能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

スタッフブログ

インタープリター山崎の日常、スタッフブログ「ゆらりぶらり」も日々更新中です!

まるやま組のアエノコト

2010年12月17日 | 祭り
輪島市三井のまるやま組で12月12日にアエノコトがありました。詳細はこちら

ヨソモノたちが集まって地域の方に教えて頂きながら、農家であるとないとにかかわらず、
参加型の新解釈アエノコトです。

三井の丸山付近で確認された250種を超える植物名が書かれた和紙の中に栗と松の葉が入っています。
実はこれ、神の依り代です。デザイナーの発想はおもしろい。

まるやま組は輪島市三井の田んぼのビオトープ生きもの調査を続けています。
そこで「雑草」たちもお供えされました。

田の神様は最上流部のは「まるやま」という古墳を思わせるような特異地形を
取り囲む田んぼからお連れしました。

なんと自然農(不耕起栽培)の田んぼです。
新規就農間もない新井さんが取り組んでいる意欲的な田んぼです。

ここは冬水田んぼになっていました。

すばらしい里山風景となっています。

シーズンに来たらさぞのびやかでよい眺めでしょう。

ここでは萩野さんご夫妻が中心になって田んぼビオトープのいきもの調査(毎月第2日曜日)をしながら、
里山のゆたかさ、暮らしのかたち探っています。来年は私もぜひ参加したいと思っています。

奥能登の至宝 あえのこと ③

2010年12月08日 | 祭り
”あえのことシリーズ”のさらにつづきです。初めての人は①からどうぞ。
さて、「田の神様」はタノカンサーともいわれます。究極的には種籾(来年分の稲の種)のことです。
そして畑もつかさどる豊穣と生殖の神です。よって食材は象徴的な意味合いを含みます。

たとえば二股大根は人の形で子孫繁栄というのは分かりやすいシンボルです。

収穫の幸です。
米・銀杏・昆布・栗・黒豆などが農具(一斗箕)の上になれべられます。

煮しめ。うまそー。能登に来て何が旨いかって、これですよこれ。

メインディッシュのご膳もやはり箕の上に置かれます。
収穫物を入れる農具なので喜ばしい気持ちが表れているように思います。

田中さんの御口上によりご説明いたしましょう。
「今日の料理は、小豆飯を山盛りにしてございます。汁物は納豆汁でございます。
 平のものは椎茸、大根、人参、里芋などたくさんご用意してございます。
 お刺身はブリの刺身でございます。お頭はハチメでございます。
 それではお神酒もたくさんございますのでお注ぎいたします。」
 (能登町広報2009年1月号より抜粋)

「あえのこと」は料理が重要な一面を担っている行事です。
食材のいわれには諸説あって各家庭により様々に解釈され、
それだけでも民俗学の研究課題になりそうです。
またしきたりも決まった形式はなく多様です。
いずれにせよ神と人が共に食す形態は同じで、皇室の新嘗祭との共通性も指摘されているそうです。

それにしてもこれだけのごちそうを用意するのはたいへんな労力です。お風呂掃除もあります。
農家のお母さんたちはすごいです。お父さんたちもがんばります。
ちなみに栗の木の箸は一尺二寸で12カ月を表し、その日の朝に家長が山で集めて削り出したものです。

祈りと感謝の心で共に恵みを分かち合う家族の姿が残っていること、それこそが奥能登の宝です。
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奥能登の至宝 あえのこと ②

2010年12月07日 | 祭り
つづきです。
田の神様を床の間へお通しし、いよいよ食事でのおもてなし。ご夫婦の分をきっちり揃えてあります。
まず上座(神坐?)へお通しし、ご膳の上のお椀をひとつずつ開けます。

伝統的なごちそうが全貌を現しました。
家長はここで一年の稲作の様子をご報告し豊作に感謝の意を表します。
そして膳の内容をひとつひとつ丁寧に説明し、神様のご機嫌をお伺いします。

家長・田中登さんの晴れ姿です。

神様がお食事の最中に家長は静々と歩みより、田の神様へお酌をします。
また頃合いを見計らって甘酒もお勧めする気の遣いようです。

それもそのはず、「あえのこと」の意味はごちそうをして神様をもてなすことなのです。
やがて一時も経った頃、神様にお伺いし、膳をお下げします。
「今年の料理のお味はいかがでございましたでしょうか。
また、腹いっぱいおよばれになりましたでしょうか。
それではご膳を引かせていただきます。」
そしてお下がりを家族で食べるのです。かつて農家にとって一年で一番のごちそうの日だったそうです。

