日本の貧困率は16%。6人に1人は貧困ライン以下で生活しています。OECD諸国のなかでも4番目に高い。政府のやろうとしている労働法制の規制緩和を行えばさらに貧困は深刻なものになってしまいます。生活保護基準より低い年収など本来あってはならないことです。
日本の生活保護の利用率は1.6%と諸外国に比べて極端に低い。しかも捕捉率は2割程度といわれています。
生活保護改悪法案が強行されるようなことがあれば、生活保護はますます利用しにくいものにしてしまいます。捕捉率の低さ、「受給漏れ(漏給)」こそ問題だのです。憲法第25条違反なのです。
充分な審議もせず。法案の強行、「水際作戦」の合法化は許されるものではありません。←応援よろしく
生活保護法改正 審議わずか8時間半 参院厚労委 (東京新聞2013年11月8日)
参院厚生労働委員会は七日の理事会で、生活保護費の抑制策を盛り込んだ生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案の審議日程を協議。自民、公明の与党は採決を十二日午後に行う案を示した。民主党が回答を留保したため、十二日の理事会で再協議する。
理事会では、十二日午前に東京都新宿区の福祉事務所や経済的に困っている人を支援するNPO法人を視察した後、午後に二時間半の質疑を行うことで一致。与党はその後の採決を提案した。
両案は衆院より先に参院で審議されることになり、五日に参院厚労委員会で趣旨説明が行われた。実質的な審議に入ったのは七日。与党側の提案通り採決が行われれば、参院での審議はわずか八時間半で終わる。
生活保護法改正案は申請の際に所定の書類提出を義務付けるなど申請手続きを厳格化して、親族などの扶養義務も強化した。反対の共同声明に賛同する研究者が千人を超えたのをはじめ、有識者や支援者の間で「窓口で申請を拒む水際作戦を合法化するものだ」と反対の声が広がる中、採決を急ぐ姿勢は批判を浴びそうだ。
政府は五月に両案を先の通常国会に提出。与党や民主党などによる修正を経て衆院を通過した。参考人質疑も含めて衆院厚労委での審議時間は十二時間だった。参院でも八時間ほど審議を行ったが、参院選前の与野党対立の影響で審議未了・廃案になった。政府は修正を踏まえ、今国会に再提出した。
長野市:生活保護申請「援助前提」…親族に書面配る 毎日新聞 2013年11月08日 21時32分
生活保護の申請手続きを巡り、長野市が本人の資産などと同様に、親族の金銭的援助を活用しても生活に困窮する場合しか保護を受けられないかのように読める書面を親族に配っていたことが分かった。生活保護法の趣旨に反するが、親族への遠慮から申請を取り下げたケースもあった。厚生労働省は同様の表現があれば改めるよう全国の自治体に8日付で通知した。
7日の参院厚労委員会で共産党の小池晃議員が明らかにした。市は脳梗塞(こうそく)で働けなくなった男性の申請を受け、男性の姉に扶養ができるかを書面で照会。その中で「保護は扶養義務者の扶養(援助)を優先的に受けることが前提」と説明した。
同法は扶養を「保護に優先して行われる」と規定するにとどめ、受給の要件にはしていない。だが、最終的に男性は姉に説得される形で申請を取り下げた。
市は少なくとも2007年以降この文書を使用。担当者は「(申請を門前払いする)『水際作戦』の意図があるわけではないが説明がまずかった」と話した。
申請手続きを巡っては、臨時国会で審議中の同法改正案が親族の扶養状況を書面で提出するよう原則義務付け、支援団体から「今以上に受給を抑制させる」と批判が出ている。
生活保護 「親族扶養が要件」は誤り
厚労省が「是正」文書 小池議員の追及受け しんぶん赤旗2013年11月9日
生活保護を申請した人の親族に対して各地の自治体が、親族の援助が保護受給の要件であるかのように書いた書類を送りつけて申請をしめ出している問題で、厚生労働省は8日、「扶養義務が保護を受けるための要件であると誤認させるおそれのある表現となっていた」と認め、「可及的速やかに改善を図る」よう求める事務連絡を全国の自治体に出しました。日本共産党の小池晃参院議員が7日の厚生労働委員会で親族への不当な調査強化について「受給権を侵害するものだ」と追及していました。
![]() (写真)厚労省が8日、全国の自治体に出した事務連絡文書 |
小池氏がとりあげたのは、生活保護申請者の親族(親子や兄弟姉妹)に対して収入や資産、負債、健康保険の加入状況などを報告するよう求める自治体の調査書(扶養届書)。調査書には、保護にあたっては「扶養義務者の扶養(援助)を優先的に受けることが前提」(長野市)などと生活保護法に反する記述までありました。
7日の質疑で小池氏に対し、田村憲久厚労相は「(親族の扶養は保護の)前提ではない。きちんと指導する」と答弁していました。
自治体への事務連絡で厚労省は、扶養義務者の扶養が保護の「要件である」と「誤認」される表現を改めるよう要請。「保護のしおり」などについてもチェックするよう求めています。
法改悪 きっぱりやめよ
小池晃参院議員の話 憲法に保障された生活保護の受給権を侵害するような文書を改めるのは当然のことであり、申請を締め出す“水際作戦”を批判する世論と運動を無視できなくなったものです。
こうした文書を使った“門前払い”など、生活保護法の改悪を先取りした動きは直ちに改めるべきです。親族に対する調査を強化し、“水際作戦”を合法化する生活保護法の改悪はきっぱりやめるべきです。