入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     「初冬」 (17)

2015年11月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   所々に日が射しているが、権兵衛山は雲の中(昨日の撮影)

 今にも雪でも降ってきそうな寒々とした灰色一色の雲に覆われている。 気温2度C、昨日の朝より6度ばかり低い。この温度差は、1千メートル位の標高差で生ずる気温の差に匹敵するはずだが、昨日と比較してそれほど高所に登ったとは思わない。
 
 今朝から、塩とヘイキューブによる鹿の誘引開始時間を1時間早めて、午前9時からすることにした。ただし、鹿がそれらの誘引物を夜間に食べることができないよう、一カ所に集めてベニヤ板で蓋をしてしまうという作業は従来通り日没直前の4時半とし、変えない。給餌の時間を昼間だけにして、鹿の夜間行動を昼間に誘導させようとするこの試みは、19日から始めた。成功している、とまでは言えないかも知れないが鹿の行動時間に変化が出てきたことは、2台の監視カメラで確認できている。
 この後の問題は、鹿の行動をさらにもっと昼型に移行させることができるか、そしてどのくらいの日数をかけたら爆音機の音に鹿を馴化させることができるかということにかかっている。予定されている誘引狙撃開始日までに、これらのことが計画通りに進んでほしいが、まだまだ楽観はできない。
 今週の金曜日あたりから気温も下がるという予報のようだし、雪でも降ればどういうことになってしまうのか、案じられる。

 新聞で、三島由紀夫の自死があってから今日でもう45年が過ぎたと気付かされ、ただただ驚いた。改めて、歳月の疾さを痛感している。生きていればあの作家も90歳とは。時間という川の中で、ほどほどのスピードで流れているのは自分やその周りだけで、遠くなればなるほどその流れは早くなる、と思うのはこんな時だ。

 昨日は「初冬」とすべきタイトルを誤って「初秋」としてしまった。不覚。
 
 静かな山に、お出掛け下さい。
 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「初冬」 (16)

2015年11月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上の写真のダケカンバの木は、おそらくこの牧場の中では二番目に太く、外周は約3メートル20センチもある。目立たない所の大物だ。この近くの、時々ブログに登場する「三本のミズナラ」と覇を競っている。

 今日は久しぶりにM氏がやってきて、山の話で盛り上がった。氏は神奈川のそれなりに知られた山岳会に所属していて、聞いたこと、読んだことのある人や、壁の名前が次から次に飛び出してきた。
 これからまた、貴婦人の丘のの背後にある鹿の誘引場所まで、工作に行く。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「初冬」 (15)

2015年11月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  山は全体が静まり返り、初冬の深い味わいが伝わってくる。落葉を踏む自分の足音だけを聞くともなく聞きながら歩いていると、今日のように風もなく、日の射さない森の中は、闖入者が来るまではまるで無音が支配していたかのようだった。時折、丸裸になった木々の枝の狭い空間を、忙し気に飛び交う冬の鳥がその静寂(しじま)に立ち入るぐらいで、それ以外は森の眠りは守られていただろう。、こんな深い静けさも、季節がが少しづつためるようにして、作り上げたような気がする。
 これまでだと、森に入った途端に鹿の鋭い警戒音を耳にしたが、最近はそれがしない。鹿の作った獣道も、もう幾日も使われているようには見えない。一応罠の見回りを続けてはいるが、そろそろその必要もなくなるだろう。
 それにしても、初の沢流域の白樺とダケカンバの天然林の多さには、いまさらながら驚く。牧場内ではあるが、流域には古い登山道が残っている。今のままでは無理だが、整備すれば入笠の伊那側にまた、新たな魅力のある遊歩道ができるだろう。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「初冬」 (14)

2015年11月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  昨夜は、マナスル山荘本館で開かれた、ある忘年会に飛び入りさせてもらった。北アルプスの船窪小屋の関係者と、小屋を慕う「道しるべの会」を中心にした人々の忘年会で、何とも和やかな集まりだった。山小屋も経営者の人柄や個性が多くの登山者の共感を得て、こうした会が開催されるのだと学んだいい夜だった。

