能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

スタッフブログ

インタープリター山崎の日常、スタッフブログ「ゆらりぶらり」も日々更新中です!

能登 多様な冬

2009年12月31日 | 能登 旅の目
年末年始に雪が降りました。
ほとんどとけていた雪も装いを新たにお色直しです。

能登町の内陸部、柳田の道は圧雪の雪道と化しました。

しかし同日に輪島市門前の外浦を走ると・・・このように全く雪が積もっていません!

そのかわりに風が強くて海は大荒れでした。

能登では相対的に温かい海によって海沿いは積雪せず、一方で山を隔てた内陸部は積雪します。
それもほんのわずかな距離の違いで多様な冬の姿を見ることができるのです。
ちなみに主要道はよほどの大雪でない限りは除雪されています。


外浦の富来の町中でかわいらしい家を見つけました。
きっと家族が帰省してにぎやかなことでしょう。






能登 冬の海沿い 2

2009年12月28日 | 能登 旅の目
ずっと関東地方で育ってきた私にとって、冬は毎日晴天でした。
対照的に北陸など日本海側の冬は雲りが多いことを知っていましたが、
能登で暮らしてそれを生活実感しています。確かに11月半ば過ぎから曇る日が多くなりました。

晩秋の内浦。能登町の恋路海岸と羽根。

曇りの日もまた、自然は美しい。

冬の外浦。輪島市の袖ヶ浜。

海の彼方からやってきた北西の季節風がはじめて陸にぶつかるのが外浦です。
風の強い日は痛いほど冷たい。

冬の内浦。能登町の波並。

海からもうもうと水蒸気が立ち上る「けあらし」が見られます。

北陸の冬は関東のそれと比べてはるかに人の心に密接に影響します。
北陸の人は天候をより敏感に意識しながら暮らしています。
それは自然への感受性を高めているに違いありません。

晴天ばかりであまり制約を感じさせない冬を過ごしている都会の人に、ぜひ北陸へ来て頂きたいと思います。
北陸の自然や暮らしを通して「冬」の多様で豊かな価値に気づく体験となるでしょう。

能登 冬の海沿い 1

2009年12月24日 | 能登 旅の目
今日はおだやかに晴れた冬の一日、海も鏡のようでした。

能登の海岸線にもう雪はありません。
海沿いは内陸部に比べて降雪も積雪も少ないのです。

ここは縄文遺跡のある能登町・真脇。
4000年もの間、人が暮らしていた痕跡をたどることができます。
きっと縄文の昔から住みやすいところだったのでしょう。

山の上から海を望むと手前の谷に雪に埋もれた集落がありました。

谷ひとつ、川筋ひとつ違うだけで気温も雪の量もずいぶんちがう繊細さがあります。
日本の自然はそれほどまでに微妙で多様です。特に能登半島は山谷と海が隣接しているので
ほんのちょっと離れただけでも変化が大きいエリアです。

能登の人はわずかな寒暖や積雪の地域差を感じ取る繊細さを併せ持っています。

能登の豪雪地域

2009年12月22日 | 能登 旅の目
私の暮らしている能登町柳田は能登の豪雪地域として知られており、
能登事務所のある当目地区はその中でも雪が多いといわれています。
しかしここ二十年位は雪が少ない傾向が続いていたので、今回の大雪は
12月としては異例のことだったようです。

猿鬼講をした当目の行念寺の前もこんな雪道になりました。


毎日雪が深々と降り続く、まさにイメージ通りの雪国となりました。

今日は午後からずっと晴れて雪解けもすすみ、田んぼの雪原もけむっていました。


冬至のかよわき光が差し込みます。

当目の猿鬼の宮・岩井戸神社の参道は膝まで埋まる雪の道。

川沿いの本殿も雪化粧です。

橋の上には何かの動物の通った跡がありました。

それとも神様の足跡でしょうか。

筋状の雲

2009年12月19日 | 能登 旅の目
冬の日本海で生まれて雪をもたらす「筋状の雲」とはいかなるものか。
これがその正体です。

輪島の沖から能登半島の山へ龍のように横たわる雲の列、

横一直線に連なる積乱雲です。
それが証拠に「一発雷」というどでかいカミナリを落としていきます。

これができるわけはシベリア高気圧の寒気の吹き出しと日本海の存在です。
日本海の海面温度は冬でも15℃~10℃位あり、その上をマイナス数十度の寒気が吹くと
海の上で湯気が立ちます。