これが「あえのこと」でした。
特徴的なのはまさにパントマイムをしながら進行する手順のユニークさと、
この行事が家族単位で行われていることと、それを支える祈りとおもてなしの心です。
(今回の合鹿庵での田中さんの「あえのこと」は特別に一般向けに公開されたものです)
田の神様はこのまま冬を各家で過ごし、2月9日に同様のしきたりによって田へ送られます。
民間における新嘗祭や祈年祭の原初的形態をしのばせる素朴な行事として注目され、
文化人類学的にまた民俗学的に非常に興味深い事例です。
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奥能登の至宝 あえのこと ①

2010年12月06日 | 祭り
奥能登に伝わる「あえのこと」は知る人ぞ知るとてもユニークな農耕儀礼です。
国重要無形民俗文化財指定されており、昨年はユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
いったい全体どんな民俗行事なのでしょうか。私も初めて見たその全容を追って説明しましょう。

12月5日、ここは会場の「合鹿庵」。かやぶきの農家を柳田植物公園に移築しました。

農家の田中登さんが紋付袴の正装で田んぼに入ります。
ここで口上を述べて「田の神様」をお連れするためです。

神様の依り代を扇子に載せてうやうやしく家へと向かいます。
途中の階段では神様が転ばないように「お足下にご注意ください」と一声おかけします。
田の神様は目があまりよくないのです。

家に入ると家族一同で神様をお迎えし、囲炉裏端でしばらくお休みいただきます。
田の神様は夫婦神なのでお座布団もふたつご用意します。神様の依り代のヒサカキが仲良く並んでいます。

神様がくつろがれたらお風呂に入って頂きます。湯加減をお聞きし、お背中をお流しし、拭いて差し上げます。

まさに家長じきじきのおもてなしです。

さて、ここでひと休み頂いた後にいよいよメインがはじまります。

象徴的なしつらえが並びます。

会場もこのような人だかり。TV局も来ています。静かな中にも緊張した雰囲気が漂います。

なんせ今ここには神様がいらっしゃるのですから!
 つづく>

鉢伏山 落ち葉

2010年12月04日 | 鉢伏山
木の葉はすべて落ちました。当たり前ですが落ち葉はすべて、林床に積もっています。
いろいろなできたての落ち葉。よく見るとそれぞれに個性があっておもしろいです。

赤や黄色で彩ったモミジは茶色くなって乾いてクルッと丸くなっています。カサカサしています。

これはブナの落ち葉。つやっぽくてしっかりとした堅さがあり丈夫そうです。

ブナのしっかりした葉は他の木の葉に比べても腐りにくい性質があります。
ゆっくりと腐葉土になっていくのでブナ林は落ち葉の層が分厚く、保水力が高いといわれています。
さて、ここには葉っぱじゃないものがあります。見えましたか?

落ち葉を観察するツアーもおもしろいかもしれませんね。

カサカサフカフカの落ち葉に親しんでその上に寝転べば、こんなに気持ちのいい青い空がありました。


鉢伏山 ブナ林の晩秋

2010年12月03日 | 鉢伏山
冬到来前の静かなブナ林を散策しました。
すっかり葉が落ちてしまいました。

枝だけの透明感ある山の風情も好きです。

今年はミズナラがナラ枯れでずいぶんやられてしまいまいました。
これは被害木です。見分け方は葉の付き方。被害木は枯れたままの葉がいつまでも残っています。

こちらは生きているミズナラ。きちんと黄葉して葉を落としたので枝が青空に映えています。

ブナの大木は葉が落ちても堂々とした風格が漂います。
女王ブナ(クイーン)と大王ブナ(キング)のそろいぶみ。
 
林内はただひとつの葉を残してすべて灰色のフィルターがかかったようになりました。

夏には見えなかった反対側の山の稜線も望めました。

間もなく雪が降ればここにはこれなくなります。

中 十七波(なかとなみ)さん

2010年12月01日 | ひと
柳田在住の陶芸家中十七波さんのアトリエ「眠兎(みんと)」へおじゃましました。
いつも寄ろう寄ろうと思って1年が過ぎてしまいました(笑)が、初めての訪問です。
小高い丘にある広い敷地はかつて牧場として作られたところで、周辺を旦那さんがご案内してくれました。

ほだぎにはナメコが出ていました。たくさん食べることができたそうです。

畑は日当たりのよい好適地です。

ここが入り口です。

アトリエはこんな感じ。


十七波さんの陶芸はプリミティブで力強い造詣が魅力です。


薪もたっぷりありました。家は別のところにあるのですが冬は主にこちらで過ごしているそうです。

だるまストーブがいい感じです。

お二人のおもてなしが心地よくすっかりごちそうになり長居してしまいました。


フラッと寄ったら話しが尽きずあっという間に日が傾き出す・・・能登ならではののんびりとした時間でした。