昨日の続きのような話。デフレの原因は「賃金の下落」にあると富士通総研のホームページの「コラム」です。とくに、日本の場合は非正規労働者の賃金が正規の半分程度と大きな格差があること。「同一労働・同一賃金」が守られていないこと。やっぱり雇用は正社員があたりまえの社会に、人間らしく働けるルールある社会にだ。企業の社会的責任が問われている。
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2010年8月20日(金)「しんぶん赤旗」から
賃金の下落がデフレの原因 富士通総研HPで指摘
同一労働 同一賃金 日本では守られず
物価が恒常的に下落する「デフレ」の本当の原因は、「賃金の下落」にある―。大企業のシンクタンクの一つである富士通総研のホームページに掲載されたコラムが指摘しています。「米国は日本のようなデフレにはならない」と題したコラムは、日本の場合、ほかの先進国と違って賃金が傾向的に下がり続けて、勤労者が購買力を失い、そのことが物価を押し下げる要因となっていると指摘します。
コラムはさらに、日本で賃金が下がり続ける原因について分析しています。第一に、「雇用を維持するためなら、賃金は多少下がってもやむをえない、という考え方が支配的」と指摘。その背景に中途採用による再就職が難しいことがあるとしています。また「ヨーロッパでは組合が企業単位ではなく職能別で組織率も高く、全国一律の賃金体系が維持されており、個別企業の事情で賃金をカットすることは難しい」ことを挙げ、全国一律の最低賃金制度のないことなど、日本と欧州の違いも指摘しています。
第二の原因として、「賃金の安い非正規労働者の採用が大幅に増えた」ことを挙げています。非正規労働は外国にも存在するものの、日本の場合、「彼ら(非正規労働者)の賃金が正規の半分程度と、大きな格差がある」と指摘。ほかの先進国については、「同一労働・同一賃金が日本より守られており、このような格差がない」ために、「正規労働者を非正規に置き換えることでコスト削減するというインセンティブ(誘因)はない」と述べています。
「デフレを克服」する対策としてコラムは、「非正規労働者の賃金格差の縮小、最低賃金の引き上げなどに真剣に取り組むべきだ」としています。
本当の原因は賃金の下落 (米国は日本のようなデフレにはならない 富士通総研)
デフレが日本特有の現象である以上、原因も日本特有のものがあるはずだ。それはグラフで示しているように、日本でのみ賃金が傾向的に下がり続けていることだ。賃金が下がれば、勤労者は購買力を失う。そのため企業は価格を下げて販売量を維持しようとする。価格が下がれば生産性の向上がない限りコストを下げるため賃金のカットが避けられない。こうしてデフレと賃金下落のスパイラルが続いているのが日本の現状だ。米国でも欧州でも賃金の下落は観察されておらず、特に米国の賃金上昇率はわが国と比較するとかなり高い。なぜ賃金の動きが重要かと言えば、CPIに占めるサービスの割合は日本で5割、米国や欧州は6割にもなるからだ。言い換えれば先進国のCPIはモノよりもサービス価格の方に大きく影響を受けるのだ。そしてサービスの価格は直接的に賃金と連動する。人件費が下がればサービスの価格は下がる。逆に人件費が上昇する限りサービスの価格は下がることなく、物価全体も下がらない。
【図1】日、米、独の消費者物価(CPI)と賃金(前年比上昇率)