ウチの母はもう何もできなくなっていて…と
心配して毎日のように訪ねてくる娘さんがいる。
かと思えば
一人でもっとやらせてください!と
極力、介護サービスなしで頑張らせようとする娘さんもいる。
どっちもありがたいが、どっちも困る。
世話を焼きすぎる娘さんがいると
親はどんどん弱ってしまうし
スパルタ過ぎると
親はなんとか自分で頑張ろうと無理をしてしまう。
キョウコがいい例だ。
先々月圧迫骨折によって
立つことも、トイレに行くことも、食堂までの移動も
自力では困難になってしまったキョウコ。
まだもう少し介助が必要だろうと考えていたが
きのう家族がやってきて言う。
「いつまでも甘やかせていたら
母は一人で動けなくなってしまいます。
どうかスパルタでお願いします」
いや、まだ…
そう言っても、家族は聞かない。
だから今朝から一人で食堂に行ってもらうことにしたのだが…。
あ〜あ、それみたことかい!?
キョウコは歩行器で食堂を歩いている途中
カーブを曲がり損ねて顔面から床に転倒してしまったのである。
幸い顔面と膝の打撲で済んだが
キョウコ本人はひどく落ち込んでいる。
「娘に言われて頑張ったら
かえって皆さんにご迷惑をかけてしまいました」と。
そんなこと、いいのよお。
とは言ったが
実際、立てるようになるまでこっちは大変だ。
介護中の親に対して過保護になるのも問題だが
「ウチの親はまだまだできます。頑張れます」と
過剰な期待をするのはもっと問題である。
介護を必要としている親のできること、できないこと…
その見極めは
どうか毎日見ている私たちにお任せいただきたい。