ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ケイコ日記ーその8

2017-02-17 00:38:18 | 日記
認知症治療薬アリセプトの量を調整したことが功を奏したのか
ケイコの様子がずいぶん落ち着いている。

鏡の中の“女の子”は今でも存在しているが
話しかける言葉も表情もいたって柔和。
攻撃的な言動は一切見られない。

気持ちが落ち着いてきたせいだろう、
ケイコは最近、しきりに生きがいを求めている。

「私、こんな生活をしていたらボケてしまうと思うんです。
だから何でもいいからお仕事がしたい。
たとえば、ここでトイレの掃除をしたりお皿を洗ったり
そんなことでもいいんです。
何か私にお仕事はないでしょうか」

ケイコ~、立派じゃねぇか!

だがしかし
彼女はこのところ排泄が間に合わないらしく
部屋のトイレの床には尿溜まりができていたり
便が転がっていたりする。

夜中に起き出して物を食べることも多く
ベッドや床にはお煎餅や海苔、チョコレートの欠片が散乱している。

ケイコよお~
そんなに勤労意欲があるのなら
まずは自分の部屋の掃除からはじめてはくれまいか!?

ただね、こう思いもする。
専業主婦が誰からも評価されない家事労働より
社会で働き、対価を得たい、認めてもらいたい!と考えるように
ケイコも外の世界で認められたい、自分が生きていることを実感したい
そう考えているんだろうな、と。

あ、だったらこんな方法はどうだ?
彼女はかつて某宗教団体の幹部として
多くの信者から相談を持ちかけられていたらしい。

職員がケイコ教の信者になりすまし
代わる代わる人生相談をしにケイコの部屋を訪れたら
彼女は自分が求められる存在であることを喜び
トイレ掃除に見出す以上の
生きがいや張り合いを持ってくれるに違いない。

……いろいろ、いろいろ考えたら
やっぱり無理があるよねえ。