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家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

エサをやるなは殺せと同じ・第5弾 ~コメント欄に見る世相~

2022年02月25日 | シリーズ:エサをやるなは殺せと同じ
野良猫の記事に関しては、信頼の厚い出版物の記事でも次の表現が常用されます。
a)1匹の♀ノラが3年後には2000匹になる(環境省パンフレットより引用)
b)不幸な野良猫をこれ以上増やさないために、野良猫に餌をあげるのは止めましょう
大手出版物(ネット含む)のみならず、全ての自治体HPや猫保護団体のブログでも同じことが叫ばれた結果、今や上記2点は社会の通説となっています。

この表現の胡散臭さと欺瞞を暴いたのがシリーズの前記事(第4弾)でした。
要約すると;
a)については簡単な計算してみればわかります。
あたなの街に10匹の♀ノラがいたとします。すると3年後には2万匹になる。半数が♀としてさらに3年後には2千万匹になる。半数が♀としてさらに3年後には2百億匹になる。つまり、10年足らずで足の踏み場もないほどにノラが増えることになるのです。もちろん実際には交配率や生存率が低いのでそんなことにはなりません。

b)の表現は、突き詰めて言えば「目の前のノラを生かしておくと繁殖して増えるので餓死させましょう」ということ。"エサをあげない"というより、「繁殖させないようこの世から抹殺する」ことがこの表現の主体なのです。それが不幸なノラを減らす、また殺処分を減らす目的だとしても、この表現は自己矛盾に満ちたおよそ反動物愛護的な発想なのだと気付くべきなのです。

さらに、不幸なノラを減らしたい、殺処分を減らしたいのなら、まずノラを増やす人間の行為を止めるのが第一義のはずだが、大抵は猫捨て、売れ残り処理、多頭飼育崩壊などの問題には触れないか、あるいは横に置いたままでノラ問題が語られる。人間のエゴと向き合うことを避けては、どんなにきれいごとを並べても解決への道は閉ざされたままなのです。


家裏のノラたちの守り神「みう」(2019.8.9没)

さて、今回はひとつの記事を紹介します。今月21日にPRESIDENT Onlineが配信した記事です。出版社の信頼性は高く、筆者の方もテーマをじっくりと掘り下げ落ち着いた記事を書く方だと思います。記事のテーマは猫の殺処分。なぜなくならないのかという視点から語られています。

その記事の冒頭の部分で、「殺処分がなくならないのは野良犬や野良猫へ無責任にエサをあげる人が依然として後を絶たないからだ」と断言した。実は「無責任に」という言葉が挿入されていることがミソなのだが(脚注)、そのことを意識する読み手は少ないだろう。さらに、例の環境省のパンフを引用して野良猫の繁殖力の凄まじさを紹介。猫の遺棄について一言だけ触れているが、それよりむしろその後の繁殖が問題だと指摘しているのです。記事の本文は、不妊手術に奔走する獣医師への密着取材となっています。

この記事はYahoo ニュースとしても取り上げられました。現在はもう表サイトには出てないが記事自体はまだ残っています。Yahooの記事にはコメント欄があり、今回はそのコメントに注目しました。尚、Yahooの記事は一定の時間が経つと削除されるのでコメント欄も同時に消失します。なのでYahoo 記事のコメント欄とともにPRESIDENT Onlineの元記事も下欄に貼っておきましたので、興味のある方はご参照下さい。

現時点(25日朝)で74件のコメントが残っています。不適切コメントが既に削除された可能性がありますが、現存のコメントをすべて読みました。同記事のテーマである不妊手術による繁殖抑制についてはあまりコメントされず、最も多かったのは猫捨てやペット産業での繁殖に対する批判だった。(42%) 続いて命の尊さを訴えるもの(15%)、法律の甘さを指摘するもの(11%)。ノラ猫への餌やりを批判したものは6件で8%、いずれも餌のやり方とか餌やりの態度に対する批判でした。

実はこの結果に我ながら驚いたのです。確かに箸にもかからないジャンクコメントも散見されたが、全体として動物愛護の精神が行き渡っている。そして、記事冒頭の『野良猫問題=餌やり問題」の誘導に流されることなく、逆に問題の元凶(猫捨て)を糾弾している人が多い。ペット産業を単に批判するのではなく動物愛護の観点から共存を模索する。一般の日本人の意識は、もうメディア関係者(記者や編集者、MCやプロデューサー)を超えているのではないかとさへ思えるのです。

動物福祉後進国と言われて久しい日本。自分が初めてこの記事を書いた5年近く前は、餌やりやボラさんたちを口汚く罵るコメントに溢れていた。人間のエゴを正当化するのではなく当のノラの視点で問題解決の道を探る。やっとこの流れができつつあるのかなと、希望を持たせてくれる記事(とコメント欄)だったのです。

お店のノラたちの守り神「テンちゃん」(2019.6.16没)

◆脚注:野良猫への餌やりは動物愛護の観点から法的に認められています。ただしその場を汚したり他人の土地を無断使用したりと、不適切な餌やりは殆どの自治体が条例で禁止しています。

◆参考記事(クリックでポップアップ)


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