goo blog サービス終了のお知らせ 

ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

カトマンズ  朝の祈り

2023-04-13 | 心の旅・追想




70年代の画像です  コメントはありません

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サソリ 生あるもの・・・3

2023-03-09 | 心の旅・追想
瞑想をするメインホール 裏側が宿舎になっている


アシュラムに入ったばかりの頃、ぼくは古くて狭い5軒長屋の宿舎に入れられていた。ある夜、ベッドに座り机の上に開いたヨガの本を読んでいた。3月中は寝る前に扇風機を止めることもあったが4月に入ると扇風機は回り続けている。アシュラムの英文ヨガ・テキストを英和辞典を片手にぼくは悪戦苦闘をしていた。その時、机に向っているぼくの右目の端が何か動く物を捕らえた。前にある机の左端から右斜め後ろへ床の上をすぅ~と動く。扇風機の風が糸くずを動かしたのだろうか。動いた物はどこへ行ったのか、ちらっと見るとトイレとシャワー室へのドア辺りへ行ったようだ。ドアを囲む木材もドアの下部も朽ちかけその窪みは暗い。何となく気になったぼくは懐中電灯を手にしてベッドから降りた。宿舎は4・5畳ぐらいの広さで入口の左側に壁に沿ってベッドと机が置いてある。トイレとシャワーは右側のドアから入るが隣の部屋との共用になっている。暗い窪みに懐中電灯の光を当てながら近づいていく。窪みに何か黒いものがいるようだ、が朽ちた木の隙間と一体化して何だかはっきりとは見えない。なおも近づきながらライトを当て左手を出そうとした瞬間、黒いものがビクと動いた。ぼくは手を引きじぃっと見ていると黒い形をしたそれの全体像がはっきりと見え始めた。両手を床に着け尾を跳ね上げ逆立ちをしている濃褐色の生き物だ。その生き物もぼくを見ているのではないだろうか。図鑑や映像による予備知識はある、がそれと当面している現実の出会いとの認識の照合確認に数秒の時間が必要だった。これはゴキブリでもムカデでもない。これがサソリという生き物なのか?
「どひぇ~~~~~」
ぼくはベッドに飛び乗った。

 サソリはアフリカに生息するものだとぼくは固く信じていた。突然こんなところに現れてもらっては困る。ぼくは度肝を抜かれサソリがベッドに上がってくるのではないか、とキョロキョロ周りを見回す。何とかしなければ、これではトイレには行けないし、ベッドで安心して眠ることも出来ない。ぼくはベッドの上でサソリの発音を和英辞典で調べた。長屋の奥にインド人が住んでいる。彼はハタ・ヨガのインストラクターだ。彼なら安全に処理してくれるのではないだろうか。ぼくは彼の部屋へ行き状況を説明し助けを求めた。ノープロブレム、彼はおっちょこちょいの一面はあるが人柄は悪くない。ぼくについて部屋に入った彼に懐中電燈を渡すとぼくは逃げ腰でベッドに上がった。ぼくが指し示す場所へ、パタパタとサンダルの音をさせながら無神経に彼は近づく。彼はしゃがみ込んで木の窪みに懐中電灯の光を当て、その先をじい~と見ているかと思ったら、いきなり奴はびびって2~3歩後ずさりをした。
「やばい、こいつに刺され3日間も高熱にうなされた」
「どうする、サソリがここにいたらぼくは困る」
うぅんと唸っていたが、奴は掃除用の藁ほうきを持って来ると
「エイー」
と、ばかりに窪みからサソリを追い出した。サソリは驚いてかトイレとシャワールームがある方へ、尾っぽを跳ね上げ逃げて行ってしまった。
「どうだ」と奴。
藁ほうきで向かう 2軒先が彼の部屋だ 逃げ出したサソリはどこへいくのか
初めから彼は殺す気持ちなどなかったのだ 
生あるもの サソリも蛇もカラスも木々、花々、そして人間も
聖なるガンジス河と山々によって生かされている

