さじかげんだと思うわけッ!

日々思うことあれこれ。
風のようにそよそよと。
雲のようにのんびりと。

南大門の焼失

2008-02-12 21:21:55 | 
ソウル「南大門」楼閣が全焼・ほぼ崩壊、放火の疑い(読売新聞) - goo ニュース

10日夜に出火したソウル市中心部の観光名所、南大門(正式名称「崇礼門」)は約5時間後の11日未明、木造2階建て延べ約177平方メートルの楼閣が全焼、石組みの土台を残してほぼ全面的に崩壊した。

というわけで、今更ながらこの話題のわけですが、非常に心が痛みますね。
南大門は正式名称は「崇礼門」。1398年に完成した、ソウルで最古の木造建築だったそうです。
ソウルといえば、南大門。テレビなどでもソウルの象徴として、ここからソウルの旅が始まることが多かったですね。
容疑者が捕まったそうですが、理由はどうあれ、これは許されることではありませんね。
韓国の法律には詳しくありませんが、まぁそうはいっても死刑になることはないと思います。
罪状としては、放火や文化財の損壊などでしょう。

日本でいえば、法隆寺(607?)が焼け落ちるものでしょうか。
現に、法隆寺が昭和の大修理の最中だった1949(昭和24)年、修復中の金堂内で火災が発生し、貴重な壁画の一部が損傷してしまいました。
まぁこれがきっかけで、文化財保護法(1950)が制定されたわけで、ただの木造建築が国に住む人間にとっていかに大きな存在であったかということを知らしめる、皮肉な結果になったわけですね。
それから、それ以上に大きな騒ぎとなったのが金閣寺放火事件(1950)ですね。
犯人は当時二十歳そこそこだった学僧だったわけですが、その動機がいろいろな苦悩や厭世感に満ちあふれていたので、多くの人間を魅了し…というと、いささか不謹慎ですか。とにかく、人々を引きつけたわけです。
三島由紀夫(1925~70)は名作『金閣寺』(1956)を書き、水上勉(1919~2004)は『金閣炎上』(1986)を著わしました。
国宝・金閣(舎利殿)が全焼。また、やはり国宝だった足利義満木像をはじめ、6点もの文化財が焼けてしまいました。
このときの学僧が受けた判決は、懲役7年でした。
その後、精神を病み、服役中に病死してしまいます。

いかにも日本人が好きそうな事件ですね。
病んだ若者、権力と美の象徴とその破壊、不義が横行し利で回る現代への反抗。
深い…あまりにも深い事件です。
南大門の方はどうなるでしょう。聞く限り、個人的な恨みのようですから、政治に対する攻撃材料にはなるかもしれませんが、小説の大罪にするにはやや苦しいですか?