能登でココロもどる旅

ぶなの森エコツアーのスタッフブログです。
能登の海・山・里で日本の原風景に帰る旅を楽しみましょう。

スタッフブログ

インタープリター山崎の日常、スタッフブログ「ゆらりぶらり」も日々更新中です!

苔玉(コケダマ)づくり

2011年01月19日 | 春蘭の里
11月の半ばに苔玉づくり体験を見学に行きました。
春蘭の里の体験交流施設「こぶし」に皆さん到着です。

苔玉というのはこれ。田舎の卓上観葉植物といったところでしょうか。

中本安明さんは春蘭の里実行委員会の会長でもあり、春蘭の里の中心人物のひとり。
「苔玉づくり体験」は中本さんの発案、以来14年も続けてきました。

苔玉の主役、コケは山や道際にあるコケをそのまま剥がして並べてあります。
他の素材もすべて地元調達、というかその辺にあるものです。
とはいっても集めて準備するにはそれなりの労力がかかります。

作り方の手順。まず直径6cmの土だんごを丸める。
この土には少しだけ炭を混ぜてあります。水持ちがよくなるための工夫です。

次。だんごをふたつに割って植物(この時はのヤブコウジ)の根を包みながら合わせる。

ミズゴケで土だんごを包み、糸で荒く巻く。

そしていよいよ苔で覆って丸く仕上げる。

最後にバケツの水につけて形を整えてできあがり。

かんたんですが、よいお土産になります。

「ここで作った苔玉は長持ちすると評判なんです」と胸を張る中本さん。
「都会の人がこれを持って帰って世話をすることで能登を思い出し、自然を愛でる気持ちを育ててほしいんです。」
それが苔玉づくりに寄せた中本さんのメッセージです。

満作の宿 in 春蘭の里

2010年11月10日 | 春蘭の里
能登「春蘭の里」にある農家民宿の「満作の宿」に泊りました。

到着するとすでに暖かい囲炉裏部屋でご主人の松井三代治さんが炭をくべます。
こういった心遣いに客人へのおもてなしの姿勢がうかがえ、うれしくなります。

ヤマメやゴリを炭火であぶる直火焼き。最強の一品です。

そして並んだお料理は奥様が手間暇かけた結晶の数々。ほとんど畑や山から採ってきたものです。
「田舎でなにも分からずお口にあうかどうか・・・」と謙遜なさいますがどうしてどうして
どれもこれも大変おいしく、彩りもよく、味も変化に富んでいました。

ご主人御自慢の自家製のお米は言うまでもありません。
ちなみに朝食はうちの夕食より豪華・・・です(笑)。
能登の家庭料理を味わえる農家民宿として十分な可能性があります。

外には炭焼き小屋もあり、ご主人の炭焼き作業に合わせて体験することもできるそうです。

米づくりや畑もしっかりとこなし、収穫が季節ごとの食卓に並びます。

違う季節のお食事を試してみたくなる、自給的な暮らしぶりが濃厚なお宿でした。

春蘭の宿 in 春蘭の里

2010年11月03日 | 春蘭の里
能登の農家民宿といえば春蘭の里。その一軒、「春蘭の宿」に泊りました。
春蘭の可憐でありながらしぶとく生きるその姿になぞらえて地域の象徴として命名をされたとか。

能登の農村にある大きくて重厚な家そのものがお宿です。
手前の大きな株はノトキリシマツツジ。春先には見事な深紅の花を咲かすことでしょう。

「白い壁に黒い瓦屋根の家構えや大きな囲炉裏の居間に価値があることを来てくれる方々に教えられた」
というご主人の多田さん。

お食事の一部です。

食材は地元で採れたもの、地元料理を地元の味でそのままお出しすることにこだわっています。

養殖しやすいヤマメではなくイワナを出すこだわり。炭で直火焼きのシンプルなうまさ。

お風呂は五右衛門風呂付でした。

心安らぐ田園風景も望めます。

「絵に描いたような田舎」 ここには能登の可能性が詰まっています。

COP10視察 春蘭の里

2010年10月25日 | 春蘭の里
10月24日にCOP10参加の一行が春蘭の里に里山視察に来ました。

COP10は生物多様性を考える締約国会議の10回目で、開催地名古屋から
約40名がやって来ました。通訳付き。お寺で農村らしい食事をすませてから・・・

きのこ山を歩き、調査と整備の状況について案内人の説明を受けながら見て回りました。

こんなに大きなきのこがありました。人の手で整備することでより多くのきのこが出てきます。
自然のままよりも手入れをした方が豊かな恵みをもたらす・・・それが日本の里山林の特徴です。

廃校を再利用した交流体験館「こぶし」では里の暮らしの文化の紹介です。

能登で特徴的なキリコがズラリ。神輿を先導する灯し火となる大きなランタンとでも訳しましょうか。

祭り太鼓を叩いたり、

蓑を着てみたり

昔の農具の使い方を教えてもらったりしました。

かけ足のスケジュールではありましたが日本の、能登の里山と里の暮らしの一端に触れた外国人の目には
何が映ったのでしょうか。

鉢伏山 能登半島の自然観察

2010年09月29日 | 春蘭の里
埼玉県から自然観察指導員の皆さまが能登半島を2泊3日で巡りました。
その貴重な時間のかなりの部分を鉢伏山の自然観察に割り当てて下さいました。