ぼくの勉強机

別館下に行くとババが青い本を持っていた、開くとヨガの本だ
[エスコ ケトナパイサ] これなんぼや
[ジャパニババ パイサナヒィン] ジャパニババ お金はいらん
ババから手に入れた青い本 ぼくが学んでいるアシュラムが著作元だ 日本で読んだヨガの本
その一冊がこの本を翻訳されたことに気がついた 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クマルとサソリ・・・2

2023-02-09 | 心の旅・追想
 夕方の瞑想と食事が終わるとぼくはいつものようにガンガ河畔のババ達のところへ向かった。ババ達はぼくが来るのを待っている。懐中電灯の灯りが闇の中でチラチラと光り、別館下を照らすと暗闇の中に座っているババ達の顔が浮ぶ。シャンボー、とババの声がする。

シャンボーと言ってぼくは座りチャラスをババに渡す。1本目のチラムが回り始める。
「オーム・ナム・シバー」
「ボーン・サンカール」
ババ達はそれぞれの神を讃えてチラムを吸う。突然、雨季でもないのに雨が降り出した。しかし、ここは別館下だから雨に濡れる心配はない。雨は激しくなる。2本目のチラムが終る頃には小雨に変った。ちょっとふらつく足どりでぼくはアシュラムへ戻る小道を歩いた。 やっと部屋にたどり着きベッドに腰を掛けようとした時、ベッドの敷物の上に茶褐色をした何かがいる。何だろうというふうに近寄って見たぼくは2~3歩後ずさりをした。
「どひぇ~~~~」
「サ、サ、サソリじゃないの君は?」
2度目の出会いである。姿は細長い海老のようだがはさみと上半身のサイズに比べると尾っぽは細く尖っている。その尖った尾っぽの先に毒を出す針があるらしい。
 クマルの馬鹿、藪から棒ではなくサソリとは。季節外れの雨に軒を刈られちゃサソリだって避難するしかないだろう。藪に生息する生き物へ藪の一部を残すとか、そのような配慮や愛があればこのような事態にはならなかった。歓迎されざる生き物の侵入を招いた責任はクマルにある、馬鹿。

「殺す」
 入口のドアからある一定の間隔でそれはいた。屈み込んで見ると紛れもなくサソリだ。乳白色をした子供だろう、うずくまって動かない。びびっているわりには一瞬、ぼくは写真に撮ろうかと思っ た。しかしフラッシュで親サソリが目を覚まし走って物陰へ隠れたらやばい状況になる、やめた。殺すしかない、まず親からだ。腕の長さと手に持ったサンダルで叩き潰せる距離までぼくは忍び寄った。親サソリは疲れているのか尾っぽを跳ね上げる攻撃的な姿勢をとらない。力一杯サンダルを打ち下ろすと、そのサンダルを履いてぼくは子供サソリを次々と踏み潰した。潰れたそれらは箒で外に掃きだした。
生あるものを慈しむインド人はぼくに言うだろう
「何も殺すことはない」


この土台の上には ぼくが学んでいるアシュラムの約20畳程の別館が建てられている   

   


