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SHERLOCK「The Great Game」~ヒーローに祭り上げるな!の巻。Part.1【ネタバレ】

2011-11-13 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
今回、長めになってしまったのでちょっと駆け足w

第三話「The Great Game」は、モリアーティの仕掛ける数々のゲームと、
マイクロフトが持ち込んだブルース・パーティントン事件の解決が主軸です。
しかし、この物語の裏テーマは、自分の楽しみとして被害者よりも事件に重きをおくシャーロックと、
その姿勢を受け入れられないジョンとの衝突だと思います。

この衝突は、ケンカというよりは、
彼らが単なる“同僚”や“同居人”以上の関係を築いていく過程と言っていいと思います。
おそらく誰からも理解されなかったシャーロックの物言いや態度に、
視聴者の代弁者たるジョンが疑問を投げかけていく、
シャーロックが事件を解決する一方で、ジョンがシャーロックの人柄を解いて行くような印象です。


ベイカー街の爆発事故で現場に残されていたピンクの携帯電話
第一のテストで、この携帯電話に掛かってきた通話の声の主は、
爆弾魔(モリアーティ)から伝えられたメッセージを喋らされている女性のものでした。
ジョンでなくても人質で女性となると、身の安全と事件との関連が気になるところですが…。


John
So, who do you suppose it was? Woman on the phone, the crying woman.
誰だと思う? 電話口で泣いてた女性…
Sherlock
Oh, she doesn’t matter, she’s just a hostage. No lead there.
彼女は手がかりにはならない。ただの人質だ。
John
For God’s sake, I wasn’t thinking about leads.
おい、そんな言い方はあんまりだろ。
Sherlock
You’re not going to be much use to her.
怒っても彼女は救えない。
John
Are they trying to trace it―trace the call?
警察は電話の発信元を突き止めるかな?
Sherlock
The bomber’s too smart for that. Pass me my phone.
利口な犯人だからな。携帯取って。
John
Where is it?
どこだ?
Sherlock
Jacket.
上着。

Sherlock
Careful!
…そーっと!
John
Text from your brother.
お兄さんからメールだ。
Sherlock
Delete it.
削除しろ。
John
Delete it?
削除?
Sherlock
Missile plans are out of the country now.
設計図はとっくに国外だ。
Nothing we can do about it.
今更遅い。

John
Well, Mycroft thinks there is. He’s texted you eight times.
お兄さんから8通もメールが来てる。
Must be important.
余程のことなんだ。
Sherlock
Then why didn’t he cancel his dental appointment?
なら歯医者の予約を取り消せよ。
John
His what?
何?
Sherlock
Mycroft never texts if he can talk.
喋れないからメールしてきてるんだ。
Look, Andrew West stole the missile plans, tied to sell them,
got his head smashed in for his pains, end of story.
アンドリュー・ウェストは設計図を盗んで売ろうとして殺された。それだけだ。
The only mystery is this... why’s my brother so determined to bore me when somebody else is being so delightfully interesting?
僕を楽しませてくれる人間が登場したのに、どうして兄は邪魔しようとするんだ。
John
Try and remember there’s a woman who might die.
女性の命が掛かってるんだ。

Sherlock
What for? There’s hospitals full of people dying, Doctor.
だから? この病院にも死にかけている人は大勢いる。
Why don’t you go and cry by their bedside and see what good it does them.
その人たちにも同情したらどうだ?


There’s hospitals full of people dying, Doctor.
というシャーロックの台詞で、
そうだ、ジョンって医者だった!って思い出したw
あえてジョンをドクターと呼んで、
医者なんだから、病院の患者も心配したらどうだ?と言っているのでしょう。

シャーロックの解釈は妙に納得させられます。
冷静に判断すれば、死の危機を迎えている人間は入院患者も同じかも。
しかし、突然爆弾を体に巻かれて脅される恐怖は、誰しもが経験しうる危険ではないですからね…。


シャーロックは人質を解放するためのヒントとなるスニーカーの持ち主について
ジョンに“セカンド・オピニオン”を求めたりしがら推理していく中で、
自分が初めて手がけた事件の被害者、カール・パワーズのものであることに気付きます。

シャーロックは黙々と情報を集め、分析しているようですが、
制限時間が迫っているために進行状況が分からないジョンは気が気ではありません。


John
Can I help? I want to help. There’s only five hours left.
手伝うよ。頼む、あと5時間しかない。
It’s your brother. He’s texting me now.
お兄さんからだ。僕にメールだ。
How does he know my number?
…なんでアドレスを?

