今朝の空は夏空というよりか、初秋の空を思わせた。きょうも御嶽山や乗鞍、穂高や槍も良く見えた。晴天続きのため雨が不足してか、草の穂がまた一段と黄色味を帯びた。まるで盆が終わった8月中旬のようだ。ズミやクリンソウの花が咲く初夏のころから、季節の進み方が半月くらい早いと思ていたが、夏もここでは、またそんなに早く終わってしまうのだろうか。
中間検査のため、朝一番で状況を呑み込めない牛たちを集め、第1検査場まで追い落とす。下に降りた牛たちは一度囲い罠に入れ、ここにいる和牛3頭を含む8頭の牛と一緒にして、検査場の囲い(パドック)に入れる。牛は群れにした方が扱いやすい。ところが心配した通り、例の性悪の和牛3頭が警戒して言うことを聞かない。まるで馬のように広い罠の中を走り回る。
それでも検査場の牛を何度か罠に入れ直し、一緒の群れにして、やっと目的の柵内に追い込めた。時間ばかりでなく、人も牛も、これだけでかなりの運動量を消費したはずだ。
約2ヶ月近く、自由気ままに暮らせた牛にしてみれば、さぞかし大迷惑だったろう。残りの2ヶ月をここに留まる牛、出産が近付き里に下りていく牛、新たに下から来て放牧される牛・・・。牛たちに分かるわけでもないが、トラックに乗るのを渋る牛たちに、せめて手荒なことはしないで見送ってやろうという気にはなる。
鳥の声が聞こえる。一日が終わろうとしている。牧場の夕風ほど爽快で、その夕暮れほど人の気持ちを落ち着かせてくれる場所もそうないと思う。もうこの呟きを終えたら、ここですることは何もない。全てから解放された気分と、それなりの充足感をもう少し味わったら、いつもの夕暮れの山道を帰っていくことにする。
8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。