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クマルとサソリ

2023-01-08 | 心の旅・追想
 ヨガ・アシュラムに入って2週間が過ぎただろう。アシュラムの日課は日曜日を除いた毎日、夜明け前と午前10時から、それと日没までの3回、各1時間の瞑想である。それともう一つは午後のハタ・ヨガ(エクササイズ)である。この4つは特別な事情がない限り参加するよう一応は義務づけられている。アサナという瞑想をするポーズが何点かあるが同じ姿勢で1時間、瞑想を続けるのは中々に難しい。自分に合ったアサナを選ぶ必要がある。瞑想の姿勢をしたとき頭から背骨が真直ぐに立たなければならない。しかし日常生活では姿勢がどちらかに傾いていたり、体がねじれていたに違いない。1週間ぐらいは真すぐに座ることが出来た、がそうする為に背中の筋肉は無理をしていたのではないだろうか。その後、瞑想の姿勢をすると背骨の両側から背筋全体が痛くてとても瞑想どころではない。部屋へ戻るとベッドの上に丸い薬ビン(正露丸)を置いて横になり背中を押し当て転がって一人でマッサージをしていた。そんなぼくを窓の外から不思議そうな顔をして覗いている奴がいる。何をやっているんだ、ジャパニーは?奴の顔にはそう書いてある。クマルである。
 ネパール人クマルはアシュラム内の庭や花壇の手入れを仕事としている。何度か見かけたことはあるが話しをするのは初めてだ。まあ話しをするというよりは殆どボディー・ランゲジーだ。
「ジャパニー、マッサージ、マッサージ~?」と言いながら彼は手で揉む仕草をする。
「おぅそれだ、マッサージ、それだよぅ~」
指で彼を差しながらぼくは起き上がる。
「待て、ちょっと待て」と言ってクマルは部屋から出て行った。
奴は何をするつもりなのか?ちょっと不安もあったが背中の痛みは我慢ができない。そこへ食用油が入った小ビンを持ってクマルが戻ってくると、上半身裸になってうつ伏せに寝ろと言う。横になるとぼくの背中にオイルを塗ってマッサージを始めた。オイルを塗った背中を指で滑らせると硬くなった筋肉が分かるのだろう、そこを親指でぐいと押される。とてもじゃないが痛くて、うぅと唸ってぼくはベッドを拳で叩き足を跳ねる。クマルは面白しろそうに笑いながら硬い筋肉をほぐしていく、30分ぐらいマッサージをやってもらった。楽になった、有り難うとぼくが起き上がると目の前に奴の手が出てくる。インドで無料の奉仕などあり得ない、しょうがない5ルピーを手の上に置くとクマルは部屋を出て行った。それからぼくの顔を見るとマッサージ・マッサージと言うようになった。


追記
1月六日 不可解なコメントの書き込みがあった あなたは何者? ぼくも 君こそ何者?
文章を書いたが2件とも削除した その日 画像一覧は17という数字だった 分からない
昨日 考えていた 糸口は編集トップにあった 本名と思われる名前が書かれている S君か?
彼は僕より先にベトナム ィンドの旅をして写真集を出版していた 検索から僕のブログ入った
マラリア・1の画像を見たのだろう うかつにPhoto by M Sakai を記入していなかった
マナリで僕の噂を耳にしてマクロードガンジに訪ねてきた パキスタンに寄って帰国するという彼に
目黒のアパートに彼女を残しての旅 喫茶店で働いている 指輪を渡してくれと依頼した
S君だったらこの話を理解してくれるだろう 訪問してくれたらコメント頼む ブログネームはtomyで・・・
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南インド マドライへ・・・2

2022-12-14 | 心の旅・追想
「あのバスだぁ~」
やれやれだ、しかしまあぁ大分と走ったなぁ~
「荷物を持ってすぐ降りて来い 帰る」 
我が耳を疑ったが 「すぐ戻るんだぁ~~」と確かにぬかしやがった。
「あほか おいらはこのバスに乗ってマドライへ行くぅ~うん」
窓際でわめきちらすごっついタクシー野郎、停まったままバスは発車しない。
車中のインド人達が発する重い迷惑感に満ち溢れたバスからぼくは追い出されてしまった。
来た道をタクシーは帰っていく。オ~~マイガァ~~
英語の下手な野郎だ 口調の流れはつかめないが時々ュ~アンダ~スタ~と発音が大きい。
[わかっとんか おぅジャパ二ィ~]
お前の話なんて聞いてる暇はない、行きはしょうがない、が帰りを含めた金額だ
どうせふんだくるんだろう、お前の根性は見えみえだ。アィ ガッチュ~
スーパーエクスプレス、セブン・サーティ。エクスプレス、セブン・フィフティーン。ローカル、セブン。
アンダ~スタ~???
来た道をタクシーは帰っていく、不合理のような気もするが。
「心配するな」とすまし顔の奴。
ぼったくりの往復料金を稼ぐつもりなんだろうなぁ まぁしょうがないか。
どうせバスは待ってはいないだろう。手持ちの乗車券を翌日に変更するという
困難で難解なインド人との交渉だけが待っているのだろう。
しかし、タクシー野郎の言うことが本当だろうか?7:15分発の急行バスに
荷物を置いたぼくのミスなのか?う~ん そうかもしれんなぁ~
タクシーは左折しバス・ステーションに入っていく。
停車している一台のバスの前にまわり込む。
「金を払ってさっさとこのバスに乗れ」
ぼくを乗せてバザールへ走ってくれたバスと運転手だ。
待たされたインド人たちの呆れ顔が見え々だ。その視線が束となって
間抜けなジャパニーに降りかかる。「すんませぇ~~ん」右手を上げながら
自分の座席に座るとバスは発車した。
フィシュカレーの美味しかったカニヤクマリよ  バイビ~
おいらはマドライへ行くんだょ~~ぅ