Sherlock
Must be a root canal.
歯の根の治療か?
John
Look, he did say… national importance.
無視していいのか、国家の大事を。
Sherlock
How quaint.
フン、妙だ。
John
What is?
何が。
Sherlock
You are. "For Queen and Country".
君だ。国に忠誠か?
John
You can't just ignore it!
無視はマズいだろう。
Sherlock
I'm not ignoring it.
無視はしない。
I'm putting my best man onto it right now.
最高の人材を、派遣する。
John
Right. Good. Who's that?
ああ、なら。…誰を?



お前だよ!w

シャーロックの言う"For Queen and Country"
デンゼル・ワシントン主演の日本未公開映画「女王と祖国のために」の原題でもあります。
アメリカ製の映画ですが、8年間の軍隊生活からロンドンへ戻った黒人の退役軍人が、
人種差別を受けたり移民法が改訂された為に国籍を失ってしまうという内容だそうで、
国のために戦った軍人だというのにあんまりな話ですね。
映画のタイトルが皮肉に思えます。

ジョンもアフガニスタンに行っていた軍人なわけなので、
国のために行動することに違和感は覚えないはずですが、
シャーロックにするとHow quaint、なのかも。


そして、マイクロフトの職場を訪れるジョン。
いつもはセーター姿のジョンも、さすがにタイをしています。
(そういえば、グラナダ版の「海軍条約事件」で外務省を訪問した時も、
 ホームズとワトスンはアスコットタイの正装でしたなぁ…)
立ち上がって挨拶するジョンを見向きもせずに座らせる兄上の手が素敵です



で、やっぱり歯が痛そうw

兄上からブルース・パーティントン事件の新たな情報として、
アンドリュー・ウエストの遺体はバタシー駅で発見されたのに、
持っていたOyster card(日本で言うSuicaやPasmo)は使用されておらず、
切符も持っていなかったことが明かされます。

Mycroft
Then... How did he end up with a bashed-in brain on the tracks at Battersea?
何故、頭を割られた状態でバタシー駅で見つかったかが問題だ。
That is the question - the one I was rather hoping Sherlock would provide an answer to.
その答えをシャーロックに訊きたかったんだが…
How's he getting on?
進展具合は?
John
He's fine. And it is going...very well.
じゅ、順調です。うまくいってますよ。
He's, um... He's completely focused on it.
この事件に、かかりっきりですから。


このごまかしと笑顔が最高の人材たる由縁ですw ジミニー・クリケットみたいw

残り3時間。
シャーロックはカール・パワーズの死因について
湿疹の軟膏に混ぜたボツリヌス菌で筋肉が麻痺して溺れたことを解明。
晴れて一人目の人質は解放されます。


Lestrade
She lives in Cornwall. Two men broke in wearing masks, forced her to drive to the car park
コーンウォールの自宅に、押し入った覆面の男2人に駐車場まで車を運転させられ、
and decked her out in enough explosives to take down a house.
爆弾を括りつけられて、言われたそうだ。
Told her to phone you. Check the read-out from this-pager.
君に電話をして、このポケットベルのメッセージを読めと。
Sherlock
If she deviated by one word, the sniper would set her off.
一言でも違えたら遠くから撃ち殺す、と。
John
Or if you hadn’t solved the case.
君が間に合わなければドカン。
Sherlock
Oh…Elegant!
ああ…優雅だ。
John
Elegant?
優雅?

Lestrade
What was the point? Why would anyone do this?
それにしても何故こんな手の込んだことをする?
Sherlock
Oh…I can’t be the only person in the world that gets bored.
きっと、そいつも僕みたいに退屈してるんだろうよ。



コーンウォールというと「悪魔の足」を思い出してしまいますね。
しかし、コーンウォールからわざわざこのゲームに引っ張りだされるとは。
モリアーティやる気まんまんか。
そしてその手口を優雅と表現しまうシャーロックに、
例によってジョンはムッ、としております。

「そいつも僕みたいに退屈だった」…とすれば、
モリアーティも自分の部屋で爆弾の一つも爆発させてるかもしれませんね(((;゜Д゜)))



