今年は西山(中央アルプス)の雪融けも早いようだ。経ヶ岳もかなり上の方でないと白くない。感じは1ヶ月くらい早く、5月のころの山のようだ。こう呟いてしまうと、その情景をここに添えてみたくなるが、しかしそのためには、外に出掛けていかねばならない。格別に適当な場所も思い付かないし、さてどうするか。
今まさに伊那谷は春爛漫、草木が萌え出し至る所が新鮮で、華やいでいる。コブシの白い花が早くも風に舞っていたが、競い合う桜の花や木々の緑に負けずに清楚可憐な姿を見せてくれていた。
「オレも撮れ」と言ってるようだから、気を悪くさせてはいけないと中アの主峰・西駒ケ岳も念のため載せておく。やはり、雪が少ない。これは単に感覚だが、長年眺めてきた山だけに間違えてはいないと思う。
この5か月の休みがもうすぐ終わる。当初に考えていたシベリア鉄道どころか、秋葉神社にすら行くことができなかった。借金してでも、それなりにあちこち旅をしたころの元気が、どこかに行ってしまった。仕事を放り出しても山に行ったかつての自分は、まるで他人のようだ。いや、昨年に紀伊半島へ5日の旅をしたことすら、遠過ぎる思い出になってしまった。
先日、花に誘われて松川まで行ったのが一番の遠出だとすると、本当に炬燵の虜囚として、ひと冬を過ごしてしまったことになる。呆れる。好天の続いている今、せめて西駒にでも行ってみるかと思わぬでもなかったが、それを実行に移すことは、経ヶ岳の写真を撮るために外出したより数倍も荷の重いことで、果たせそうもない。「怠惰マン!」と呼ばれてしまうかも知れない。
毎春のように、その年の春が一番美しいと思ってきた。今年も同じ感慨を抱きつつ、経ヶ岳の写真のために、天竜川を挟み東西に10キロは走った。その間、こんな写真にはとても写せない見事な春があったことを、この独り言では伝えられないのが残念だ。
KNIさん、通信ありがとうございました。法華道を気に入ってくれたようで、きっと北原のお師匠も喜ぶことでしょう。「粋人、酔人」のあの人も誘って、ご夫婦でまたお出掛けください。