道理のない生活保護費の大幅な引き下げ、生活実態とかけ離れた引き下げに抗議の声が広がっている。
弱い者いじめをしておいて、なお、当然の権利である審査請求の妨害をするなどはもってのほかである。
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2013年8月20日(火)
「生活保護費 減額やめて」の審査請求
福祉事務所が受け取り拒否
各地で続出
生活保護制度の発足以来、最大の保護基準引き下げが自民・公明政権によって強行されたことに対して、保護費減額の撤回を求める審査請求の運動が全国で急速に広がっています。そのなかで福祉事務所に審査請求書を提出しにいくと、「府・県庁に行くように」と受け付けない誤った対応をする福祉事務所が各地で続出していることが分かりました。
適正な手続きを 厚労相に4団体

(写真)会見する全国争訟ネット、全生連、中央社保協の代表ら=19日、厚生労働省 |
「生活保護基準引き下げにNO! 全国争訟ネット」や全国生活と健康を守る会連合会(全生連)など4団体の代表は19日、「適正な審査請求手続の確保を求める要望書」を田村憲久厚生労働相あてに提出しました。
要望書は、福祉事務所にも審査請求を受け付ける義務がある(行政不服審査法)ことの周知徹底▽福祉事務所は、生活保護利用者が審査請求をしたことを理由として不利益な取り扱いを行ってはならないことの周知徹底▽審査庁(都道府県)の審査体制整備の指導と援助などを求めています。
代表らは申し入れに先立って記者会見しました。
全国争訟ネットの小久保哲郎弁護士は、インターネットや6、7日に実施した全国一斉ホットラインなどを通じて1日以降9件(大阪市、横浜市、沖縄県、仙台市、大阪府寝屋川市など)の審査請求妨害の相談・報告が寄せられたと紹介。大阪市では、本庁が各福祉事務所に対して、「まずは府庁に提出せよ」と指示するよう指導をしていたことが判明し、仙台市の事例では、弁護士が間に入ってやりとりしましたが、受け付けるまで2時間かかったといいます。
小久保弁護士は「こうした事例は氷山の一角と思われる」と指摘。同省が9日付で都道府県に出した事務連絡(審査請求人が審査請求書を福祉事務所に出した場合は福祉事務所が都道府県知事に送付する)のいっそうの周知を求めました。
全生連の安形(あがた)義弘会長は、一連の妨害の動きとは逆に、福岡市ではすべての福祉事務所の窓口に審査請求についての説明書を置き、記入の仕方を丁寧に伝えている、と紹介しました。
4団体がおこなった要望書(生活保護問題対策全国会議ホームページより)
2013年8月19日
厚生労働大臣 田村憲久 殿
生活保護基準引き下げにNO!全国争訟ネット
共同代表 尾藤廣喜・竹下義樹
生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜
全国生活と健康を守る会連合会
会 長 安 形 義 弘
中央社会保障推進協議会
事務局長 山 口 一 秀
適正な審査請求手続の確保を求める要望書
第1 要望の趣旨
1 福祉事務所にも,審査請求を受け付ける義務があることを周知徹底してください。
2 福祉事務所は,生活保護利用当事者が審査請求を行ったことを理由として,不利益取扱いを行ってはならないことはもちろん,そう疑われる行為も厳に慎むべきことを周知徹底してください。
3 審査庁(都道府県知事)又は処分庁(福祉事務所)が,審査請求人に対して,審査請求の全部又は一部の取り下げを働きかけるようなことのないよう周知徹底してください。
4 審査庁に対し,迅速かつ適正な審査を行うことができるよう,審査請求事務に関する人員体制を整備すべきことを指導するとともに必要な援助等を実施してください。
第2 要望の理由
1 福祉事務所による審査請求受け付けの徹底
行政不服審査法17条1項は,「審査請求は,処分庁を経由してすることもできる。この場合には,処分庁に審査請求書を提出し,又は処分庁に対し第15条第1項から第3項までに規定する事項を陳述するものとする。」と規定し,同条2項は,「前項の場合には,処分庁は,直ちに,審査請求書の正本(略)を審査庁に送付しなければならない。」と規定しています。
しかし,全国各地の福祉事務所において,別添の資料のとおり,提出された審査請求書が受け付けられず,一部自治体(大阪市)においては,本庁が各福祉事務所に対して,まずは府庁に提出せよと回答するよう指導するという違法な事例が報告されていますので,要望の趣旨1のとおり要望します。
2 審査請求に対する不利益取扱い禁止の徹底
生活保護利用当事者からは,審査請求を行うと福祉事務所から睨まれるのではないか,不利益取扱いを受けるのではないかという不安の声が極めて多数寄せられています。実際,大阪府寝屋川市では,審査請求を呼びかけるチラシを配布した支援団体関係者に対して,担当次長が「役所にたてつくようなビラを撒きよって」と述べたという事例も報告されています。
そこで,当事者に上記のような不安感を抱かせるようなことのないよう,要望の趣旨2のとおり要望します。
3 審査請求の取り下げ勧奨禁止の徹底
審査請求は法が認めた不服申立の権利ですから,審査庁又は処分庁が,当事者に対して,その全部又は一部の取り下げを働きかけるようなことは絶対にあってはなりません。しかし,一部の審査庁においては,生活保護基準引き下げ以外の理由による減額が重なっている場合に基準引き下げ以外の理由による審査請求部分を取り下げるよう勧奨されたという事例が報告されています。審査庁が審査請求の対象となる処分や理由について釈明を求めることはあり得たとしても,一部取り下げを働きかけるようなことは断じてあってはなりません。仮に,基準改訂以外の減額理由も併存している場合には,その旨を指摘し,基準改訂以外の減額理由について不服な理由も書くよう釈明すべきものです。
したがって,要望の趣旨3のとおり要望します。
4 審査庁の審査体制整備の指導と援助
例えば,大阪府における審査請求担当職員数は3名,埼玉県におけるそれは2名と著しく少なく,裁決までの50日の法定期限(生活保護法65条1項)の不遵守が恒常化する原因となっています。
各審査庁において,法定期限の遵守を可能ならしめるだけの人員体制を確保するよう指導するとともに,そのために必要な財源の助成その他の援助を実施するよう,要望の趣旨4のとおり要望します。
以 上
〔添付書類〕全国争訟ネットに寄せられた審査請求妨害の事例 click