さて、第二のテストは、爆弾を巻かれた状態で街中に立たされた男性が人質。
このテストも順調に解決。(詳しくはこっちで。
第三のテストは年老いた目の見えない女性。
シャーロックはテレビ番組の司会者、コニー・プリンスの死因がカール・パワーズと同じボツリヌス菌で、
コニーの弟の使用人ラウルがボトックス注射の中に入れていたことを突き止めます。


John
Hey, Sherlock, how long?
おい、いつだよ。
Sherlock
What?
何。
John
How long have you known?
いつ分かった。
Sherlock
Well, this one was quite simple.
今回は簡単だった。
And the bomber repeated himself. That was a mistake.
同じ手口を使ったのはヤツのミスだ。
John
No, but Sherlock, the hostage, the old woman. she’s been there all this time!
シャーロック! おばあさんがずっと人質になってるのにどうして…
Sherlock
I knew I could save her. I also knew that the bomber had given us 12 hours.
すぐに助けてもいいけど、制限時間は12時間だ。
I solved the case quickly, that gave me time to get on with other things.
謎を解いた後、残った時間で色々と調べた。
Don’t you see? We’re one up to him.
こっちのリードだ。


こっちのリード、とはちょっと余裕のある言い方ですが、
この余裕が、このあとに一波乱ありそうなことを感じさせます。

そして、シャーロックは謎を解いたにもかかわらず、
人質のおばあさんが犯人の声の特徴を電話を通して話してしまったばかりに、
爆弾魔は初めてその上着の爆弾を使い、この事件で初めての死者が…。

爆弾魔…つまりモリアーティは、誰かに手を下させるのではなく、
珍しく、自らの手を汚して犯行に及んだわけです。
そこまでしてシャーロックと遊びたいか、モリアーティ。



John
So why is he doing this then? Playing this game with you?
何故君にこんな、ゲームを仕掛けるんだ。
Do you think he wants to be caught?
捕まりたいのか?
Sherlock
I think he wants to be distracted.
気を紛らわせたいんだろう。
John
Well, I hope you'll be very happy together.
似た者同士ってわけだ。
Sherlock
sorry, what?
なんて言った?
John
There are lives at stake Sherlock. Actual human lives.
人の命が掛かってるのに! シャーロック、人の命だぞ!
Jus…Just so I know, do you are about that at all?
それを君は何とも思っていないのか。

Sherlock
Will caring about them help save them?
思ったら助けられるのか?
John
Nope.
いや。
Sherlock
Then I'll continue to not make that mistake.
ならそんな間違いは犯さないよ。
John
And you find that easy, do you?
簡単に言うね。
Sherlock
Yes. Very. Is that news to you?
ああ、悪いか? 何を驚く?
John
No. No.
いいや、いや!
Sherlock
I've disappointed you.
僕に失望したか?
John
Good. That's good deduction. Yeah.
いいね、いい推理だ。

Sherlock
Don't make people into heroes John.
ヒーローに祭り上げるな。
Heroes don't exist and if they did I wouldn't be one of them.
そんなものいないし、僕は違う。



「ヒーローに祭り上げるな」、
シャーロックの人物像を最もうまく捉えた台詞のような気がするんですよね。
脚本家兼兄上のMark Gatissさんのペン先も、特に力が入っていたんじゃないかと、
勝手に想像しているのですが。

一般的なヒーローは、理性よりも感情を優先させて人々を救い出すものですが、
今回、延々と取り上げてるジョンとの会話でも分かるように、
シャーロックの優先順位はあくまで被害者より事件
その事件の中でも、興味を引く面白さがあって、自分がすぐに手をつけるべきものからでないと動かない。
合理的な思考の持ち主ですが、情の欠片も感じさせませんw

ジョンは鋭い判断能力と行動力を持つシャーロックと出会い、
何も起こらないと考えてた人生に変化が生まれたことで、
彼をヒーローのように思いたい部分がある一方で、
情を持ち合わせないシャーロックの言動にガッカリもしてしまう。
そんなジョンを見て、シャーロックは、自分に期待しすぎるなと断っておきたいのかもしれません。

(だからこそ、クライマックスでジョンが自分に対して取った、
 とても理性的とは言えない、無謀な行動に心打たれる部分があったんでしょうね…。)

いいところですが、書いてる途中で、
「文字数が制限を越えています」と表示が出てしまったので
…つづく。( -ω-)

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