goo blog サービス終了のお知らせ 

だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

プライムビデオ「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」【ネタバレ注意】

2021-09-19 | movie/劇場公開作品

先日紹介したミュージカル"Everybody’s Talking About Jamie"を映画化した、
「Everybody’s Talking About Jamie ~ジェイミー~」をやっと見ました!

作品紹介とウエストエンド版についての記事はこちら↓

OGPイメージ

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

ロンドン留学中は節約のために観劇はなるべく控えめにしていたのですが、それでも2回見に行ってしまったミュージカルがあります。それが"...

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

 

'And You Don't Even Know It' - Full Song From Everybody's Talking About Jamie

舞台と違って映画でがっかりしたらどうしよう…と、
ちょっとだけ心配していたんですが、
映画版には舞台上で表現出来ない演出やシーンもあって、
その心配も何処へやら、涙を流しながらティッシュ片手に見終えました。
最高の映画化でしたよ!

■■■映画版に追加されたシーン■■■

映画版には秀逸な追加シーンが幾つかあります。

舞台は将来を話し合う11年生の教室のシーンで幕が開きますが、
映画はジェイミーが朝起きて新聞配達するシーンから始まります。

ハイヒールを買うために地道にコツコツ小遣い稼ぎをしている
ジェイミーの夢へ向けた努力が見えるシーンですね!
(ちなみに元になったドキュメンタリーが放送された2011年当時、
 11年生は、中学高校にあたるセカンダリースクールの最高学年。)

個人的に特に好きだった映画版のシーンは
プリティがジェイミーにドレス姿でプロムに参加することを促す"Spotlight"のシーン。
舞台では、同級生(アンサンブル)が机を叩きながらコーラスで参加していますが、
映画版ではカフェテリアの掃除をする女性3人
ドリームガールズのように煌びやかなドレスに変身して
プリティの歌に華を添えています。

Everybody's Talking About Jamie - Spotlight

 

一番異なる部分は、ジェレミーのドラァグの師匠であるヒューゴの歌。
舞台では、ヒューゴが女装した姿であるロコ・シャネルの人生と
赤いドレスにまつわる話を語って聞かせる
"Legend Of Loco Chanel"という歌があるのですが、映画ではこれをカット。
そして、代わりに"This Was Me"という新曲が、
ヒューゴの大事にしているビデオテープの映像とともに流れます。
ジェイミーはヒューゴのドラァグ・クイーンとしての戦いの歴史を知って、
単に有名になりたいという憧れが浅はかな考えだったと反省します。

舞台ではヒューゴが作り上げたロコ・シャネルの伝説を披露するのに対して、
映画はプライド・パレードやエイズで亡くなった恋人や友人たちの思い出を通して
ヒューゴ自身の歴史を辿る演出になっているんですね。
現在のヒューゴとジェイミーがビデオの映像の中に入り込んで、
昔のヒューゴを眺めているような演出も素敵でした。

(舞台版ジェイミーのオリジナル・キャスト、
 ジョン・マクリーが演じる若き日のヒューゴの美しいこと!!
 もちろんリチャード・E・グラントの女装もゴージャスだけど!
 リチャード・E・グラントは「ある女流作家の罪と罰」のゲイ役も印象的でした)

映画のヒューゴがダイアナ妃のマグカップを使っていたのも
当時触れただけで感染するのではないかと恐れられていた
エイズ患者の病棟を訪れて恐れることなく触れ合っていた
ダイアナ妃への敬意を表しているんでしょうね。

OGPイメージ

How 'Everybody's Talking About Jamie' honors the AIDS generation

The cast and creatives explain why 'This Was Me' has Section...

Los Angeles Times

 

 

Everybody’s Talking About Jamie - Legend Of Loco Chanel

This Was Me (From ''Everybody's Talking About Jamie'' / Alternative Version)

 

ジェイミーのドラァグ・デビューのシーンは、
舞台では幕が開いて、ヒューゴから譲られたドレス姿のジェイミーの後ろ姿が
シルエットとして浮かび上がって第一幕が終わりますが、
映画ではパフォーマンスのシーンやディーンの野次のシーンも追加されています。

父親に会いに行って真実を知ったジェイミーが
嘘をついていた母と喧嘩して飛び出し、ユニフォームをホルターネックにして
父の観戦するフットボールの試合に乱入する場面も映画独自。

舞台では路上で男たちに突然絡まれる
泣きっ面に蜂のようなシーンで気の毒だったので、
映画の乱入→追い出される流れの方が自然に思えますね。

 

■■■映画版にない曲■■■

前回の記事で「映画ではカットされた曲もあるらしい」と書いた通り、
上記の”Legend Of Loco Chanel”の他にも、
何曲か映画版には出てこない曲がありました。

元夫に会いに行き、ジェイミーとはもう関係ないと言われた母マーガレットが
過去を振り返り、あの頃の自分にあったらなんて言うだろう?と歌う
"If I Met Myself Again"

Everybody’s Talking About Jamie - If I Met Myself Again

映画ではつけまつげで登校したジェイミーが親の呼び出しを受けますが、
舞台では、一度帰宅し、母とレイにプロム用に電球付きで改良?したドレスを披露するシーンがあります。
それが"Limited Edition Prom Night Special"
レイとジェイミーがノリノリで歌うこの曲、結構好きです。

(HD) Everybody's talking about Jamie || prom night special - (song + full scene)

