ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

コ・パンガン・・・5  リアリティーへの回帰

2015-11-02 | コ・パンガン

 

バンガローに戻りウッドデッキに座って海を見ていた。3時間が経過し神経と脳の疲れを感じた。太陽の光から逃れ薄暗いバンガローの中に入りベッドに横たわる。その時どこまでも深く広がり続ける光の渦を見た。目の前に様々な色が無数の輝く光線となって流れる、ぼくは帰り道を求めていた。分からない、どの流れに乗れば見慣れた風景に戻れるのか。
「その中の一本に乗れ、一本だけだ。お前に分かるか」分からない、教えてくれ。
「お前はコントロールできない世界へ入った。Lの空間を超えた領域へ・・・」リアリティーへ帰りたい。
パシパトナートで手に入れたセブンムキのルドラクシャは中心にあり、右にシバ、左にシャクティを従えている。その首には血が滴る数個の頭部の飾りを下げていた。右手に三重に巻いた数珠、身体中からあらゆる不純物が今にも爆発的に流れそうだった。ぼくの仏陀を見た。何度も内臓を搾り出すような吐気がきた。帰れないかもしれない、苦しみの中ぼんやりと思った。自分自身を信じろ、強く信じろ。悶えながら伸ばした手が何かに触った。流れる光の中に小さな四角い窓がある、それを顔に近づける、鏡だ。恐怖に歪んだ自分の顔を確かめるように見た。鏡の中のぼくは平然としてぼくを見ている。ぼくには帰る力があると知った。心身の緊張がゆるやかに抜けていった。
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