因みにバス代は35.5ルピー、安ホテル一泊45ルピー、タクシー代は
60ルピーであった。


スリランカ 南インドそれぞれ1ヶ月の旅は終わった マドラス~デリーexp 48時間の列車の移動 車中で会った砂漠の家族と少女
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南インド  マドライへ・・・1

2022-11-09 | 心の旅・追想
これで二度目だ。バスはぼくの荷物を乗せて持ち主のぼくを置いて走っていった。一度目はリシケシからデリーへ戻る時だ。出発までまだ30分程の時間がある。インドの朝、何はともあれミルクたっぷりあま~~いチャイである。
座席を確保するため荷物を置いてチャイをいただきにチャイ屋へ。
満足してバス停へ戻るとバスがいない。
「バスはどこいった、お~こら」大声で叫んでいると「バスはいった」とぬかしやがる。
「時間前にいくんか お~~こら」「そんなこともある」すったもんだしていると
客引きの助手が気づいたのかやっとバスが戻ってきた。ノープログレムで一件落着だ。
今回も同じようなものだ。チャイ屋から戻ってくるとバスはまさに大通りへ出ようとしていた。
肩からぶら提げたずだ袋を押さえて「そのバ~スまたんかぁ~」叫んで走った が行ってしまった。
それを見ていたのだろう
「どうした」バス会社の人間だろうか?
「どうもこうもねぇ~だろう」バスのチケットを見せて
「さあ どうしてくれんだぁ~~よ~」
奴は近くのバスの運転席に乗ると
「さぁ 早く乗れ」と言う。
あほか?先に行ったバスをバスで追っかけるのか?
しかし、それも一つの手段ではある。何もしないよりは可能性はある。
インドのことだどうとでもなれ・・・バスは出発した。
大通りを右折するとマドライ方面の筈だ しかしこのバスは左折する。 
近道でもあるのか?と思っていると近くのバザールの前でバスを停め
クラクションを鳴り響かせた。
手招きされた男と窓越しに何やら話をしていた。
「あの男についていけ」
タクシーで追いかけろというのかぁ~~
 

インド亜大陸最南端 カニヤクマリの夜明け 波間に漁をする小舟が見える
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マラリア・・・2

2022-10-18 | 心の旅・追想
聖地ベナレス、ガンジス河に近い馴染み宿は3軒とも満室で断られた。どこでも良いから早くベッドで横になりたいとW君、そこへ客引きが来た。ガンジス河沿いに2ヵ所ある死体焼き場の下流側の近くの宿だった。風向きによっては死体を焼く独特の臭いが部屋に入ってくる。
夕食に出掛ける前、W君に体温を計らせた。38度、抗生物質を使うには迷う体温である、もう一晩様子をみますと言う彼にぼくも同意した。夕食後ガンジス河畔を散歩し宿へ戻ったぼくは顔を真っ赤にした異様なW君を見た。体温を再度計らせると40度を超えている。ぼくは大声でマネージャーを呼んだ。緊迫した状況を理解した彼は息子をドクターの所へ走らせた。 
 ドクターはすぐに来てくれ、その診断は5分を必要としなかった、マラリア。W君の発症の兆しは思えば3日前にあった。危険な症状に陥っているのだろう、至急この薬を買って来なさい。ドクターはぼくにメモ紙を渡した。すでに夜、ベナレスの裏路地は恐怖の迷路だ。
「ぼくが案内する」と マネージャーの息子。
ホテルを出ると彼は急いだ。薬屋が閉まる時間を知っているのだろうか1軒、2軒、3軒だが薬はなかった。州境を越えてここはウッタル・プラディシュ州、マラリアの危険度が低いのかその薬を薬屋は常備していなかった。店仕舞いをしていた4軒、5軒目も「ない」もしあるとしたら大学の医局だろうと教えてくれた。
広いキャンパスの中をオート力車で尋ねながら走る。ある建物の前に力車を停めると、彼は玄関ロビーから奥への廊下を急ぎ足で進んだ。数分後、彼は白い紙包みを手にし部屋の中から出てくる「戻ろう」と言った。
1時間半は経っている、ぼくらは黙ってオート力車に乗った。

