2008年の9820系9020系最終増備車(9830F・9039F)以来16年ぶりの近鉄の一般車の新車である8A系、10月7日から運用を開始しました。8A系は奈良線でも運用されますが、阪神乗り入れ非対応のため、京都線主体での運用のようです。この日は京都~橿原神宮前間の普通列車運用に入っていました。
観光需要が多い京都線を考慮してクロスシートとロングシートの転換が出来るL/Cカーで、8A系は今までとは異なり、クロスロングの混在も可能になっているようです。京都線の普通だと、ロングクロスロングの状態での運用されていました。以前の関西私鉄では、ドア横のスタンションポールが無いのが通常でしたが、8A系では設けられています。もっとも関西私鉄でも、最近の新車ではこのロングシート横のポールを設けるケースが増えています。
優先席付近にはやさしばという、ベビーカーやスーツケースなどの大きな荷物を持った人向けの座席が設けられています。
近鉄の社紋が貼られていますが、意外なことに、この社紋がけいはんな線を除く一般車両に貼られるのは初めてだそうです。ドアは最近のA更新車でも採用されていますが、半自動スイッチ付きとなっています。
形式の付け方も、今回から5桁になり、アルファベットが入ったものになりました。上1桁が導入区線で、1・2が大阪名古屋線向け、3が京都市営地下鉄直通、5が特殊用途(けいはんな線直通などを想定)、6が南大阪線向けの狭軌車、7がけいはんな線、8・9が奈良京都線向けとなっています。
従来と近いのですが、5は以前は急行用でしたが、今回から特殊用途に変わり、上2桁のアルファベットで区分するように変更になりました。
このアルファベットですが、現時点で公表されている内容だと、編成両数の違い(2・3・4・6両など)、シートの違い(L/C、ロング、クロスなど)、外観形状(貫通式、非貫通式などの大幅なデザイン変更)、用途変更(観光列車化、団体車化、貨車化など)、機器や装置の方式変更(台車、制御、ブレーキなど)、そのほか管理上で変更が必要な時となっています。
現在4両編成3本が運用中ですが、2024年度中に奈良京都線系統に9本、来年度には更に9本導入され、合計84両が入るそうです。また来年度には大阪線には4両編成2本、名古屋線に4両編成3本、南大阪線には4両編成3本が導入されるそうです。
今回の新車で、8000系列のうち、8000系の全車と8400系の大半が廃車になると思われます。8月末の時点で8000系は4両編成が8本、8400系は4両編成が6本(他に田原本線用の3両編成が5本)が残存していて、それらより8A系は4編成多く入るので、8000系列の新製冷房車グループの8600系からも、1010系の中間車を挟んだ特異編成の8617Fが廃車になっています。あと大阪線向けの2両編成と名古屋線向けの4両編成は、2410系2430系の置き換えが行われるのではと考えています。
それで、今回8A系は車体幅2800mmの裾絞りなしの車体断面を採用しました。側灯などを除くと2780mmで、従来車の2744mmに比べて車体裾部分が36mm広がったので、五位堂、高安検車区に入場するため、大阪線の弥刀~大和八木~榛原のホームや軌道を若干修正して対応したそうです。奈良線は阪神車が車体幅2800mm、京都線は京都市交車が車体幅2780mmの裾絞りなしため、特に対応はないと思われます。
大阪名古屋線向けの新型車も、同様の車体幅2800mmの裾絞りなし車体断面を採用するのか、従来のような裾絞りありの車体形状を採用するのか、先祖返りしたような2740mmの車体形状を採用するのか気になるところです。
参考文献 鉄道ファン2024年11月号 新車ガイド 近畿日本鉄道8A系
撮影 2024年10月12日 京都 東寺
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