それが雲となり大陸から連なる雲の帯となったのが「筋状の雲」なのです。

この湿った重い雲は中部山岳を越えられません。
そこでたっぷり雪を落とし、乾いた風だけが山を越えて吹き下ろします。
太平洋側の空っ風(からっかぜ)がそれです。

雪の日本海側と晴れの太平洋側。冬の気候はまるで別の国のようです。

冬型の気圧配置

2009年12月18日 | 能登 旅の目
数日前から北陸は大雪です。
「日本列島は冬型の気圧配置となり寒気が流れ込みやすい状態で、日本海側の地方は雪が降るでしょう」
と天気予報でいっている時の典型的な状況を現地からリポートします(笑)。

①雪が止んで雲が割れ気持ちのいい青空と太陽が輝く。

②いつのまにか北西の方角から真っ黒な雲が近づいてくる。

③暗くなり雪がちらつき始め、風が出てくる。

④雪がほん降りとなって時によこなぐりの吹雪になる。永遠に続くように思える。

⑤しかし急に雪が弱くなってあたりが明るくなる。

⑥「①」に戻る。これを2時間くらいの間隔で繰り返す。

週間天気を見るとこのさき7日間全部が雪マークになっていて憂うつな感じがしますが
実際にはこのように晴れ間もあり雪も降るメリハリの利いた天気になります。

その秘密は冬の日本海に伸びる「筋状の雲」。
筋状の雲は晴れの領域と雨の領域がはっきりわかれているから空から筋に見えるのです。
筋状の雲が通過するとこのようなめまぐるしい天気の変遷となります。

鉢伏山 エコツアーの意義

2009年12月17日 | おしらせ・情報
日本の里山の自然「放置」が進んでいるのは私たちの暮らしの変化が原因です。
山の幸はスーパーで買うようになり、土や肥料はホームセンターで買い、
暖をとる薪の変わりに灯油を使い、炭は家庭から忘れられ、
そこの山の木を家に使うこともありません。

私たちの暮らしが山を、身近な自然を必要としなくなったのです。
暮らしを元に戻せない以上、過疎化とともに里山の荒廃はこれからもすすむでしょう。

それならば違う仕組みを使って、身近な自然や里山と人々の関わりを回復できないか。
世界につながる今日的なテーマで、その価値を再確認してメッセージすることはできないか。
人々が再び自然に目を向け、里山の暮らしを語り、遠くから人が訪れる地にならないか。
都会の人と能登の人が共に過ごす時間をつくる。
鉢伏山のエコツアーはそのためのささやかな試みです。

自然の生態系や地域の課題を楽しみながら学び体験するプログラムを構築し、
都会の方を対象に「能登びと」による有償ガイドツアーを行います。
1回のツアー人数を6名程度の少人数にすると深い体験を共有できます。同時に、
環境負荷や地域住民の負担に配慮することもできるので丁寧に長く続けられるプログラムになります。
自然環境の保全や地域物産への貢献にもつながる地域に根差した活動。
だからこその「能登らしさ」を味わってもらいたい・・・。

鉢伏山のエコツアーは来春(2010年)から、いよいよ始動します!

