能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

スタッフブログ

インタープリター山崎の日常、スタッフブログ「ゆらりぶらり」も日々更新中です!

猿鬼伝説を歩く

2009年09月27日 | エコツアー能登
能登町柳田は奥能登で最も雄大な「猿鬼伝説」の舞台です。

古えの昔、この地で悪さをしていた「猿鬼」を神と人が協力して退治するお話ですが、
「伝説」と呼ばれるそのわけは、由縁あるところが村の地名になっているからです。

むかしむかし、あるところに・・・ではなくて、
ここでこういうことがあった・・・だからこの地名なんだ、と。
ここで矢が目に刺さったとか、血が流れたとか、埋められたとか、
そういうリアル感がすごいんです。

『猿鬼伝説を歩く』は14名の方にご参加頂きました。
各所にある地名由来の石碑とその環境に身を置いて頂き、昔語りを聞くというものです。

この地で生まれ育った地元のみなさんがパーソナリティです。
五田さんは「全国鬼サミット」にも参加した猿鬼伝説の立役者です。
向峠さんは地域の代表として伝説の地・柳田の発展にご尽力されています。
中斉さんは鬼塚(猿鬼の墓)で子どもの頃の思い出を語ってくれました。


昔は「猿鬼の宮」と呼ばれていた岩井戸神社で猿鬼伝説を聞きました。

「とんと昔のことやった・・・・」
語り部「とんと昔の会」の谷坊さんによるお話しでした。

更に「猿鬼岩屋伝記」が伝わる行念寺で1859年の大火以来途絶えていた「猿鬼講」を
復活(昨年から)させるのもこのプログラムの目玉であり大きな意義でもあります。

西田住職のご奉読の後にお講料理を頂きました。


伝説の眠るのどかな里にツリフネ草が美しく咲いていました。

鉢伏山 ようこそキノコ博士

2009年09月25日 | 鉢伏山
今日はキノコ博士にご一緒頂いて鉢伏山へ入りました。
どんなのが見つかるか、楽しみです。

まずブナ林いたるところに生えていていちばん目にするキノコ。

カバイロツルタケです。

キノコ博士をご紹介下さった地元の佐野さんも山全般に詳しい人。
食用のイッポンシメジに間違えやすい毒キノコを持ってきました。
クサウラベニタケです。


これが本物のイッポンシメジ(正式名:ウラベニホテイシメジ)です。
ちなみに能登ではウラベニホテイシメジを俗称でイッポンシメジと呼んでいます。
正式なイッポンシメジは毒キノコです。キノコってムズカシイ・・・。

山頂付近でテングタケの仲間(判別不明)が輪のようになって生えていました。


テングタケの仲間はタマゴのような殻を破って大きくなります。
キノコ博士はためらうことなくキノコを掘り返して割って中を見せてくれました。
ゆで卵のようなキノコの中身には本当に驚きました!

さて、キノコ博士の正体は金沢大学の赤石先生です。
珠洲にある里山里海自然学校に常駐して研究と教育活動を実践なさっています。

よく似ているオウギタケとベニタケの違いを説明している、
若くてハンサムな先生です。

鉢伏山 ブナの結実

2009年09月23日 | 鉢伏山
春に咲いていたブナの花は結実し実を落とし始めました。

不思議なことにブナは5~7年周期で豊作を繰り返します。
それも広範囲な区域で同調して起こるそうでその複雑なメカニズムは
まだ全体が解明されていません。

種子をくるんでいる殻斗(かくと)です。


このように殻斗が先端から四つに割れて種子が落下します。

種は2個入っていました。

ブナの種子は栄養豊富でおいしくて動物たちのごちそうです。

一説によるとブナの豊凶は種子を残すためのかしこい戦略だといいます。

   種子が非常に少ない年  →捕食者である昆虫の減少
     ↓
   翌年たくさんの種子を生産→昆虫の増加率が追いつかない(食べきれない)
     ↓             
   健全な種子をたくさん残す

今年は豊作年になるのでしょうか?


