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にしみの鉄道情報局付属ブログ

寝台特急を引いた機関車たち・41 EF65P形 前編

2012-06-02 | ブルートレイン

ブルートレインを引くために生まれてきた機関車と言っても良いEF65P形。


EF65は1965年に登場した直流型電気機関車で、EF60の後継機として登場しました。EF60は定格速度が低く、ブルートレインや高速化を進めるコンテナ貨物列車を引くのには不向きでした。そこで歯車比を4.44から3.83に変えて、全界磁磁の定格速度を39.0km/hから45.0km/hに向上させています。
車体はEF60の3次形と同じ非貫通で、台車などの足回りは歯車比が異なる以外はEF60の2次形以降とほとんど同じとなっています。
主電動機は、EF70形やEF63形、EF60後期型で実績があるMT52形425kWで、機関車としての出力は2550kWとなっています。
10‰の勾配を1300tの貨物列車を引いて走行でき、客車列車では100km/hで走行できる性能となっています。
とは言っても定格速度が45.0km/hなので、高速域では牽引力がかなり減少します。45km/hの時の牽引力を100とすると、72km/hでは64%、80km/hでは46%、90km/hでは34%、100km/hでは26%、110km/hでは21%まで減少します。
つまりブルートレインにおける110km/h運転は、弱め界磁を最大に使用して、余力を振り絞って、性能の限界に近い運転です。これでもEF60形よりは高速性能が向上したのですが、EF65形はどちらかというと、最高速度85~95km/hの急行貨物列車や高速貨物Bに向いている性能特性といえます。110km/hでの客車14両のけん引は性能の限界近く、のちにこれが原因でEF65はブルートレインのけん引機から外されることになります。

一方内部機器は大きく手が入れられ、EF60の単位スイッチ式の進段装置から、EF62以来採用されている電動カム式の自動進段に変更されています。これにともなって、運転操作も大幅に簡素化され、自動ノッチ進め方式になりました。
また起動時の軸重移動対策として、6個ある電動機の界磁電流の調整ができるようになっています。
これ以外にも制御回路の交流化に伴うMGの搭載などの設計変更がされています。

EF65はこのようにEF60からの内部機器を中心に設計変更があるものの、EF60で実績のあるシステムを組み込んだ設計だったため、試作車や量産先行車で性能確認を行うことをせず、いきなり量産が開始されました。しかし、電動カム駆動モーターを主回路とバーニアで共用したことが原因でトラブルが多発し、途中で設計変更され、後々F形で大問題を起こすことになります。

EF65は前述のように試作車や量産先行車を製造せず、1965年1月に第1ロットが一気に47両製造され、つづいて早くも5月に第2ロット12両が製造されました。第1ロットの47両と、第2ロットの10両は貨物用の一般型でしたが、第2ロットの2両は一般型ではなく、500番台として製造されています。
この500番台は、ブルートレインけん引用に製造された、いわゆるP形と呼ばれる機関車で、塗装が異なり専用装備がされています。

続く

 

撮影 2009年5月23日 大宮総合車両センター

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