埼玉といえば私が暮らしていたところ。
皆さんが観察員として活動しているという場所もお聞きするだけで分かりました。

ブナ林へお連れしましたが、群馬や栃木にも立派なブナ林があることは知っています。
関東の植生に詳しい皆さんが何に興味を持つかは私と視点が近いはずです。
そこで北陸、特に日本海型の気候に合わせて変化した常緑樹の生存戦略についてお話しました。
森の下層が解説の舞台です。

するともっと詳しい方から、わからなかった植物名を教えて頂きました。

ツルツゲです。勉強になりました。ありがとうございます。
実際に参加者の方から教えられることがたくさんあるのです。

森の中でお弁当を食べたりゆっくり過ごして楽しみました。


それも私たちの提案です。

さて、事務所についてから横の休耕田で皆さんが本領発揮。

北陸らしい珍しい野草の数々に興味津々。

野草が好きな方は自然への探求心が人一倍強い人たちです。
ガイドとして学ぶべきことがたくさんあったツアーでした。

春蘭の里でキリコ復活

2010年09月20日 | 春蘭の里
能登の農家民宿のリーダー「春蘭の里」で、昨夜キリコ祭りがありました。

とはいってもこの集落(宮地)でウン十年ぶりの復活、歴史的瞬間です(笑)。
嫁に来たおばあちゃんも地域のキリコが動いているのを見るのは初めて!という人も。
東京から来たホスピタリティ・ツーリズム専門学校の学生さんたちが担ぎ手となっての復活です。

学生たちは小さなキリコを担ぎながら各家々を回ります。
お酒を飲んでいるのは多田さん。キリコ祭りの復活にご尽力なさいました。
地域を愛し集落を存続させたいという強い思いで春蘭の里をここまで引っ張ってきた
地域のリーダーです。

神社に着くと大きなキリコがそびえていました。

神事も執り行い、神輿も加わりました。
神様もずいぶんと久しぶりにお出かけなさったようです。

13年も続いている地域おこし「春蘭の里」でキリコ祭りがなかったのは不思議なくらいでしたが、
過疎と少子高齢化による人口減少で身近な祭りが絶えて消えていく、というのが現実です。
そんな中で祭りを「復活」させたことは地域の中で大きなインパクトがあるでしょう。
来年以降も続くことを期待したいです。

春蘭の里でキノコ調査

2010年08月26日 | 春蘭の里
能登で一番がんばっている集落のひとつ、「春蘭の里」で
里山林を創生(再生)する試みがはじまりました。
キノコ・山菜がたくさん採れて自然体験もできるような恵み豊かな森づくりです。

すでに小さな重機を使って整備をはじめています。
松林ゾーンの期待はもちろんマツタケですがそう簡単には出てきません。

そこで能登でキノコといったら赤石大輔博士。キノコ利活用の助言・提言がありました。


現状でどんなキノコがあるのかを写真に収めることも大事な調査ステップです。
ツルタケ             キイロイグチ

ベニイグチ

タマシロオニタケ

正体不明の幼菌

体験ゾーンのバンガローは、(能登らしく)十分立派な家で驚きでした。


多田さんのところで頂いた農家民宿の食事の一例。地域素材に徹底的にこだわっています。

新しい里山創出が成功すれば食材の重要な供給源となるでしょう。
この取り組みは今日的なテーマで昔の仕組みを回復させること、
人が関わる森づくりの一例であること、などの点で私もたいへん興味があります。

春蘭の里で地元学

2010年07月25日 | 春蘭の里
能登半島で農家民宿といったら「春蘭の里」が草分けです。
これまでに全国から(中国からも!)たくさんの人が農家に泊って農家の暮らしを体験しています。

ここで行われた「地元学」の研修に参加しました。
地元学とは地域と人の持っている力を引き出して、自らの信頼を回復し、自分たちでやる力を身につけること。
学問というよりも行動指針のようなものです。

まず地図上に水路や田んぼ・山の配置などを色づけしながら水の行方から全体を押さえます。
それからそれぞれの調査地点へ移動して、ヨソから来た人の新鮮な目線で「!」や「?」を探します。

それを写真にとってひとつひとつ地元の方に聞きながら記録していきます。

あとで「地域資源調査カード」という形でひとつの事柄=一枚でまとめます。

たくさん集まったカードをカテゴリー分けしながら食材や体験プログラムへの応用を話し合いました。

専門的な知識や経験を持つ参加者がいると議論も深まります。

春蘭の里ではこうした「地域の宝」についてはかなり意識的に共有されています。
例えば「満作の宿」の朝食。地元食材や保存食を生かした田舎らしい料理です。

おいしくて朝からたくさんおかわりしてしまいました(笑)。

それからずっとここで暮らしてきた人の言葉と存在。それが旅人にとって最も心に残ります。

今回の調査は地元学の先生がコーディネーターとなり、東京や京都から森林活用の専門家も集りました。
今後も継続的に関わるそうです。
地元の方が十年続けてきた実績に理論的な背景が加わって更なる飛躍へつながることを期待しています。