鉢伏山 里山として

2009年12月16日 | 鉢伏山
私たちは能登の鉢伏山でエコツアーを構築しようとしています。
それは能登半島における里山の自然・文化の基層をこの鉢伏山が持っているからであり、
大きな意味での「能登ブランド」のひとつの焦点として世界へ発信できる価値を信じるからです。

ここで大切なのは「自然環境の保全」や「自然保護」の考え方です。
世界の多くの地域では自然保護と人の活動は対立します。人の活動は自然破壊であり、
自然保護運動は人による環境破壊をどれだけ食い止めるか、人の活動をどれだけ排除するかと同義です。
しかし日本は違います。

日本の風土は人が手を加えてきた自然が本質です。つまり二次的自然に他なりません。
国土の大半が「里山・奥山・里海」なのです。
何百年も営々と人が手を加え続けてきたことで出来上がった風土は持続性と多様性のある自然の姿です。
日本民族は抑制ある智恵と働きで自然とのベストバランスを実現しました。
日本の自然は強い回復力で豊かな恵みをもたらし続けました。

「里山」という自然と人間の幸福な一致を実現したシステムを日本人は世界に誇ってよいでしょう。
世界のキーワードSustainability(持続可能)やDiversity(多様性)の概念を
日本は独自の叡智として語ることができるのです。

したがって日本の場合、人が手を入れなくなることは自然保護ではなく自然「放置」です。
「放っておけば元の自然にもどるんじゃないの?」というのは大きな間違いです。
なぜなら一度人の手が入った自然は原生だったころの種や環境が失われているためです。
人が関わらずに放置されれば自然のバランスは崩れ、多様性は失われ、
原生の自然にも戻らない荒れた自然となってしまいます。

残念ながら日本の各地で「自然放置」がすすんでいます。
奥能登の鉢伏山も例外ではありません。

鉢伏山 木のコブ

2009年12月14日 | 鉢伏山
前々から気になっていたとあるブナの木がありました。
葉っぱも無くなってよく見えるようになるとなおさら気になります。

ちょっと急な斜面のところですが、今日は見に行くことにしました。

木の幹よりもふくれあがっているモノ。いったいぜんたいなんでしょう。

木のコブですが・・・でかい。

猿のようにも見えるしトンボの顔のようにも見えます。アップにすると恐ろしげで薄気味悪い。

なんらかのキズや感染症が原因で木がコブを形成するのだそうですが
詳しいことはよくわかりません。どうしてこうなったのかだれか教えて下さい!

森にはいろいろな不可思議があります。

鉢伏山 ユラユラして強い木

2009年12月10日 | 鉢伏山
ブナの森の葉が落ちると、足元にある小さな木に目が行きます。
落ち葉の地面に緑色の葉っぱの木。これは小さくなった常緑樹です。

代表的な二つの種をご紹介。
ヒメアオキ(左)とエゾユズリハ(右)。よく似ています。


まずはエゾユズリハ。ユズリハの変種(亜種)で
日本海側のブナ林の林床にこんなふうにふつうにみられます。

ユズリハは本来10メートルくらいの大きな木で縁起ものとして庭木にもなっています。

ところが日本海側ではせいぜい1~2メートル、こんなふうにたよりなーい姿です。

ヒメアオキはどうでしょう。
アオキは緑緑した木で葉っぱで詰まったような樹形になりますが、
日本海側では小さめでスカスカでユラユラ~としてます。

どうしてでしょう?

実はこの頼りなげなユラ~としたところが肝心要です。はい、お察しの通り雪対策なのです。

雪が降ってもいなすようにしなってあまり積もらない、
もっと雪が降ったら受身のごとく倒れて埋もれちゃう、
そして雪がとけたらしなやかに立ち上がって復活します。
柔よく剛を制す!

こうして雪の苦手な常緑樹が「柔らの道」で雪国の気候に適応したのです。

鉢伏山 冬空

2009年12月09日 | 鉢伏山
12月の太陽は最も弱々しくてやわらかな光です。

ブナ林から青い空がよくみえるようになりました。

広葉樹は夏に作った栄養を根に蓄えました。冬には99%の組織が活動を停止します。
春が来るまで眠りにつくのです。

大きなブナも眠りにつきました。

静かで色彩が失われてしまった森でサルトリイバラの赤い実が目に飛び込みました。
食べ物が少ない今の季節で目立てば高確率で鳥や動物が食べに来ます。
消化されない種は排泄され、そこで分布を広げることができるのです。