 静かだ。初冬の山の中、炬燵に入って外の薄曇りの空を眺めている。ただそれだけで、1時間でも2時間でも倦まずにいられるような気がする。今は本も、酒も要らない。程よいストーブの暖かさと、甘ったるい眠気の中で、音のない冬の足音だけを聞いている。
 
 こういう山の暮らしを、「One Man's Wilderness」を真似て冬期の入笠でやってみたらどうかとススメてくれる人がいれば、そんなことなぞ、「まだ生臭さが残っているから」無理だと言う人もいた。よく言ってくれたものだ。先日「無理だ」と書いたのは、7か月間も家のことも里の人たちのことも、不本意ながら無視を決めてきたのだから、今度はその間の埋め合わせをしたいと思い書いたことだ。
 生垣はぼうぼう、畑も草だらけ、盆栽はまだ出しっぱなし。柿の実は虚しくからっ風に吹かれるまま、陋屋は荒廃が進む。区議会の副議長とやらも満足に果たせず、来年は組長役もまた回ってくる。しかし、地域社会に生きる以上は、渡世のしがらみから逃げてばかりではやっていけない。
 確かに、田舎の生活は煩瑣な人との付き合いを伴う、避けられない。しかし、そういう生活が多少は変化しながらも守られて、現在がある。あんな家だが、先祖の苦労と犠牲がいっぱい詰まっている。山に籠って仙人を真似てみたり、遁世を気取ることができないというのはそういうことだ。「生臭い」とな、まぁ、過ぎたるオセイジ位に聞いておく。

 そろそろ冬の予約でも来ないかね。
 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     「初冬」 (13)

2015年11月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  突然、まだ20代のころのことを話題にするが、当時は喫茶店でコーヒーなどを扱うバーテンダーのことを、「ソフトのバーテン」と言い、バーなどで酒類を扱う場合は「ドライのバーテン」と呼ばれた。今でもそういう言い方をするのかは知らない。とにかく遠い昔の話である。
 一応、両方を経験した。で、思うのは、そういう世界の変わり方である。例えばコーヒーなどはもはや、かつてのそれと比べたら別種の飲み物と言ってもいいだろう。薄いアメリカンが一般的になり、ミルクや砂糖を入れる人などついぞ見かけなくなってしまった。また、ブレンドが大勢だったのに、ストレートが好まれるようになった。ブレンドにはそれなりの理由・訳があるのだが、流行りに負け、格まで落として一時期すっかり居場所を狭くした。
 またサイホンを使うと味が薄く、軽っぽくなってしまうのにもかかわらず、何故かそれでも一時流行った。このころから、コーヒーの味や飲み方は変わったのかも知れない。
 
 こっちでは滅多なことでもなければ、外で飲むことはない。だからよくは分からないが、カウンターの中で蝶ネクタイをして、チョッキ姿で粋にシェイカーを振るバーテンなぞ、もう、ここらにいるとは思えない。女の店主が品のない笑い声を上げながら、グラスから溢れそうになるまでワインを注いでくれた店なら、連れていってもらったことがある。ビールでなく素性の知れないワインを出すのは、その方が利益率が高いからに決まっている。
 ホテルのバーほど硬くなく、しかし照明を落とした洒落たフロアー、重厚な雰囲気のカウンターを備えたバーが、新宿にあった。50代とおぼしきバーテンダーのSさんと、新潟から出てきたというM子と、気に入らない女主人が閉店間近に来るまで、よく飲んで、話した。会社の先輩のK氏は、このM子が身体を悪くして帰省してしまったときは、雪の新潟まで追いかけて行った。爾来氏は独身を通したようだが、それがM子のせいであったのかどうかまでは、聞いていない。
 
 風俗の世界も、その様相が変わり、古い面影が大分消えてしまった気がする。その一因に、ひょっとしたら焼酎でも関係するのだろうか。
 家にはコーヒーミルや一杯づつ立てるドリップ式の用具、それにアラジンの魔法のランプのようなポットもあったはずだ。山が終わったら一度、遠い昔のコーヒーの味にこだわってみたい。

 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年の営業」、「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする