戦い済んで、翌朝
昨日も凄い夕立が来た。雷鳴、土砂降りの雨。そんな中、道路作業を中止して管理棟へ戻ってみれば、高座岩へ行った親子6人が帰ってきてない。その中には未就学の子供もいたはずだし、引率していたのは2名の母親である。
天気の予測を充分にしないまま高座岩を勧めたりしたことを後悔しつつ、充分な準備もそこそこにとりあえず、時間的には御所平峠まで行けば出会えるだろうと考え、出発した。その前に、もしかしたら戻っているかと、念のためテントに声をかけてみたが返答はなかった。
歩き慣れた山道ではあっても、普段とは状況が違うから気が急く。すぐに雨合羽を通して肌着しか着ていない身体に雨が沁みてくる。雷鳴はなり続ける。誰もがさぞかし心細い思いをしているだろうと思うと、峠までの道が遠い。
期待は外れ、峠に着いても人影はなく、仕方なくもう少し行くことにした。
その間気になっていたことがあった。と言うのは、もしかしたら6人はテントの中にいたのではないかという疑念である。雷鳴と激しい雨音で互いの声が聞こえなかったかも知れず、でなければ、高座岩から戻ってくる一行とそろそろ出会わなければおかしいという思いが膨らんできた。
高見石まで行けばそこから先が見通せると期待し、もしそこまで行っても出会わなければ一度引き返すことにした。テントにいた可能性が一段と高まり、もしいなければ幼い子供たち4名と母親2名、こちらの対応、準備が必要になる。
テントの中は空っぽだった。まだ6人は山の中にいる、事態は深刻になった。管理棟に戻って、着ているものと雨具を別のと取り換え、ヘッドライトや万一に備え子供を背負う場合を考えロープも用意した。
小屋のO氏に後を頼み出掛けようとしたら「帰ってきた」という声。びしょ濡れの子供たちは舗装路の上を流れ下る雨水を川に見立てて、腹ばいになって泳ぐ真似をする者までいる。親もそれほど緊迫したふうを見せない。
呆れつつも、とにかく子供たちを管理人室の隣の10畳二部屋に入れ、ストーブを点け、濡れたものを乾かすように指示した。
その夜、露天風呂では元気な声がして、水中眼鏡とシュノーケルを持ち込み大喜びをしている子供たちがいた。彼ら彼女らは自由奔放で可愛い。母親2名はそれを寛大な態度で見守る。
しかし、親は地図を読むどころか、見方さえ知らなかった。無知から来る怖さ知らずでなければいいがと、今後を案じた。
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本日はこの辺で。