あれ?これは初夏の花、ツツジ(ユキグニミツバツツジ)です。

冬のツツジとは珍しい。狂い咲きというやつでしょうか。
これまでのところはどうやら暖冬傾向です。

能登らなではの海 外浦

2009年12月08日 | エコツアー能登
個性を極める冬の能登の海。西の海は日本海に面した外浦です。
北西の季節風が吹き始めると手がつけられないほど大荒れになります。
「あらうみ日本海」のイメージ通り、「能登半島ならでは」本領発揮です。

大波が迫る国道を走っていると船に乗っているような錯覚がします。

海は泡立って真っ白。沸騰しているようです。

「日本列島は冬型の気圧配置となり北陸から北の日本海側の地方は吹雪くでしょう。」
という天気予報の日は海も空も鉛色です。

間もなく「波の花」が舞います(これから取材しますよ)。


嵐が去って太陽が戻ってきました。
厳しい自然と人の暮らしの最前線は美しい瞬間もまた格別です。

能登ならではの海 内浦

2009年12月07日 | エコツアー能登
今日は二十四節季の「大雪」。寒いです。確実に冬が動き出しました。
冬は能登の海がその個性を極める季節です。

まず東の海、富山湾を望む内浦。
冬になって空気が乾燥した晴れの日に、海の彼方に雪を頂く北アルプスが浮かびます。

白馬連山・剱立山連峰を中心に左に妙高山~右に薬師岳までの大パノラマです。

海上アルプスは世界にも誇りうる絶景、「能登半島ならでは」です。
特に能登町の海岸線(鵜川~宇出津~小木)は超お勧めです。
地理的好条件のため真正面に海上アルプスが鎮座するからです。


誘われるがままにシーサイドドライブを楽しみましょう!


鉢伏山 昔の道

2009年12月03日 | 鉢伏山
林道沿いにお地蔵さんがあります。その奥には「岳道」と呼ばれる昔の道が
輪島まで続いているそうですが、今は荒れていて途中までしかいけないそうです。
試しにそこへ入ってみることにしました。

やはり草で覆われつつある昔の道がありました。

深入りするのはやめてそばのブナ林に入ってみました。
ここは林道から見えてはいましたが入るのは初めてです。

稜線にある見晴らしのいい森でした。

そしてここにはもっと昔の古い道の跡が残っていました。馬が通れる道です。

長靴がこんなに沈むほど落葉が深く堆積していました。
人が通らなくなってどれだけ経ったことでしょうか。
ここ鉢伏山のブナ林域には古来より輪島と柳田を結ぶ道が通っていた証拠です。


小春日和のような暖かな日に照らされながらしみじみと歴史を感じました。

鉢伏山 落葉層

2009年12月01日 | 鉢伏山
ブナの実を割ってみました。綿毛のようなものが生えていました。

ブナの種はタンパク質と脂肪分で栄養分に富みエグ味もないのでそのまま食べられます。
さて、ブナの実が三角錘をしているのはなぜでしょう?

森は新しい落葉でいっぱいです。カサカサの落葉をよけると湿った落葉層になります。
ここには白い菌糸が見えます。キノコの正体、菌糸体です。落葉を分解しているのです。

ミズナラの大きなドングリはこのあたりで止まってしまいますが、ここから太い根を出しています。
目指すはもっと下にある腐葉土の層。フカフカのできたばかりの土です。
大きな種に蓄えられた栄養をふんだんに使う戦略です。

ブナの実は小さくて三角錘なので落葉層にもぐりこみやすい形です。
腐葉土の層まで実全体が達っしてから発芽します。
ミズナラに比べると省エネ型の戦略です。


腐葉土をさらに掘ると菌糸の張ったトンネルが出てきました。
森ネズミの通り道でしょうか?多くの種が小動物や虫に食べられてしまいます。

穴はずっと奥まで続いていました。意識が虫目サイズになっていたのでちょっと怖くなりました。