日本のゆくえ

日本の経済と、日本人の精神はどこへ行くのか? 新自由主義社会に反乱を起こし、生き残るためのブログ

「相棒」と、イラク邦人人質事件

2008-05-19 03:28:08 | Weblog
土日をかけて、通信教育の課題を書き上げた昨日の4時頃、従姉妹から、「映画に行こう」という誘いがありました。

見に行ったのは、いわゆる大ヒット上映中(笑)の「相棒」ですが、ちょっと古くさいタイプの刑事ドラマの映画化といった、印象でした。

24(twenty-four)フリークの僕としては、もっとインテリジェンスをくすぐるような刺激の欲しいところでありましたが、あのストーリーの題材は4年前のイラク邦人人質事件から、インスパイアされたものなのでしょう。

当時、イラクにおける高遠菜穂子さんら3人の邦人人質事件から始まり、安田純平さんら2人の人質事件、そして香田証生さんが、小泉首相から「テロに屈することはできない。自衛隊は撤退しない」と即座に見放されて、殺害された事件を思い出します。

あの当時は、僕が運営していた掲示板でも議論が分かれたのですが、僕は、あえて中立的な立場を取りました。だって情報不足で、分からないものは、分からないですからね。

2ちゃんねるなどの巨大掲示板では、高遠菜穂子さんの名前が共産党系のサイトで見つかったというだけで、酷いバッシングやら、嫌がらせの電話が彼らの実家に殺到しました。その後、彼女が左翼グループとは関係ないことが分かったのですが、政府関係者が「ネットで調べてみろ」と被害者の身元を、わざわざイメージダウンさせるような言及をマスコミに対してしてみたり、マスコミ全体が、自己責任論で彼らを見放そうとしたりで、今振り返ると、ここ10年でもっとも日本人が残してしまった、大きな汚点であったと言えるでしょう。

幸田さんの人質事件の時は、当時自民党に所属していた亀井静香さんがが小泉首相に直談判して、「イラク政府が救出できないなら、サマワに駐留する自衛隊が捜索、救助活動をするべきだ」と提案したものの、小泉首相がいち早く「テロには屈しない」と言ってしまったこともあり、手遅れとなってしまいました。

当時は日本全体に、自己責任論で済ませてしまう空気があり、亀井さんの提言は、どちらかといえば馬鹿にされていたのですが、今日のようにイラク戦争の正当性がまったく立証できなくなってしまったことを考えると、あの頃の大方の日本人の方が、まったく異常な空気に包まれていたということが分かります。

特に2ちゃんねらーは、インターネットの検索エンジンでヒットした情報をそのまま飲み込んでしまうのですから、たちが悪かったです。インターネットの情報量が長大とは言え、掲載されていない情報の方がその何百倍もあることが、彼らには想像できなかったのでしょう。それはインターネットにキーワードを打ち込んで、容易く情報を得ようとする、内閣情報調査室の連中も同じ傾向があると、野中広務さんが言っていました。

映画「相棒」では、人質邦人を見放してしまった日本人全員が犯人の標的になりましたが、覚悟無しにイラク戦争の参戦を許し、小泉首相を持ち上げてしまった日本人全員が、まるで何事もなかったかのように、反省一つ無く、今日まで生きてきたことを、映画のテーマとして取り入れたことは評価できると思われます。

そういえば、映画に出てきた御厨元首相の髪型は、小泉純一郎のライオンヘアそのものでしたね。