きのうの夜、二泊三日の東北旅行から帰ってきた。
一泊目は秋田の乳頭温泉郷・黒湯。
こういうのを秘湯というんだろうなあ。
思わずそうつぶやくほどの景観と佇まいだった。
荷物を置いてすぐに外湯に向かう。
四方、山。
硫黄臭にまみれてゆで卵の気分になりながら
手すりをつたって階段を降りていく。
あちこちから立ち上る湯煙。
眼下に掘っ立て小屋のような木造の建物が見える。
あれがこの宿の風呂か。
混浴とは聞いているが、覚悟はしているが、でも
どうか誰も入っていないで!
職業上、男の裸体は見慣れているが
見られるのにはまったく慣れていない。
しかし、すでに男性の先客がいた。
ヒフミンみたいなお爺ちゃんである。
お邪魔しま~っす!
勇気を出して混浴の露天風呂へ。
温泉歴50年という彼は、微塵の動揺も見せずに迎えてくれた。
見知らぬお爺ちゃんと湯に浸かりながら、ほのぼのと時を過ごす。
私たちを囲っているのは空と山と湯煙ばかり。
ああ、極楽とはこのことか。時間よ、止まってくれ。
さ、だいぶあったまった。出るとするか。
でも、どうやって風呂から出る?
入るときは身体の前面をタオルで隠していた。
だが出るときはどうしたらいいのか!?
お爺ちゃんが出るまで待とう。
でも、彼はなかなか出ようとしない。
もしや、あちらも私が出るのを待っているのか?
そういうことなら根くらべだ。
私の方がずっと、おそらくずっと若い。
温泉に浸かっていられる時間は、私の方が長いだろう。
ところがこのヒフミンみたいなお爺ちゃん
いつまで経っても涼しい顔で湯に浸かっている。
負けた。
では、そろそろ失礼します。
そう言っても彼はいたって涼しい顔。
遠慮して横を向くふりも見せない。
しゃあないか。
ここは旅の空の下、恥は平気で捨てていこう。
急に開き直った私は、身体の前面をタオルで隠しながら風呂から上がり
そしてくるりと後ろを向いて
身体の背面を堂々とさらしながら脱衣所に向かって歩き出した。
お爺ちゃんからすれば、私はスッポンポンである。
人懐っこい笑顔で私を油断させておいて
お爺ちゃん、あなた私のむき出しのお尻を見たでしょ?
見てニヤニヤしてたんでしょ?
しかしよくよく考えればこっちも若くない。
お爺ちゃん、もっと若い娘だったらなあ…と思っていたのかもしれない。
だとしたら、むしろごめんなさい、だ。
旅日記を綴ろうと思っていたが
気づけば混浴体験談になっていた。
どなたか、混浴の正しい入り方、楽しみ方を
私に教えていただけまいか?
追伸
2日目は青森に飛び、恐山の宿坊に泊まってきた。
それについては今度余裕のあるときに書くとしよう。
一泊目は秋田の乳頭温泉郷・黒湯。
こういうのを秘湯というんだろうなあ。
思わずそうつぶやくほどの景観と佇まいだった。
荷物を置いてすぐに外湯に向かう。
四方、山。
硫黄臭にまみれてゆで卵の気分になりながら
手すりをつたって階段を降りていく。
あちこちから立ち上る湯煙。
眼下に掘っ立て小屋のような木造の建物が見える。
あれがこの宿の風呂か。
混浴とは聞いているが、覚悟はしているが、でも
どうか誰も入っていないで!
職業上、男の裸体は見慣れているが
見られるのにはまったく慣れていない。
しかし、すでに男性の先客がいた。
ヒフミンみたいなお爺ちゃんである。
お邪魔しま~っす!
勇気を出して混浴の露天風呂へ。
温泉歴50年という彼は、微塵の動揺も見せずに迎えてくれた。
見知らぬお爺ちゃんと湯に浸かりながら、ほのぼのと時を過ごす。
私たちを囲っているのは空と山と湯煙ばかり。
ああ、極楽とはこのことか。時間よ、止まってくれ。
さ、だいぶあったまった。出るとするか。
でも、どうやって風呂から出る?
入るときは身体の前面をタオルで隠していた。
だが出るときはどうしたらいいのか!?
お爺ちゃんが出るまで待とう。
でも、彼はなかなか出ようとしない。
もしや、あちらも私が出るのを待っているのか?
そういうことなら根くらべだ。
私の方がずっと、おそらくずっと若い。
温泉に浸かっていられる時間は、私の方が長いだろう。
ところがこのヒフミンみたいなお爺ちゃん
いつまで経っても涼しい顔で湯に浸かっている。
負けた。
では、そろそろ失礼します。
そう言っても彼はいたって涼しい顔。
遠慮して横を向くふりも見せない。
しゃあないか。
ここは旅の空の下、恥は平気で捨てていこう。
急に開き直った私は、身体の前面をタオルで隠しながら風呂から上がり
そしてくるりと後ろを向いて
身体の背面を堂々とさらしながら脱衣所に向かって歩き出した。
お爺ちゃんからすれば、私はスッポンポンである。
人懐っこい笑顔で私を油断させておいて
お爺ちゃん、あなた私のむき出しのお尻を見たでしょ?
見てニヤニヤしてたんでしょ?
しかしよくよく考えればこっちも若くない。
お爺ちゃん、もっと若い娘だったらなあ…と思っていたのかもしれない。
だとしたら、むしろごめんなさい、だ。
旅日記を綴ろうと思っていたが
気づけば混浴体験談になっていた。
どなたか、混浴の正しい入り方、楽しみ方を
私に教えていただけまいか?
追伸
2日目は青森に飛び、恐山の宿坊に泊まってきた。
それについては今度余裕のあるときに書くとしよう。