きょうから天気は崩れるらしいが、昼近くになってもまだ好天は続いてる。ただ、風が出てきたようで、しきりと梅の花が散っていく。ひとしきらアオバズクの声がしていたが、今は聞えない。
毎年のこのころ「大崎様」のサワラの梢でよく鳴いていたアオバズクは、木が伐られてしまったのでもうそこには来られない。余計なことをしたものだと腹が立たが、1本のサワラの木と古い祠は昔から、恐らく少し離れたあの家の管理だろう。近くに代替の木が見付かったのかと思って喜んで聞いていたが、それほど長いこと鳴き声は続かなかった。新しい木は気に入らなかったのかも知れない。今までお気に入りだった古い木は、あのアオバズクの親から子、さらには孫の代にまで受け継がれてきたのだろうに、鳥たちのことを思えば心無いことをしたものだ。それにあの鳥や声は、この辺の住人にとっては立派な風物詩だと言ってもいい。ボオー、ボオーと、聞きようによっては不気味にも聞こえたが、いつしか心待ちにするようになっていた懐かしい声である。
どうも家々の周囲の古い木がどんどんと伐られている。この陋屋にあった杉、渋柿、ケヤキ、栗、クルミも、今はない。あれば手入れや落ち葉で苦労しただろうが、それでも思い出せばどれも爺さん婆さんのような懐かしさが湧いてくる。葉が茂れば、付近の田に大きな影が落ちると、気を遣って伐ったのだろうが、そんなことに意味があったのかと思うほど、ここの田園風景は変わった。
高遠の桜を見に遠くから来た人たちは、今年の開花が早過ぎて、葉桜を見ることになりはしないかと気掛かりだ。ともかくしばらくは高遠の街は花見客で混雑するだろうから、上にも、山奥氏の隠れ家にも行かないでいよう。きょうの写真も一昨日、松川で撮った桜。