入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’18年「秋」 (42)

2018年10月08日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 しばらく霧は、放牧地の上や、その背後の雑木林に絡むようにして流れていたが、今ではその林すらも見えなくなってしまった。あの人は「絶好のお出掛け日和」だと言っていたが。
 牛がいなくなってまだそれほど日が経っていないはずなのに、牛の姿の見えない景色にもそろそろ慣れた。考えてみれば4か月は長いような気がするが、1年の3分の1に過ぎない。この風景には、牛のいない期間の方が倍も長いのだ。里に下った牛たちも、どうしているか。今ではここのことを忘れてしまったかも分からない。
 昨日から来ていた4人家族が先ほど帰っていって、ここには誰もいなくなった。静かだが、きょうのような日は恐らく長い1日になるだろう。作業道の排水溝のこと、実生から生えた落葉松のこと、追い上げ坂のカヤのこと、それらの作業に加え、またしてもテイ沢の7番目の丸太橋の架け替えが加わった。まだ現場を見てないが、台風をまじえ幾日も続いた長雨で流木にでもさらわれ、流されたのだろう。

 日が翳ると色付いた森に対抗するように牧草の緑の色が映える。あの牧草の色は黄緑色でいいが、その背後の林の複雑な色柄、黄色と言えばいいのか、橙(だいだい)色と言うべきか、あの葉の色を赤色と見るのかブドウ色と呟くのか、とてもそれでは意を尽くせない。
 目の前のそういう複雑な色彩の広がる風景を身近に感じながら土方仕事を続けていると、時折、秋の柔ら日の光が差し込むことがある。すると今度は途端に、それまでの落ち着いた雰囲気が一変して、賑やかさや華やぎが表れる。
 曇り空の下、いかにもこの季節らしい清楚で上品な落ち着きを感ずる森や林もいい。そしてその一方で、太陽の光を照明のように浴びて、色の鮮さを強調してくる森の眺めも悪くない。何しろ紅葉は「姫君の秘められた恋」になぞられるくらいなのだから、激しくて当然。

 試行錯誤を止めて、金鶏山の東側を悪路に耐えて通うことにしたら、昨日北原のお師匠が電話をくれて、あの辺りを「千軒平」と呼ぶのだと教えてくれた。確かに古い金山周辺のあの平地なら、千軒の家が建つかも知れない。今朝来る時、青柳へ下る分かれ道の道標にも、「金鶏金山」の下に小さな字で「千軒平」と書き添えられてあった。

 秋風が旅に出ろと言ってませんか。小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。






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