朝、W君の高熱は37,5度まで下がっていた。もう心配することはない、峠を越えた。昨夜の記憶はおぼろにあるのだろうか、彼の表情はちょっと空気が抜けた風船みたいだ。ぼくはガンガ河畔を散歩しながらチャイ屋へ朝食に行く。死体焼き場には火がちょろ々と燃え煙が辺りに漂う、その横をすり抜ける。
通りには沐浴に向かう多くの巡礼者とガンガの聖水を持ち帰るインド人の流れがある。死は日常生活と平行しその空気は淀み重い。ぼくがベナレスを好きになれないのはそのせいかもしれない。
しかし今回はベナレスの神々に感謝する。一人の日本人の命を救ってくれた。オーナー、息子、ドクターそれと大学病院の医局、すべて幸運に恵まれた。
元気になったW君と別れる。ぼくは2週間のトランジット・ビザしか持っていない、2週間以内に第3国へ出国しなければならない。朝、8時ベナレス発のバスに乗ればゴラクプールには昼頃に着く、バスを乗り換え約1時間で印・ネ国境の町スノウリだ。ボーダーで1ヶ月のビザを収得しポカラへ行くことにした。 


レークサイド、小さな村にぽつんと1軒の宿があった。赤土の土間に6台のベッドがあるだけ
宿泊客はぼくとカナダ人のボブ 朝起きるとモーニン にっこり微笑んでチャイはいかが
滞在中、少女笑顔で1日が始まり日課となった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マラリア・・・1

2022-09-06 | 心の旅・追想
 ぼくはいつもひとり旅をしていた。ビハール州で日本人のW君と1週間程旅をしたことがある。ビハール州はマラリアの危険地帯である。
仏教の聖地ブッタ・ガヤには仏教国の寺院が点在している。ぼくらはチベット寺に宿泊の許可を求めた。日本寺があるのに、と一言嫌みを言われたが泊めてくれた。
モハンの茶屋で晩飯を食べ終えたころW君がやって来た。メジテーションをしていました。窓が開いていたので蚊が入っていると思います。日本製の蚊取線香があるので使って下さい。
蚊は必要な量だけ吸えば飛んで行きます。小さい斑点が残るだけです。叩こうとすると蚊は自分を守るため痒くなる物質をだして逃げます。
「なるほど、そういう事か」
日本製の蚊取線香は凄まじい。煙を出して十分もしただろうか?広げた新聞紙の上にぽたぽたと蚊が落ちてきた。新聞紙に集めた数匹の蚊を潰すと今吸ったばかりの鮮血だった。その中のひとつの蚊がマラリアを媒介しW君に感染させていた。そのことをぼくらはまだ知らなかった。
(ブッダ・ガヤ)

  Photo by M Sakai
 翌日、早朝の列車でガヤからベナレスへ移動する、その為ガヤ駅近くに宿をとった。W君を夕食に誘ったが、食欲がないと言う。食事を終え駅で急行乗車券2枚を買ってホテルへ戻った。ドアを開けると咽かえるような蚊取線香の煙、その中で毛布に包まって横になっているW君。煙が息苦しくてぼくはチャイを飲みに外へ出た。
 出発の朝。準備をしていたぼくはW君に声を掛けた。 「ぼくも出発します」
もし同行者の足を引っ張るようなら、ひとり残って体力の回復を待って旅を続けなければならない。彼のバックパックはどうみても20kgはあるだろう、弱った体力を苦しめる。ものを所有することから人間の苦悩が始まる(ブッタ)
救いを求める甘さがあるなら旅は続けられない。誰も救いの手を差し延べはしない。旅は心の旅の中から生まれる。
ガヤ~ベナレスは約4時間の列車の移動だ。大混雑で難儀するインドの列車しか知らないぼくにとって初めての体験になった。車中はガラーンとし、W君は風邪でしょうか?と言いながら風邪薬を飲んで横に置いたバックパックに身体を寄せた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国境 ぼくの敗北で幕を引いた

