さじかげんだと思うわけッ!

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リヤカーマンに見る「やりたいことを、やる」ということ

2008-02-19 21:24:01 | 

そうそう、この間から「リヤカーマン」の話をしようと思っていて、すっかり忘れていました。
「リヤカーマン」というのは、ドテラマンとかあげだマンとかの、そういうコミカルヒーローの類ではありません。ましてや、「アフターマン」(これをモチーフにした歌が、みんなのうたにあったんです)なんかの歌の類でもありません。
とある冒険家の二つ名です。

その冒険家とは、永瀬忠志(1956~)さん。
18歳の時から相棒のリヤカーを曳いて世界を歩き、とうとう4万㎞…地球一周分の距離を踏破したという驚くべき人なのです。
2005(平成17)年には植村直己冒険賞を受賞しました。
その賞を受けた人といえば、登山家やセーラーと実に冒険家らしい冒険家。その中で特に異彩を放つのが、リヤカーマン・永瀬さんなのです。

その永瀬さんをわたしが知ったのは、テレビでしたね。
テレビ東京系『リヤカーマンのでっかい地球!大冒険』という番組で見たんです。
その姿がいかに奇妙に映ったことか。
リヤカーを曳くその姿もさることながら、その冒険スタイルも独特といってよいでしょう。
彼の冒険は、一人が常です。相棒はリヤカー…その名も田吾作4号のみ。荷物はすべてそのリヤカーに積み込みます。

リヤカーってのは、実にアナログな代物ですけど、その土地の文化レベルによってはハイテクです。よい言い方をすれば、モダンですか。そんなものではありませんか。
平成ほど新しくはありませんが、江戸ほど古びてもおりません。まさしく明治から昭和にかけてのモダンさの象徴。
ハイテクは環境の過酷さに弱いものですが、アナログは基本が人力ですから、人の手でなんらかの工夫をすることによって、酷な環境を克服し適応することができます。
その点では、リヤカーは冒険の相棒にはもってこいですね。探検家ロアール・アムンセン(1872~1928)の犬ぞりを彷彿とさせます。
しかし、単純なことであるために、そこには扱う人間の地力といいますか、そういったものが大きく作用します。
ただの車輪ですから、でこぼこ道では立ち往生しますし、ぬかるみに足を取られようものなら、ただ力任せにひっぱればよいというものでもありません。
いかに脱出するか。あるいは、もっと以前にどうすれば、その窮地に落ちないかを考えねばなりません。
そういった意味での、地力。地力を問われるわけです。

冒険の途中は、過酷な一日を過ごします
仕事でも何でもないんですよ。ただ、自分の意地のためにのみノルマがあって、もしノルマを過ぎてしまったらそれで冒険は終わりなのです。
その冒険をリタイアしないために、リヤカーマンは必死にノルマ達成を目指します。
そして、日が暮れればその日の終わりには、自分への褒美として缶ビールをあおるのです。
わたしはこんな人間くさい冒険家を見たことがありませんでした。わたしの中で、冒険家といえば「=超人」だったんですけど、これでがらりと印象が変わりましたね。
今まで冒険といえば、何というかそれこそ植村直己(1941~1984)的なものを想像していたのですが、永瀬さんの旅は、本当に挑戦したいからしているんだなぁという風に感じました。
何というか、ジョージ・マロリー(1886~1924)の言葉通りではありませんか。
「つまり、そこに山があるからさ」
という言葉そのもの。
やりたいから、やる。
それは実は相当の覚悟がいります。
社会人になれば、それがよくわかります。高校や大学生のアルバイト程度では、きっと実感できません。
その気持ちを、忘れずに過ごしていきたいですね。