日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

慈善家などいらない共存共栄社会を

2008-05-30 19:10:28 | Weblog
ビル・トッテン氏コラムより
http://www.ashisuto.co.jp/corporate/totten/column/1187016_629.htm

米国ではl1917年以降、財団を設立して慈善事業を行うと税金が免除されるようになっている。巨額の富を持つ人の行う慈善の後ろには、「免税」という強力なインセンティブがあるわけで、米国を賛美し日本を貶める場合に、米国のでは金持ちが寛大な施しをしているとよく言われるが、それは決して正しい見方ではない。

前述したフィランソロキャピタリズムは、非営利団体が行う慈善事業をあたかもビジネスのように運営して社会を変えていこうという新しい動きである。つまり、アフリカの貧困や食料問題に、ビジネスの手法で取り組もうというものだ。たとえばゲイツ財団は投資家同様、見返りが大きいものを選んで支援している。ワクチン接種に投資したのは、マラリアがGDPに与える損失を計算し、その根絶に投資する価値があるかどうかという実践的アプローチから決定したという。施しも、投資と同じく社会的見返りが最大になるものをというのが、21世紀の賢い慈善事業家らしい。

しかしこれは大きな問題をはらむ。手を差し伸べられるべき人が、社会からの見返りが小さいゆえに見捨てられる可能性もあるし、慈善事業をする側に、市場における支配力をさらに強化するためのマーケティング的行為を行わせることにもなる。そして何より、一部の金持ちが社会の福祉を左右するということは、どう考えても不健全である。

あれほど慈善事業が盛んな米国自身、貧富の格差の大きい不安定な社会しかもたらされてはいない。それにもかかわらず米国を引き合いに出し、日本でも富裕層の相続税や所得税をなくせば「ノブレス・オブリージュ」で社会が良くなるなどという人がいるがとんでもないと私は思う。持てる者が持たざる者に恵むことを推奨することは、社会の不公平さを正当化することに他ならない。私は人間の持つ「慈悲の心」を信じている。しかしそれと「慈善事業」は別物であり、慈善事業を可能にする異常な富の累積を許すような仕組みこそ変えるべきであり、それが究極的には慈善事業を不要にする社会をもたらすものだと思っている。

資本主義によって弱肉強食の社会が作られた。そこでの勝者がその仕組みを維持したいのは当然であろう。しかし本来社会に必要なのは慈善家のお情けではなく、慈善家など要らない共存共栄の社会である。世界の問題解決を一握りの金持ちに委ねたら、彼らを金持ちにしたシステムだけはぜったい変わらないということを覚悟しなければいけない。


(引用終わり)

↑なんか、とってもとっても重要な文章のような気がするんですけど(笑)

ロックフェラーにしても、ビル・ゲイツにしても、世界的なお金持ちであり、巨額な寄付金を納める慈善家ですが、貧困問題を根底から変えていこうというタイプの慈善家ではないでしょう。

彼らは相変わらず、貧乏人を食いものにしていますし、彼らを金持ちにさせ続けるシステムを維持させることに夢中ですし、累進課税を高累進にして国が再分配することには、反対のようです。

慈善家のステイタスが、世間批判を避けるためのカモフラージュであるであることには、薄々世界の人々は気が付いていると思われますが、現状ではどうにもなりません。

人々は、オイルマネーで大儲けをしている人々、いわゆる先物買いで高騰し続ける原油価格に何ら抵抗できませんし、ウィンドウズパソコンや、マイクロソフト・オフィスを何の抵抗もなく使い続けています。

少しでも抵抗しようと思えば、ビル・トッテン氏の会社アシストのように、オープンソースで、職場環境を整える必要があるのですが、オープンオフィスを使用して、ワープロ・ソフトを「Writer」に、表計算ソフトを「Calc」、プレゼンテーション・ソフトを「Impress」にした場合、取引先のエクセルのバージョンとの互換性を考えながら、それらを快適に動かすためには、面倒な調整作業と結構な時間がかかるのがネックになるでしょう。

OSも、ウィンドウズをやめて、リナックスにするというのもありますが、たとえば携帯電話とのファイル交換が不自由になったり、使用できるソフトフェアの種類が激減したりと、何かと不便です。

そんなことより、国産OSをもっと広められるように、国が政策で決めないことには、世の中は変えられないと思われます。たとえば、公的機関はすべて国産メーカーが改良したリナックスを使用するなどの政策です。

その点は、情報漏洩の可能性の高いアメリカのOSを禁止にした中国などは、ある意味とても賢かったのでしょう。

おっと、慈善家の話題から、話がそれてしまいましたね(笑)

ハリウッド大物俳優のポール・ニューマンも慈善家として有名ですが、彼が言うように「一方では貧困を放置し、私のような高所得者から、この程度の税金しか取らない税制は間違っている」と言えるような、本物の慈善家が必要なように思えます。