
きょうから師走、12月。寒気が入ってくるというせいか、日は射さず気温はいつもよりか少し低めで、すっきりとしない天気だ。上に行くつもりだったが迷っている。
先日、クマを捕ったから、肉を取りに来いと知り合いの猟師から連絡があり、行ってきた。肉ばかりか、わざわざ味噌仕立てのクマ汁まで用意してくれていて、大いに恐縮しながらも頂戴した。
これまでもクマの出没はあちこちで聞いてきた。しかし、鹿やイノシシのようにクマは有害獣に指定されていないから、原則猟期にならないと捕獲できない。たまに有害駆除で仕掛けたくくり罠に掛かれば、行政の出動を願い、「学習放獣」というややこしい規則、手続きに従い、また山に返してやることになっている。
こんなことをしていたら、そのうちクマは人を怖れなくなるのではと心配していた。ところが、猟期になったら旬日もせずにこういう連絡が入ったくらいで、あちこちで銃声のするこの期間、クマは人を怖れ緊張の中で暮らさなければならないはず、要らぬ心配だったかも分からない。
確かに鹿やイノシシは有害獣に指定されるほど人間界に入ってきて様々な悪さをする。イノシシなど一夜にして放牧地の田圃1枚分くらいが、呆気ないほど簡単に掘り起こされてしまう。
ついでながら、この動物はかなり凶暴、危険でもあるが、この時季の肉、それも脂身が美味い。猟期に入ると、鹿などよりクマ、もしかすればクマよりかイノシシを狙う猟師の方が多いかも知れない。
他方クマはたまに人里に出てきて人を驚かすが、有害獣には指定されていないくらいだから、その被害はそれほど大きくはないのだろう。瀬戸内の島でクマの被害が報じられていたが、本気で駆除に乗り出せばそのうち治まると思う。
北海道では牧場に出没して、牛を襲うナントカと名前まで付いたヒグマの話も聞く。雑食のクマが肉の美味さを覚えてしまったせいで、言葉の通り味を占めてしまったのだろう。この被害は甚大だ。
用心深く、また賢いクマのようだが、かなり話が脚色されているようにも感ずる。遠からずこのクマも、猟師の手で屠られる運命にあると思う。
こうして見れば、クマの被害もないわけではないが、それでも話題性がどうしても鹿やイノシシと比べクマには不利に働く。特にマスコミに取り上げられると、話に尾鰭が付く。
クマの肉を頂戴した猟師のAさんと話したことだが、野生動物について伝え聞かされてきた話の半分くらいは、眉に唾を点けて聞いた方がいいというのが結論だった。
どこかで聞いた科白「正しく怖れる」、これが簡単ではないことは今や多くの人が知っている。
本日はこの辺で。