カードも花束も母から送られたものだと知り、
父親から改めて突き放されたジェイミーが
「この醜い世界で一番醜い僕」と歌う"Ugly in this ugly world"

(HD) Everybody's talking about Jamie || Ugly in this ugly world + He's my boy (full scene + songs)

そしてプロム会場に集まる11年生が歌う"Prom song"

(HD) Everybody's talking about Jamie | Prom song + Full scene ( + Jamie and Dean talk )

 

■■■「自分らしさ」に悩む若者に響くはず■■■

冒頭の'And You Don't Even Know It'を歌うジェイミーを見ていて、
高校時代の自分を思い出してしまいました。
若い頃は状況に関係なく自分の可能性を無限に感じて
よりよい自分を妄想したりするもんです。

そして大人になると挫折も知るから、
ヘッジ先生のように、人生なんて思うようにいかないんだから、
夢なんて抱かない方がいいって言う気持ちもわからないでもない…。

ジェイミーが母や先生に「僕はあなたより未来がある」
「可能性がある」と言い放つ場面は、かなりグサッときます(苦笑)。
ジェイミー、大人にそれは言っちゃいかんよ…。
誰もが望んで大人になるんじゃないんだからね。

以前この作品がセクシュアリティに悩む子達の助けにもなればいいね!と書きましたが、
自分の将来に悩む若者みんなに響く物語ですよね。
プリティのように勉強が好きなことを後ろめたく思う子もあるだろうし、
ディーンのように「俺には無理」と柄ではないから勉強を諦めてしまう子もいる。
自分を否定しないで進んでいこうと頑張るジェイミーに、
自分らしさに迷いながら学生生活を送っている子は共感できるのではないでしょうか。

大人になった私のような人間でも、ジェイミーを見ていると、
昔の高校生の頃の自分の気持ちに応えてあげたいと思わされます。
If I Met Myself Again, I'd make her see the future's me. ですね。
つまり、全世代に響くのかも。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛する人は、また星になる〜映画「スーパーノヴァ」

2021-07-02 | movie/劇場公開作品

■■■2021年7月1日■■■

映画サービスデーなので、更新したパスポートを取りに行くついでに映画館に行ってきました。

「スーパーノヴァ」は、日本公開が決定する前から楽しみにしていて、
7月に見に行くならこれだ!と思っていました。
ツイートの通り、見に行く方は予告を見ない方がいいと思いますが、一応貼り付けておきます。

SUPERNOVA - Official Trailer - Starring Colin Firth and Stanley Tucci

コリンとスタンリーが演じるのは、休暇を取ってトレーラーで英国を旅しているゲイのカップル、サムとタスカー

映画を見ているうちに、2人の職業は何なのか、
どうして旅をしているのか、誰に会いに行くのか、といった情報がだんだんとわかってきます。
(このだんだんとわかっていく過程を体験するために、前情報はいらないと私は思ったのです。)

OGPイメージ

映画『スーパーノヴァ』公式サイト

コリン・ファース × スタンリー・トゥッチ 映画界が誇る演技派2人が放つ〈圧巻の愛〉 7月1日(木)TOHOシネマズ シャンテ他にて全国順次...

映画『スーパーノヴァ』公式サイト

 

 

 

 

↓↓↓ここからは結末に触れています↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

タスカーが病を抱えている、ということは私も見る前に知っていたのですが、
見ていくうちにそれが認知症とわかって、
ちょうど1ヶ月前に見た「ファーザー」のことをつい思い出してしまいました。

OGPイメージ

【ネタバレ注意】映画「ファーザー」【実はサスペンススリラー】 - だから、ここに来た!

●6月1日●ついに映画「ファーザー」を劇場で見てきました。日本公開は5月14日ですが、新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言の影響で、...

【ネタバレ注意】映画「ファーザー」【実はサスペンススリラー】 - だから、ここに来た!

 

「ファーザー」は主人公の周りにいる人たちの戸惑いや悲しみの表情はあくまで客観的に映し出し、
登場人物に自分の気持ちを重ねるというよりは、
鑑賞者に認知症を患う父親と同じ感覚を体験させるようなスリリングな演出が巧みな作品でしたが、
「スーパーノヴァ」は、ゆっくりと流れる時間の中で、
サムとタスカー、それぞれの立場に心を重ねて感じ入るような作品です。

張り裂けそうな彼らの小さな心に、
美しい湖水地方(スコットランドにも見える)の大自然が、
静かに寄り添っているように感じられます。

 

しかし、です。
俳優の演技や、その心の動きに気持ちを重ねられるかどうかはさておいて、
正直この映画の筋書きは、先を読もうと思わなくてもどこにたどり着くのかは想像できてしまいます。
あまりにも、あまりにもクリシェすぎる…。

(「余命少ない主人公」「親しい人との旅」「ロードムービー」「星」という点で、
 ベネディクト・カンバーバッチが友達とウェールズへ旅に出る末期ガンの若者を演じた、
 僕が星になる前にも思い出してしまいました。重なりすぎる…)

 

「こうなることはわかってたのに、見てしまった…」
見終わってすぐ思いました。
でもコリンとスタンリーの共演という誘惑を拒むことができなかった私…

この物語を、2人の円熟した俳優を招いてあえて描く意味は何なのだ?と考えてしまいます。

現代はもうゲイのカップルが出てくるというだけで映画が新しく見える時代ではないし、
そこに新しい気づきがないと、どんなことを伝えたい映画なのか見えてきません。

 

そりゃ、その結末が一番映画としては美しいかもしれない。
でもその結末で"今"私たちに伝えたいことって何なんだ?
作品のトーンのために、身近な人の死を、安直に描きすぎてはいないか?
現実はもっともっと苦しくて、もっともっと足掻くものなんじゃないか?

