大西山には他にも猿鬼伝説のいわれがあります。釜ヶ渕のさらに奥にある
「三岩(みついわ)」です。猿鬼が逃げる時に踏み割ったとされています。
ちょうど割れたところに小川が流れ込んでいます。
となりには「猿鬼の隠れ岩」というのもありました。
全体はこんな感じ。ちょうどせばまったところの右が三ツ岩、左が隠れ岩です。
この奥に続く道は「猿鬼の逃げ道」とされ、だんだん細くなりやがて山道になりました。
途中の斜面の一枚岩に足場が彫られ歩けるようになっています。
もしこのまま森の中を歩いて山を越えられたら猿鬼伝説のハイキングコースになるかも、と
期待して歩いていた私の前に現れたのは・・・木が一本もない山でした。どうしたことでしょう!
木材チップとして自然林・雑木林が皆伐(すべて伐採)された後だったのです。
まるで『もののけ姫』のラストシーンのようです。
境界線となる山の一番奥まで、つまり水源地までこのような有り様でした。
杉の苗も植えてありましたが、しばらくは灌木とササの原の斜面となります。
若い森になるまで10年以上、元の森に戻るまでには50年以上かかるでしょう。
かつて猿鬼が逃げ込んだ山深い森は消えていました。
一本残され、まるで森の墓標です。
猿鬼伝説をたどるウォーキングコースは残念ながら一瞬の夢でした。