の共生なんて
そんなに簡単ではないんです。




小さな訴え、聞き流すと危険!

2019-10-04 02:32:00 | 日記
昼の食堂で、シゲルが私を手招いている。
どうしたの?
「右腕が痛くて上がらないんだよ」
いつから?
「3日前かな?
病院に行ったら圧迫骨折の跡があるって言われてさ
そのせいか、どうも右手の調子がおかしいんだ」

圧迫骨折のことは聞いていた。
しかしそれは跡があったというだけで
今は特に問題ないという話だった。

ということは
ははぁん、こりゃ精神的なもんだ。
過去とはいえ病名をあげられたことによって
シゲルめ、具合が悪いと思い込んでるに違いない。

はいはい、少し様子を見ましょうね。

事務所に戻ってその話をすると
他の職員もみんな同じ訴えを受けたという。

シゲルさん、心配性だからねえ。
そう言って軽く済ませ
登録ヘルパーが
「これから入浴なんですけど、大丈夫ですか?」
と聞いてきたときも
大丈夫、大丈夫。
痛いんだったら尚更、温めたほうがいいからと
シゲルの入浴援助をすすめたのだった。

帰宅後、同僚からラインがあった。

ーーシゲルさん、入院だって!

あんまり不調を訴えるからかかりつけ医に来てもらったら
これはちゃんと検査を受けたほうがいいという話になり
大きな病院に行ったら
なんと軽い脳梗塞を起こしていたというのだ。

それから3日。
幸いにもシゲルの右手は正常に機能するようになり
来週には退院の見込みらしい。

しかしそれにしても
私も他のメンバーも介護職失格だ。
シゲルよ、ごめん!