第三軌条方式(サードレール集電)の地下鉄の車両がローカル私鉄に譲渡される例は、2000年前後から複数の例が出ています。車両の供給元は、東京メトロ銀座線と、名古屋市交通局東山線、名城線で、同じ第三軌条方式の丸ノ内線や横浜市交通局、大阪地下鉄から国内の鉄道会社へ譲渡された例はありません。
現実問題として、18m車体なら大手私鉄からでも、中古車が出てきていて、わざわざ手間をかけて、第三軌条方式から架空集電に改造する必要がある地方私鉄への譲渡が進まなかったと思われます。
ただ16m車体は、国内でもあまり使っている鉄道がなく、まとまった数を使っているのは、国内では東京の銀座線と名古屋市の東山線、名城線ぐらいという事情もあります。
特に、ことでんの長尾線志度線は条件が厳しく、18m車ですら入線できませんでした。ことでんもいろいろ検討したらしいのですが、名古屋市から車両が出てきたので、置き換えを行ったようです。
ことでんへは東山線の先頭車の200形250形中間車の700形、名城線の1000形の中間車と先頭車の両方が移籍しています。
この613+614編成は元名城線1000形中間車(1705・1905)で、ことでん移籍時に先頭車改造されています。ことでんには元東山線の250形(中間車700形の先頭車改造車)も移籍していますが、これと同じデザインで先頭車改造されています。
国内の地下鉄の第三軌条方式は全て標準軌なので、狭軌の鉄道へ譲渡される場合は台車を別に調達する必要がありますが、名古屋市交通局からことでんへの譲渡は、標準軌同士なので台車をそのまま使っています。
そのため、ことでんの元名古屋市交車の台車には集電靴(コレクターシュー)の取り付け跡が残っています。名古屋市営地下鉄独特の弾性車輪もそのまま使っているようです。
撮影 2010年9月11日
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