 

…などと、年を取っていくらか映画を見続け、いくらか近しい人たちの死を経験した私は思うのです。

生きるために見苦しくでも足掻く姿は、潔い死よりも美しいかもしれませんよ。
サムがタスカーに向かって「お前のケツを拭く!」と言った時は、かっこいい!!と震えました(笑)。

スタンリーは奥さんが闘病して亡くなった時に考えてたことを
脚本に重ね合わせて共感する部分があったのかもしれません。
私も共感できるところはたくさんあります。
愛する人を苦しめるくらいなら…と思ってしまうかもしれない。

それでも、これが2020年に誰かが作った映画だと考えると、
やはり、そこに妥協はなかったか?と問いたくなる。

それに、ロードムービーかと思いきや、それほど旅先の出来事が少ないのが物足りなかった。
もっと新しい土地に触れ、知らない人とふれあい、
生と死への考えが揺らいだりするところが見てみたかった。
サムの姉の家でもうちょっと心の変化があったら違ったかもしれないのにな。

タスカーが本を書けてないという事実を際立たせるためにも、
前半にもっと書いてますアピールをして欲しかった。
「最近どういうわけか順調で、あと最後の章だけなんだ!」とか言いながら、
蓋を開けてみると…ってなるのがショックなんじゃないか。
始めから「ハハーン、これは全然書いてないな?」とわかっちゃったらしょうがない…。

 

…考え始めると、「あぁが良かった、こうが良かった」が止まりませんが、
一番希望が持てた場面は、タスカーがサムの姪っ子に、
古い星が最後に爆発すると、それがめぐりめぐってやがて人の一部になると話して聞かせるシーン。

…この話も、どこかの映画やドラマでこれまでに取り上げられているような気がしますが、
超新星爆発のように、人が死んだ後も、また世界の一部になっているのだとしたら、
なんだか救いになりますよね。
これを思い出すたびに、涙が出てきます。

 

 

ちなみに、ハリー・マックイーン監督は初監督作"Hinterland"で、幼馴染同士の旅を描いているみたいです。

Hinterland Official Movie Trailer (2015) HD

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ネタバレ】「シン・エヴァンゲリオン劇場版」個人的感想

2021-03-12 | movie/劇場公開作品

3月9日(火)に「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を見てまいりました。

このブログでは触れたことはありませんが、
1990年中頃、劇中に登場するリツコさんみたいな同級生から薦められて、
「新世紀エヴァンゲリオン」の一挙放送を見た時から現在まで、
なんだかんだでシリーズをずっと追いかけて見てしまいました。
「Air/まごころを、君に」を見た時の衝撃は、昨日のことのように覚えています。

そんなエヴァンゲリオン新劇場版も今回で終幕。シリーズ自体のエンディングになります。
公開日が延期、延期…となり、気長に待っている間に、
自粛生活と言うこともあり、アニメ版、旧劇場版・新劇場版3作、
それに原作漫画のエンディングを復習し、考察動画も色々見ることに。
10代の頃よりはるかにエヴァについて理解出来ている仕上がった状態(当人比)で、
この日を迎えることが出来たのです。

「Air/まごころを、君に」でただただ呆然と映画館から出てきた時とは違い、
今回は、映画館を出て談笑しながら歩く人たちとすれ違いながら、
みんなが生きている幸せを感じたり、
公園で手入れしてある樹木を見て、誰かが丁寧に面倒を見てくれてるんだなと気づいたり、
なんだかとても優しい気持ちになれる作品でした。

本当いうと、もっと動員数が少なくなってから見るつもりだったのですが、
早く見て、振り返ったり考察したりするのが楽しみですからね。
そんなわけで、(前もって公開されていたパリ作戦より後の部分で)
私なりに気になったところをまとめておこうと思います。
一回寝たら今日の気分を忘れてしまいそうなので…

※考察ではなく、あくまで感想の覚えがきです。思い出したところは後から書き足すかもしれません。

 

■トウジが生きてた!
「Q」でネルフに戻ったシンジに支給された服がトウジのシャツだったので
死んだのでは?と思われていたけど、生きてた!第三村の医師?になって。
よかったー。この時点で涙ポロポロ。
委員長もすっかりお母さんになって…。
そっくりさん(綾波タイプの初期ロット)にたくさんの「おまじない」を教えてあげる姿が特にお母さんらしくて温かい。

■委員長のお父さん
初めて見る委員長のお父さん。
アニメ版だとネルフの関係者だった可能性もありそうだけれど、新劇ではどうなのだろう?
出されたものを食べないシンジ君に怒る様子から、村での食糧事情が察せられる。
まるで現実の戦中・戦後みたいだ。おそらく、意識的だろう。
フォース?インパクト発動時にガタガタと振動する窓の向こうで、
お父さんが一人悟ったように部屋でお茶を飲んでいる姿が印象に残った。