2022-08-08 | 心の旅・追想
連れて行け~と怒鳴って命令でもしたのだろう二人がにじり寄ってくる。
「プリーズ ウェィト ウェィト ボス」 我々は話し合うべきだ、必ず良い方法を見い出せるだろう。
英語でそれらしいことを言ったのだが伝わっているかどうか不明だ、とにかく時間稼ぎで喋ることだ。
ユーキャンゲッ グッドマネ~ アィド オールレディ サムシン イィッ。
変な文脈の中で最も重要だと思われる マネ~という単語がボスの心を刺激したのか、彼の態度に変化が現れた。
マネ~かぁ~・・・ そういうことなのか奴らの目的は、だとすれば今回の全体像が見えてくる、タイのチケット売り場、国境ゲートの警備隊もだ。
黙って通らせて帰りにとっ捕まえる、まるで絵に描いたネギを背負った鴨をおいらは真面目に演じていたのだ。
「ハウマッチ ユゥドラィク マネェ~」
「テェン タウザァン」 
「ノ~ノ~ツゥーマァッチ タウザァン オンリィ~」
机の上をどぉ~と拳骨かまして「ネェバァ~ ダウン」と叫びやがった
額の開きは大きいがお互いにサバをよんでいる。すったもんだと30分程もやっていたが決着をみた。
2000バーツふんだくられたぼくの敗北で幕を引いた。

べぇ~ろ~ぅ てぇめぇ~ぇ 二度とミャンマーなんかくるかぁ~
と悪態ついてトラックの荷台に乗り次の目的地へ向かう。虎の牙だと思って300バーツも出して買ったのに運転手は笑って豚の牙だ、300バーツも払ってお前はアホかという顔をしていた。虎の皮の前で売ってんじゃねぇ~よぅ くそじじぃ~ぃ
虎の牙 


(これ本当の虎の牙だと思うでしょう・・・・・)
(だって豚の牙なんでしょう~~)
(う~ う~ う~  う・・・・・  )

牙はない画像だけが残っていた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国境警備隊に連行・・・?

2022-07-03 | 心の旅・追想
制服を着た二人の男がぼくの両脇に身体を寄せてきた。
「何なんだ こいつ等は・・・」
両腕を持つと目の前に建つ小屋の方へ歩き出す。中へ入ると奥の大きな机に向かって座っている男がいた。
肩と襟章が光っている、軍服か?すると奴等は国境警備隊か?まだぼくには事情が理解できないのだ。
「お前はどこから来た」 生意気な奴だ、命令調である。
「日本だ」 何故ここへ連れてこられたのか・・・ 様子を見るしかない。
「ミャンマーへ入国するにはラングーンから入国しなければならない」まあ そうだろうなぁ~
「ィエッサ~」
「ミャンマーへ入国するにはビザが必要である」  まあ 必要だろうなぁ~
「ィエッサ~」  と答えてやっと状況が見えてきた。
「パスポートを出せ」  確定的だ。
ぼくは密入国し国境警備隊に逮捕、連行され取調べを受けている、そんな絵が見える、ネガティブだ。
横にいる奴はうるせぇ~手錠をがちゃ々と鳴らしやがって脅かしてくる。
後ろを見るとドアーの前に立った奴は自動小銃というものなのだろう、銃口を天井に向け横の取っ手を上下に動かしぼくを見張っている。
「パスポートを出せ」 と言われてもないものはないのだ。ホテルへ置いてきた。
「アィ ハブン パスポート ノウ」
「ワッ ワッミ~ン」 ワッミ~ン? 意味などない。今日はやばい場所へ行く、ドル、小切手、パスポートはホテルの重いベットの下に隠してきた
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする