ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

そこは覚えなくてよろしい!!!

2020-11-17 23:47:00 | 日記
何を覚えていて、何を忘れてしまうか
認知症といってもそこは人によって全く異なるのだが
私が思うに
一つだけ共通していることがある。

それは、覚えいてほしいことは忘れ
覚えてほしくないことだけはしっかり覚える、ということだ。

例えば
骨折していることを忘れて歩こうとする。
ズボンを履くのを忘れて食堂に来る。
自分の部屋を忘れて他の人の部屋に入ってしまう。
エレベーターに乗るには乗るがボタンの押し方を忘れて
ずーっとエレベーターの中に立ちすくんでいる。

ま、仕方ない。
それがしっかり覚えられるくらいだったら
家族もウチには入居させないだろう。

しかし、だ。

アナタたちはどーして
「困ったら事務所を訪ねる」ということだけ覚えてしまうのか!?

毎日ひっきりなしに
トントンと事務所のドアをノックする彼女たち。

「大変!お米がないの。買いに行かなくちゃ」
ーー大丈夫ですよ、ご飯は三食とも食堂で食べますからね。
「すみません、赤ちゃんにお乳をあげたいんですけど」
ーーアナタに赤ちゃんはいませんよぉ。
「テレビが映らないの。壊れちゃったみたい」
ーーはいはい、見てみましょうね。
(部屋に行って見てみると、大概、延長コードのコンセントが
同じ延長コードのソケットに差し込まれている。
これじゃ映るはずがない!)

訴えの内容は日によって少し違うが
だいたいのパターンがあるので
こちらもそれほど対応に苦慮しない。

しかし入れ替わり立ち替わりやってくると、さすがに発狂寸前。
たとえ認知症の方であっても“接遇”を大切に、と教育されているけれど
高齢者の“尊厳”を大切に、と叩き込まれているけれど
こんな毎日じゃこっちの精神が破壊するわ!!!

ねえ、色々なことを忘れてしまうのは仕方ないけれど
どーしてアナタたちは事務所の存在だけは忘れないの?
自分の部屋を忘れてしまうのに
どーして事務所の場所だけは忘れないの?

どーか、どーか
困ったときに事務所を訪ねてくることは覚えないでくれ!