■アスカとケンケン
これは唯一ネタバレを踏み掛けた。
(「アスケンのカップリングが納得出来ない!」と言うツイートをちらり見かけたため)
風呂上がり?で全裸のアスカにタオルをかぶせるケンスケを見て、
ああ、このことなんだなと理解。
「破」ではアスカがケンスケたちを完全にガキっぽいと見下していたけれど、
ニアサー後に心を開くようなきっかけがあったんでしょう。
ケンスケたちは昔の加持さんとそう変わりない歳で、
アスカが見下していたあの頃のケンスケではない。
どこまでの関係なのか?というのが気になるところですが、
最後にシンジの手でアスカが地球に戻っていく時、慰めてくれる存在=大きな人形からケンスケが出てきて
頭を撫でながら「アスカはアスカだ」と告げるシーンを見て、
あくまであの時点まではアスカにとってケンスケは恋人や家族ほど大きな存在をして存在していなかったように思います。
そうでなきゃ、あのシーンでケンスケが求めていた人物だったと「やっと」気づいたことにならないような。
それにしても、あれだけエヴァに乗ることに固執していたケンスケが、
村のために技術屋として活躍している姿に胸が熱くなりました。
エヴァに乗らなくても世界を守ることは出来ると気づいたんだろうな。嬉しい。

■そっくりさんと農作業と猫
人としての生き方を知らない綾波そっくりさんが、
挨拶や田植えやお風呂や読書を一歩一歩学んでいく姿にまたボロ泣き。
新しい名前のヒントを得ようと車内図書館に足を運んだ彼女が、
「Q」で本を置いてくれていたシンジ君の姿を思い出すところで、
シンジのあの努力も無駄じゃなかったんだ!と救われる気持ちに。
みんなに制服着せられて可愛い可愛い言われながら恥ずかしがっている姿も可愛かった。
あれは委員長が大事にとっておいた制服かな?

■なんでみんなこんなに優しいんだよ!
シンジ君の言葉。昔の彼ならアスカの突き放すような態度も優しさだとは気付けなかったと思う。

■シン・加持リョウジくん
名前を聞いた時に一瞬、加持さんもクローンになったのかを思ってしまった(笑)。
両親の正体を明かさず、父親の名前をそのまま子供につけたミサトさん。
せめて子供に父(恋人)の証を名前として残しておきたかったのかもしれない。

■ニアサーも悪いことばかりじゃない
ちょうど東日本大震災が10周年を迎える3月に見たために、
第三村の生活を戦後や震災後の町と重ね合わせて思い出してしまいます。
10年前から自分も、よくも悪くも変わったなと振り返るのです。
やっぱり(自助の前に)公助・共助は必要だと思うし。
村へ帰る車の中でケンスケがシンジを慰めるように言う一言は、
本人にとっては口にするにはとてつもなく重いことだと思うけれど、そう伝えられる強い優しさを感じます。

■ミサトさんの真意
「Q」の「あなたはもう、何もしないで」のセリフで、
当時は私もシンジのように動揺したけれど、
「ミサトさん最低」とか「お前『破』で言ったこと忘れたのか?」などというコメントを見て
「お前らミサトさんの気持ちも考えてみろよ!?」と憤ってたので、
ミサトさんのシンジを守りたい気持ちが明らかになって、
彼女を責めてた連中は「ちったぁー反省しろ!」と思いました(笑)。
シンジはミサトにとって初めての、守りきれなかった息子で、
リョウジはもう失いたくない息子なんだろうと、2人の写真を見て感じるのでした。

■SDAT
拾ったものは返すのだと学んだそっくりさんがシンジに渡すご存知、SDAT。
新劇場版ではとりわけ重要な意味を持つものとして注目されていました。
つまり、SDATを持っている人を中心に物語が展開していくという説。
そっくりさんはシンジが引きこもっている間に村の生活に馴染み、
今まで知らなかったことを学んだ後、シンジに感謝の言葉を伝えSDATを渡し、溶解。
そしてシンジは、最後に父であるゲンドウにSDATを渡します。
まるで、アニメ版もしくは「まごころを君に」のシンジの自問自答と対になるように、
ゲンドウ目線のセラピーを見ているよう。
旧劇場版がシンジ自身の答えを探す話だったのに対して、
新劇場版は、シンジが周りの人たちの答えを見つけてあげるような物語でしたね。

■涙で救えるのは自分だけ、涙を流しても他人は救えない
胸に刺さるセリフ。マジで。
→追記。映画「カメ止め」の上田監督がアニメ版から劇場版まで全部見て最終的にシンエヴァを見る企画をやっていたのですが、
 この動画に登場する、友人の松本くん(動画の時点で6回シンエヴァ鑑賞)が語っていた考察になるほど!と納得しました。
 松本くんは塞ぎこんでいるところから一気に迷いなくヴンダーに乗り込んだシンジの気持ちの変化がどこにあるのかがわからず、
 注意して何度も鑑賞した結果、
 「シンジは土の匂いを感じて、加持さんとの約束(葛城を守ってくれ)を思い出したためにヴンダーに乗る決意をし、
  初号機に乗る決意をした時にリョウジくんと会ったことや、土の匂いがしたことをミサトに告げた」んだと理解したそう。

■無茶いうわね…
ミサトさんが発進命令でリツコに「25分で現作業中止、30分後に発進する」
と伝えると、リツコが「20分で現作業中止、25分後に発進する」と言い換えてるところに、
出来るナンバー2だと感じた。

■加持さんの計画とミサトさんの計画
植物の栽培を愛した加持さんは、生き物を残すための箱舟として、
ミサトさんはネルフに対抗するための戦艦としてヴンダーに乗っていた。
予告編でミサトが向き合っているマギのような六面体の箱は、
加持さんが残そうとした生命の種なんですね。

