入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「春」 (31)

2018年04月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 高遠城の「天下一」とか言われている桜に「満開宣言」が出たと、きょうの新聞にあった。宣言は昨日のことのようだが、生憎天気はあまりパッとしない。曇り空でやたら風が強い。

 昨日、経ヶ岳の写真をここに載せたら、早速案内しろという人が現れた。小さいころからこの山を眺めて育ったにもかかわらず、実は登山の機会が訪れたのはかなり遅かった。東京での暮らしを打ち切り信州に戻った後のもう10年以上も前のことで、その後に冬期に一度途中まで登って以来、経ヶ岳はひたすら眺めるだけの対象になっていた。
 標高は2千296メートルと森林限界より低く、山頂は落葉松の林だった。それでも木々の合間から御嶽山を眺め、また山頂を踏む以前に、途中の伊那谷を見下ろすのには絶好の尾根に立った時も、他の山とは違った格別な感慨を味わった。遠い存在であった人とようやく口を聞けたような、眺めるだけでない結び付きがやっとできたような気がした。
 2,3年前に集落の公民館行事として、この山に登ろうとする計画が立てられたことがあった。残念ながら実現には至らなかったが、経ヶ岳はここらで暮らす人々が朝な夕な毎日眺めて暮らす身近な山で、地元の小学生だか中学生が学校登山として登る山でもある。近年になって、トレイルランニングの舞台になったとも聞いている。まだかなりの残雪があるから、今すぐにとはいくまいが、牛が上がってくる前の6月のころになればれば登ることができるだろう。
 入笠牧場の管理人になって今年で12年目になるが、考えてみればその間、山らしい山と言えば夏と秋の白岩岳、それに3月の西駒ケ岳だけである。ひたすら入笠だけで、7か月の契約期間以外の冬も通った。この冬は雪が少なく車で上がれることもあったが、2月は3回ともいつもの冬と同じく歩いて登った。何故山に夢中になったかというのと同じく、何故これほど入笠一途で通せたのかよく説明できない、分からない。
 入笠での年月を振り返ると、決して馬齢を重ねてしまったとは思わない。しかし、それでも、折り返し点をとっくに過ぎた今となっては、入笠にズッポリと浸けた足を、少しづつ抜いた方が良いのかも分からない。
コメント
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