シバグリもたくさん落ちていました。

ぶらり三十三観音の旅

2009年09月21日 | エコツアー能登
9月19日(土)に「ぶらり三十三観音の旅」のプログラムがありました。
ぜいたくにも先生に直接ご説明頂きながら札所を回るツアーです。
今回は穴水から能登島を舞台にしたフィールドワーク・エンターテイメントです。

西山郷史先生は能登の民俗に関する研究で在野の第一人者です。
『能登国三十三観音のたび』の著書があります。


能登は縄文より多くの人が住んでいた恵み多き地でした。
他方、中世より日本有数の修験の地でもありました。
巡礼の地として多くの人々が往来した能登半島にはそうした痕跡が
たくさん残っていることを知って驚きました。


例えば二子山の麓にある明泉寺は平安時代創建の古刹で
鎌倉時代には大伽藍が建ち並んだ真言宗の一大宗教センターでした。
その名残である大きな木造仏像や石造文化の遺品(五輪塔)などによって
往時を偲ぶことができます。

たくさんの神社仏閣がどんなに小さな集落にもあります。
ふつりあいな程大きなお寺にかつての繁栄を想像しました。
地名の由来や龍燈伝説など、知ってなるほどの歴史の旅でした。


七尾湾は今でもほぼ昔の海岸線で、今の風景から過去を遡ることが容易です。
ここに埋め立てや工業コンビナートができなかったのは奇跡的な幸運です。
歴史的風土の現在進行形・・・能登の素晴らしい利点でしょう。

穴水の「風傍」にて恵み豊かな食文化を実感!


昨年は輪島市門前、今年は穴水町と能登島でした。
来年のコースはどこ?・・・今から楽しみです。
ご参加の皆さま、ありがとうございました。

鉢伏山 秋めく森

2009年09月18日 | 鉢伏山
今週はよい天気の日が多くて爽快でしたね。
少し前までうるさかった蚊やアブも少なくなり
山は快適な季節を迎えています。

秋といえばススキ。林道沿いに生えています。
 
いつもすがすがしい森と秋の気配の空。

今週開いた道から、こんなブナがよく見えるようになりました。


 
西洋絵画のような空気感です。森で絵を描くプログラムもありですね。

鉢伏山 ブナ林の草花2

2009年09月17日 | 鉢伏山
ブナの落ち葉に咲く春の花シリーズ第2弾!

ショウジョウバカマから少し遅れて春蘭が咲きます。
シュンラン・・・美しい響きです。が、能登ではなぜか「ジジババ」と呼んでいます。

この形状、どうしても「宇宙戦争」の宇宙船を想像してしまう私でした。

落ち葉の地面にはこのツヤツヤとした丸い葉がたくさん顔を出しています。
オオイワカガミといいます。イワカガミよりも葉が大きい日本海側の固有種です。



少し遅れて咲く花はこんなに可憐です。

これらの草花は、ブナが落葉して暖かな日光が十分に林床に注ぐ早春に
大急ぎで花を咲かして葉を伸ばします。
ブナの葉が茂って森が暗くなるとじっとがまんして、また春を待つのです。

鉢伏山 ブナ林の草花1

2009年09月16日 | 鉢伏山
ブナ林は極相林ですが、決してブナだけが生えている森(純林)ではありません。
たくさんの森の仲間がさまざまにすみ分けているひとつの生態系です。

たとえば、ブナの足元にはこんな小さな草がたくさん生えています。

これがおどろくほど可憐な花を咲かせるんだからびっくりです。

時は早春。
まだ冬景色の落ち葉の地面(林床)にみずみずしいピンク色の花。

ブナの葉が出る前の明るい落ち葉の森でひときわ輝いています。

きれいな打ち上げ花火のようにも見えます。

でも実ができるころは、こ~んなに伸びてしまって別人かと思いました。

ブナ林のすてきな脇役、ショウジョウバカマです。

鉢伏山 ブナ林=極相林

2009年09月15日 | 鉢伏山
人が手を加えず、自然をそのまま放っておくとします。
すると1000年後には極相林(遷移が完了して安定した森)になります。

日本の場合はふたつの違うタイプの森に覆われます。
暖温帯の地域ならシイの森、冷温帯ならばブナの森です。
太古の日本もそういう姿でした。

シイ(左)の森はモコモコして年中うっそうとしています。鎮守の森の姿です。
ブナ(右)の森は冬になると葉が落ちます。四季がはっきりした夏緑林です。
どちらも豊かな山の恵みをもたらします。

いにしえの日本人はブナの森を歩き見上げて暮らしていたのでしょう。
私たちがブナ林に入ると心が落ち着くのはDNAに刻まれた記憶のせい?