■ピンクの髪の子
話し方といい、態度といい、あの子は最後まで苦手だった。
怪我したミサトさんを運ぶ時にもタメ口きいてたし。お前艦長にタメ口かよ!?
でも彼女もあんな時代に生きて親もなくしろくに教育を受けなかったのかもしれんし、仕方ないか。

■ヤマト作戦
カッチョ良すぎる!「タイマン上等!!」

津島利章 - 惑星大戦争 (1977)

■式波シリーズ
こっちは本当にクローンだった。と言うことは惣流がオリジナルと言うことか。
親の愛を求めていたオリジナルに比べて、式波シリーズの方は、
ひとりぼっちで孤独であることに囚われていた気がします。

■人を捨てたゲンドウ
「忌まわしき花嫁」のモリアーティ以来に後頭部吹っ飛んだ人を見たw
旧劇と違い、リツコがゲンドウにガンガン発砲しててすっきりしました。

■葛城隊長の提唱する人類補完計画?!
新劇において人類補完計画ってミサトさんのお父さんが出どころだったのか。
そう設定することで、ゲンドウに立ち向かうシンジ、
父に立ち向かうミサトを並べて見せようとしてるのかもしれない。

■子供が父親にできることは肩を叩くか、殺すかだけ
初号機と13号機の対決は、マイナス宇宙で、シンジの記憶の風景の中で行われますが、
第3新東京市の街並みが、特撮のスタジオのように模型のように描かれていたのが印象的でした。
ミサトさんの散らかった家で戦闘が始まった時はさすがに笑っちゃいましたが、
背景が倒れて撮影現場を見せる演出は「屋台崩し」ですね。演劇的。
考えてみると、庵野監督は旧劇場版でも、客席をスクリーンに移して鏡で見ているような感覚にさせたり、
虚構に現実を取り込む演出に拘っていたように思います。
「父殺し」に挑むシンジの頭にミサトさんの言葉が蘇り、殺すのではなく、肩を叩く方を選ぶシンジ。
ますます「スター・ウォーズ」的。

■知恵の実と生命の実
本編の中で説明がされたのは初めて?
どちらかが残らないといけない戦いだと明確に触れてますね。

■知識とピアノ
だからシンジもピアノのセンスがあったんだね。テレビ版ではチェロだったけど。
ところでゲンドウが一人が好きで、親戚に会っても云々…と話すところで、
わかるー!法事とかなー!って共感してしまった私がいます。
ゲンドウは嫌いだけど、彼の気持ち自体は、わからなくもないのであります。

■渚司令
なぜにカヲルが司令に…。
加持さんが傍にいるということは「破」までのことなのか、それともカヲルの想像の中の風景に過ぎないのか。
見終わった後に考察を探しに行きましたが、
ゲンドウの後釜としてカヲルが座った、とか、ユーロネルフの司令がカヲル、とか、
まだ咀嚼しきれていません。渚司令…。

■冬月とマリア
やっぱりマリは漫画の通り、冬月先生の教え子でゲンドウやユイと同じ生徒だったんですね。
そしてみんなユイに好意を持っている。
「イスカリオテのマリア」と呼ばれたマリは、「久しぶりに呼ばれた」と言ってたけれど、
昔から「イスカリオテ(のユダのような裏切り者)」と言われていたのだろうか?
それともマリアだけ?
ゲンドウ(と冬月)はユイとの再会を目標にしていたけど、
マリはユイが残したシンジの救出と保護を選んだ。
それゆえに仲間だったけれど相対する立場になった、ってことですかね。

■ガイウスの槍
船内で槍が船の脊椎から短時間で作れるなんですごすぎないか?
どういう仕組みなのか全然わからん!

■髪を下ろしたミサトさん
僕らの知っているミサトさんが戻ってきた(涙)!

■僕も好きだった
そうか、アスカはシンジのことが好きだったのか、と今更理解した。
どうもアニメ版の印象の方が強いので、
未だにアスカはシンジを子供として見ていて、加持さんのような大人に相手にされないから
子供のシンジで手を打ってるイメージがあって。
シンジはレイに惹かれてるだろうし、なんとなくお互い妥協しているような印象(笑)。
でも新劇ではレイに張り合って料理作ったりしてましたもんね。
今回はそんな「なんとなく好きかも」な幼い恋から成長して別れを告げた感じかもしれませんね。

■宇部新川
監督の出身地らしいです。
冒頭の、3人がL結界の中を歩くシーンでも宇部新川が出てくるみたいだけど、
ケンスケが迎えに来たとしても宇部新川からネルフ旧本部近くの第三村まで簡単にいけるものかね?

■シンジとマリ
エンディングは漫画版のラストを思い出させる希望に満ちたものでした。
シンジとマリがカップルなんてイヤ!と言う意見もあるそうですが、
一緒にいるからと言ってカップルだとは限らないし、
これは何度も繰り返してきた物語の1パターンだと考えると、
それほどカップリングにこだわらなくてもいいんじゃないかと思えます。
「なんで電車に乗らずに駅の外にでていくのか?」という意見を見たのですが、
今まで物語の中で、電車に乗り込むのはいつも別れのシーンだったし、
乗り込まないことでこれからも2人が一緒にいられることを表しているのではないでしょうかね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「きれいな海を、見せてやりたいわけよ~」