森を見上げて寝ころぶとふつうの人なら10分で眠ってしまいます。

森の天蓋からチラチラと見える空を「緑の目」といって、
これには導眠効果があることが科学的に確認されています。

鉢伏山 ブナの葉と花

2009年09月14日 | 鉢伏山
ブナの葉と花をお見せしましょう。

ブナの葉は子どもが描く絵のような葉っぱです。
中指の長さくらいでちょうどよい大きさです。

ふわふわ波うってやわらかい感じがします。
葉脈のところがへこんでいるのが特徴です。

硬くとがった冬芽は4月の上旬にはふくらみ始めます。

鱗片が風で散るとふわふわの新芽が一斉に開きます。

樹冠の若葉は力強く明るい緑に、森の中の若葉は赤みがかって芽吹きます。

ブナは2週間くらいで山を緑に変えてしまいます。あっという間です。
他の木々はまだこれから新芽を出すという段階で日光を占有してしまいました。

それと同時に花を咲かせ、4月下旬から5月に満開となります。
雄花は集まって(雄花序)垂れさがります。


雌花(雄花序)は上向きにつきます。

花を咲かせるブナは樹齢40~50年以上のものだそうです。

鉢伏山 もっと奇妙な樹形

2009年09月11日 | 鉢伏山
異形ブナたちの「極めつけ」をお蔵出し致します。
いったい何に見えますか?



 ・・・自然の造形の神秘であります。

ちょっと変な方向になりましたのでお色直しに、
私が「クイーン」と呼んでいるブナをご覧ください。

林道のすぐわきにあって林道開削の時にずいぶん枝打ちされてしまったようです。
それがかえって、真横から観察する機会を与えてくれました。
ブナ本来の雄大で美しい枝ぶりです。

鉢伏山 ブナの奇妙な樹形

2009年09月10日 | 鉢伏山
鉢伏山のブナ林には奇妙な樹形も数多く見られます。
このエリアのひとつの特徴かもしれません。
よかったらブナの森にいらっしゃってネーミングしてみませんか。
採用の方には名づけの親バッジを差し上げます(笑)。

根元付近で大きく湾曲しているブナ。

その中でももっとも気になるこの曲がり方。

オオダコのような大木や怪物っぽい異形の木。
 

摩訶不思議に根元から分岐したフォルムいろいろ。


まだまだ続きます。


鉢伏山 ブナの雄大な樹形

2009年09月09日 | 鉢伏山
ブナの個性は樹形に極まります。
容易に個体識別が可能で、人格化してしまいそうです。
つまり「また来たよっ!」って言いそうになります(いや、言ってるかも)。

森でも一二を争う雄大樹形「やまびこの木」
ここでやまびこをするととてもよく響きます。

私のお気に入りの木のひとつです。

これも私のお気に入りの大木で主幹が四本に分かれています。

見る角度によってずいぶん雰囲気が変わります。

楽しく語らっているようなブナ。

カミナリ竜のような質感のブナ。重量感があります。
この恐竜の首のつけねみたいなところにまたがって休むと、快適です。

鉢伏山 ブナの幹

2009年09月08日 | 鉢伏山
ブナという木は不思議です。なにか人の心をとらえて離さない特別な存在感があります。
でもふつうの人からすれば「ぶなブナ騒いでいるけど、いったいなんなの?」
という感じでしょう。ではブナの木とはどんな木なのでしょうか?

まず幹を見てみましょう。明るい灰色ですが、ツルっとしたものやざらついたものまで
表面のテクスチャーは様々。一本一本それぞれ個性的です。

よく見てみるとパッチワークのような独特の模様があります。
これはブナの樹皮につく地衣類(藻類と菌類が共生した植物)のせいです。
この模様にはひとつとして同じものがなく、これもまた個性的です。
ブナの魅力のひとつはこういった幹の「顔」にあります。

ところが雨が降るとあっという間に人が変ったように濃いグレーに変身です。
 
根元は蛇口をひねった水道のようです。写真の白い3本の筋がそうです。
広げた葉や枝から雨水が伝って幹の表面をどんどん流れるのです。
根元に確実に水を集めるための巧みな戦略でしょう。


鉢伏山 新しいブナの森

2009年09月07日 | 鉢伏山
これまでのプログラムをしてきたブナ林は稜線上のフラットなスペースでした。
いま新しく道を作っているブナ林には高低差があります。
上から見下ろしていた斜面の森を横から見る感じです。

上の方は明るい森です。立派なブナの大木もあります。
下の方へ降りるにつれて、森は暗めになってゆきます。

奥行きと高さによる変化を感じることができ、鉢伏山のブナ林に新たな魅力が加わりました。

鉢伏山 ルート探し

2009年09月04日 | 鉢伏山
いま、森閑なる水源エリアへ続く新しいルートをつけています。
未踏の山の中に分け入り、感覚と感性を頼りにルートを探します。
探検しているようで個人的には一番楽しいです。そのかわり、生傷が絶えませんが。

新ルートにはブナの大木が林立しているところがあってなかなか見ごたえがあります。
霧にけむっていました。

紅葉第一号のウリハダカエデです。

沢へたどり着きました。いつも下りていた沢の出合いよりも少し下流にでました。


沢登りをすれば従来のルートにつながります。

コース中には斜面の急なところもあります。
歩きやすいように迂回しながら下るルートを探索中です。