2010-04-29 | movie/劇場公開作品
ナインティナイン岡村さんが主演している映画
「てぃだかんかん」を見てきました。

http://tida.goo.ne.jp/
http://www.moviecollection.jp/interview/detail.html?p=461

世界で初めて、移植した養殖サンゴの産卵を成功させた金城浩二さんと、
彼の夢を支えた家族や友人たちの実話を映像化しています。





金城さんご本人が出演した番組をちょっと見たけど、
慣れない沖縄コトバを、丁寧に喋ろうとする岡村さんが、
素朴なご本人の印象に合っていたな。
岡村さんダイビングやっててよかったよね、ホントに。
他のキャスティングもピッタリだったなぁ。
(渡部篤郎が森本レオ風演技をしてたのは気になったけどw)



愛する沖縄の海と生き物が、島の開発や温暖化によって危機に瀕していると感じ、
うまくいっていた飲食業を突然辞め、サンゴを育て始める金城さん。

漁業組合からサンゴの移植を反対されたり、
海洋学の専門家から活動を批判されたり、
活動への融資を断られたり、
詐欺にあって莫大な借金を背負うことになったり…

それでも、経済的&精神的に彼を支えた奥さんや
「上等な海を取り戻す」という子供たちとの約束のために
苦難を乗り越えます。



お金のためでも名を上げようとするためでもなく、
ただひたすら、好きなものを守ろうとするその素直な姿を見て、
感動というよりは、目が覚める思いでした。

大人になって臆病になったり、自分や好きな人を強く信じることを、
ちょっと思い出させてくれます。
それと、笑顔を忘れないこととかねー。

ちょっと落ち込みそうになっていたので、
珍しくプログラムも買いました。
めげそうになったら、今日感じた情熱を思い出すつもりです。



…山下達郎の主題歌、
「てぃだかんかん」も「新参者」もどちらもいい。
アルバム出たら買ってしまいそうな勢いで、いい。





ラジオのヘビーリスナーとしては、
「この撮影のあと、岡村おじいちゃんは完全なる外痔核になるんだなーw」とか
「実はサンゴの産卵に立ち会ってないのになーw」とか
余分なことまで考えてしまいがちなのですが、
意外にも一番思い出したのは、正月に岡村さんがする地元話でしょうか。

金城さんの友達との関係と、地元話によく登場する茨木西高の同級生の関係を
不思議と重ね合わせてしまいました。
先週見た「A-Studio」のせいかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NINE

2010-03-24 | movie/劇場公開作品
ソフィア・ローレン、ジュディ・デンチ、ニコール・キッドマン、ペネロペ・クルス、ファーギー、ケイト・ハドソン、マリオン・コティヤール

出演女優が全員好みな「NINE」。

フェリーニの「81/2」を元にしたミュージカルの映画化ということで、
イタリア+美人で公開までワクワクしておりました。


スランプ中のイタリア人映画監督グイドが、
真実の愛と再起を求めて、
最愛の母、親友の衣装スタッフ、主演女優、愛人、
子供時代に魅了された娼婦、ファッション雑誌の編集者、そして妻、
7人の、彼に関わる女性の間をさまよう。


ミュージカル部分は華やかで、
(特にファーギーの「Be Itarian」とケイトの「Cinema Itariano」)
うっとりとしてしまうし、
60年代イタリアのオシャレなファッションや、
グイドが訪れるイタリア各地の風景も素晴らしいです。

ただ、「シカゴ」のように、背景にショーがあるわけではないので、
ミュージカル映画にありがちな“突然歌い出す違和感”を感じやすい。
イタリアという魅力的な舞台がありながら、
ミュージカル・シーンがコテコテのブロードウェイ・ミュージカルしてて、
不思議な感じ。

それにしても、ペネロペがエロい!
白いレオタード?姿でロープにからまるペネロペ。
女でもよだれが…(「抱擁のかけら」に引き続き)。

ソフィア・ローレンの変わらなさにもビックリしちゃうが、
ジュディ・デンチのおかっぱウィッグもかわいかった。
「生粋のフレンチの私に訊きな~」みたいな歌があって、
「えー?」と思ってしまった。めちゃめちゃ英国人イメージ強いし。

美しいニコール・キッドマンが少しもったいない気がしたな。
他の妖艶な女性陣の中では、立ち位置が微妙にわかりにくかった。
その一方で、妻役のマリオン・コティアールは、
元々はグイドのミューズではあるけれど、
愛人であるペネロペとは対になるような清純な美人に映る。

ケイト・ハドソンは「大人になったな…」。
「Cinema~」のシーンは素敵でした
ファーギーは断トツで歌がうまい!当然だけど。
+色っぽかったです。

とにかく、いろんな美しい女を堪能できる映画。


あ、グイド役はダニエル・デイ・ルイス。
イタリアの映画監督って、女に苦悩するイメージあるね。
ファーギーの娼婦見てて「マレーネ」なんかを思い出した。
イタリア男は、少年時代から女の影に悩まされる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガイ・リッチー版「シャーロック・ホームズ」

2010-03-17 | movie/劇場公開作品
「シャーロック・ホームズ」見てきました。
マドンナの元夫、と紹介されてしまうガイ・リッチー監督の。



当時のロンドンの風景もいかにも事件をはらんでそうな雰囲気出てるし、
ホームズらしい些細な変化も見逃さない観察眼の鋭さもしっかり押さえてる。
変装シーンも出てきて、その素早い行動もワクワクさせられる。
原作のセリフも出てきて、知ってる人間はニヤリ。


けど、演出が苦手だなー。


ストップ&スローモーションの多用って、
かっこいいと思う人もいるのかもしれないけど、
やたら使われても、うっとうしいだけ。

アクション・シーンがたくさんあって、
ワトスンとのコンビネーションも抜群なのに、
始めの10分で退屈してきた。
こんなにホームズが好きな、今の私が。
色々詰め込みすぎなのに、それを忙しく見せようとしすぎてる気がする。


ガイ・リッチーの映画って苦手なのかも。
過去作も、見たときは面白いと思っても、
そのあとどんな作品だったか覚えてないし。

マドンナが監督した「ワンダーラスト」が結構面白かったし。
いっそ、マドンナがホームズ撮ったらどうなったかしら?とか、
冗談みたいなことを本気で考えてしまった私がいる。



オリジナル作品としては、よく出来た方だと思う。
ホームズとワトスンのMとSの極端な関係は、これはこれで好きだし。
とはいえ、原作との違いがやっぱり気になっちゃうのよねー。

・ワトスンの妻=メアリーとホームズの出会いが依頼人としてでなく、
 はじめからワトスンの妻として紹介されたレストランでの会食。
・アイリーン・アドラーがとモリアーティ教授が顔見知りw

とりあえず、アイリーン・アドラーは峰不二子ではない!
と、原作知らない人にははっきり言っておきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハート・ロッカー=棺桶

2010-03-14 | movie/劇場公開作品
アカデミー賞6部門を獲ったばかりの、
「ハート・ロッカー」を見てきました。

前から見るつもりではあったけど、
授賞式の直後に見に行くのって、恥ずかしい…。




イラク駐留米軍の爆弾処理班の話です。

爆弾が発見されれば、駆けつけて、処理を行う。

普通、重装備で繊細に爆弾処理にあたるところを、
装備を全て脱ぎ去り、
「死ぬときはさっぱりと死にたい」なんて言って
ペラペラの服装で配線を探し、切断する班長と、
周囲に潜伏するテロリストから彼を守る部下たち。



緊迫する現場を追っているんだけど、
その描写は、すごくドライ。

必要以上に情感あふれていないというか、
泣きの要素とか、感情に訴えることはまったくしていない。

そのせいか、ゲームをやっているような感覚になる。
STAGE.1、STAGE.2…と、
ひとつひとつの戦場をクリアしていくかのような。

緊張感はあるんだけど、
アカデミー賞にしては、ちょっと色気がないよなー。
「アバター」は色気を出しすぎてイカンけど。


最後、主人公のジェームズ軍曹が語りかける言葉が印象的だった。
やはり、戦いはやめられない、という意味では、
「アバター」と同じなのか。
War is a drug.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゴールデンスランバー

2010-02-24 | movie/劇場公開作品
【2月17日】

アビイ・ロード・スタジオ、EMIが所有権保持の意向
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100222-00000962-reu-ent

だそうです。
ホッとしたような、人騒がせな気分というか。
ポールも支援に名乗り出たそうですが、
やっぱり手放します、とならないように祈っています。



アビイロードといえば、ゴールデンスランバー。
やっと見てきました。

伊坂幸太郎原作の映画ですが、
今まで見た伊坂原作作品は期待外れが多かったので
(といっても3作品くらいしか見てないのですが)
今回も期待しないで行きました。



私にとっちゃ、ゴールデンスランバーっていうか、
マックスウェルズ・シルバーハンマーでしたよ!

「銀の槌が彼女の脳天に降り降ろされた」!

…ようするに面白かったのです。


終演後、席を立ち
「いやー、よく出来とるわ。いやはや…」
なんて呟きながら外に出て、
本屋寄って買い物して家に帰るまでずっと
「ちくしょー、面白かったなー!」
とブツブツやってました。




大学時代の友人からしばらくぶりに呼び出され、
いきなり首相暗殺の犯人に仕立てられた男の逃亡劇。

警察はすでに「出来すぎた証拠」を握っていて、
逃げるしか方法がない。



飛び石のように、逃げる先の道を切り開いていく、
逃亡者の元カノや思わぬ協力者たちの存在。

そして潔いほど贅沢にちりばめられた伏線!
(ネタバレになるから明かさないけど。)

結末は、まぁそういう落ち着き方が無難だなぁってところですが、
「繋がっている」ことが生きる希望をもたらすような
話の構造自体にワクワクさせられます。


人から「逃げる」ことよりも、
人を「信じる」方がこの話のキーワードだったような気がするのです。


ヘビーな内容にも関わらず、
劇場に笑いがたびたび起こっていたのが印象的でした。


キャストもよかったねぇ。
柄本明が出たときにはニヤけたし、
伊東四朗にゃ泣かされた。
伊坂作品おなじみの濱田岳もよかった。キルオぉ~(涙)。

香川照之が、試写を見て
「堺雅人の役がやりたかった!」って言ったらしい。
いやいや、あなた今の役で十分おいしいよ!
(彼が主役だったらかなりシリアスになってしまった気がする。)
というか、あなたの最近のスケジューリングがどうなっとるのか教えてくれ!!

…劇場を出る時、お客さんの中に
「で、結局誰が犯人だったの?」と言ってる人が何人かいてギョっとした。
殺して得する人が犯人なんですよ? こういう場合はたいがいね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

抱擁のかけら

2010-02-13 | movie/劇場公開作品
久しぶりに遠出しました。

…新宿まで。


新宿ピカデリーで、
ペドロ・アルモドバル監督×ペネロペ・クルス主演の新作、
「抱擁のかけら」を観賞。
地元では残念ながら上映していないので。




 本当の名前を封印し、常にペンネームを名乗っている
 盲目の脚本家、ハリー・ケーン。
 彼の生活はエージェントのジュディットと
 彼女の息子のディエゴが支えている。

 そこにライ・Xと名乗る青年が現れ、
 共同で脚本を執筆し、映画を作りたいと提案。
 彼の正体を知ったハリーとジュディットが
 彼を遠ざけようとしていることに気付いたディエゴは
 母の留守中、ハリーに質問する。
 ライ・Xの正体と、ハリーの過去について。



「アルモドバルらしくない“普通”の作品」
なんて評判は耳に入っていたので期待はしないでいったので、
予想以上に楽しめました。


なにしろペネロペだけで見る価値のある映画だわね。
ここ数年のペネロペの美しさはこれ、なんだろう。
オードリー・ヘップバーンのような清純な姿あり、
ラテン系美女らしい情熱的な濡れ場あり。
女の私でもよだれが出そうな…。

ブチギレ女役の「それでも恋するバルセロナ」でも
老教授を首ったけにさせる女学生役の「エレジー」でも
肝っ玉母ちゃん風の「ボルベール」でも美しかったが、
これは極めつけだね。


ペネロペが演じるのは
ルイス・オマール演じるハリーの恋人レナで、
彼女は、もともとは映画監督だったハリーの作品の主演女優であり、
大物実業家の愛人でもある。

見ているものは、おそらく、
レナをめぐり2人の男が対立したのだろうと想像する。

ハリーが盲目になり、本名を捨てた理由、
彼の引き出しにしまってある写真に隠された逃亡の日々…
誰も知らなかった秘密が、少しずつ少しずつ紐解かれる。

隠されていること自体は目新しい内容ではないけれど、
秘密を抱えるせつなさとあきらめと、
明かすことで迎える決着を描くことがこの話の軸なのだと思う。

母が過去を隠していることを知ったディエゴは
自分の起こした事故を隠すことで、
なにか同じ罪を抱えようとしているように思えたし。

そういえば、「ボルベール」も“秘密”が印象的だった。


抱擁のかけらっていう、邦題もなかなかだな。
いやー、よかったな。やっぱり、見に行って。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛された骨だけが残った

2010-02-06 | movie/劇場公開作品
ここ数日、「Abbey Road」の終盤に出てくるメドレーが
頭の中をリフレインして止まらない。

「ゴールデンスランバー」のCMをよく見るからだろうけど、
「Golden~」じゃなくて「Carry That Weight」のメロディーばかり
思い出して歌ってしまう。

 Boy, you gotta carry that weight
 Carry that weight a long time

はいはい、重荷ね重荷。分かった分かった。って感じ。



あまりに脳内再生してるので、
今週は「ゴールデンスランバー」ではなく、
「ラブリーボーン」を鑑賞。
http://www.lovelyb.jp/

ブライアン・イーノが音楽を手掛けてることを思い出して、
俄然見る気になった。
http://www.youtube.com/watch?v=LK8vrBD9SSE

ちなみに「ゴールデン~」はせっちゃんこと斉藤和義が音楽担当。
どちらも大好きです。


冒頭、14歳の女の子、スージーが
冬のトウモロコシ畑の下に作られた秘密の地下室に誘い込まれて殺される。
「地平線と空のあいだ」に意識だけ取り残された彼女が、
犯人の成り行きと、家族が立ち直り希望を見出すようすを見届ける話。


語り手が成仏していない被害者、てのが珍しいけど、
軸はサスペンス・ドラマですよ。

このところ朝から晩まで刑事ドラマか推理ものばっかり
見たり読んだりの私にとっては、ちょうどよかったw
手に汗握るシーンも意外にあって。


現世とリンクする、黄泉の国の不思議な風景も楽しかった。
父親の作った帆船の入った瓶が海岸に打ち上げられるシーンなんか特に。
本物みたいな錯覚を起こすVFXより、
想像力を膨らませる特殊効果の方を支持します、私は。



不謹慎な言い方かもしれないけれど、
犯人が捕まってめでたしめでたし~!
…ではない幕切れであることも好感が持てた。

だいたい…どんな殺人事件でも、
解決したところで死んだ人間は帰らないし、
めでたいわけがない。
現実世界でも、フィクションでも。


残された人も、死んだ人も、
心残りや悲しみ、憎しみを背負うわけだ。
それこそ“長い時間、重荷を背負う”。

そのさまざまな重荷から放たれたときこそ、本当の別れ。
悲しいけれど、ここで語られてることは、
別れも幸せの一つだということですな。

スージーが最後に再会したがったのが、
家族ではなく、恋の相手だったことも、
特に気にならなかった。

家族にとって、彼女と再会することが必ずしも幸せとは言えないことくらい、
彼女にも分かっていたはずだし、
ボーイフレンドのそばに“ミディアム”がいたからこそ出来た再会だったはずだからね。

傑作ではないけど、心の目を開かせるような小品でした。



この作品でアカデミー賞にもノミネートされてる
スタンリー・トゥッチも楽しみの一つだったんだけど、
見てみたら、ノミニー入りの理由が分かったw
「この役かw」
こわかったー。

おばあちゃん役のスーザン・サランドンもいい味だしてた。
焦げたフライパンに花ごと花瓶の水掛けたり、
小さい孫にペディキュア塗らせたり、ファンキーだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする