長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『RBG 最強の85歳』

2019-06-10 | 映画レビュー(あ)

米最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグを追ったドキュメンタリー。1933年、NYはブルックリンに生まれ、弁護士としてマイノリティの権利発展に努めてきた彼女は女性として史上2人目の最高裁判事になる。そして現在86歳となる今もなお現役で活躍中だ。彼女の出生から現在までを追う映画の構成に新味はないが、偉大な人物を語るには正攻法が一番である。アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞、主題歌賞の2部門でノミネートされた。

寝る間も惜しんで家事に勉学と励んだ彼女と、自らのキャリアと同等に妻の人生も尊重した夫とのラブストーリーはおそらくミミ・レダー監督、フェリシティ・ジョーンズ主演『ビリーブ』が詳しいと思われるが、それにしても進歩的で実に美しい(追記~全くそんな事はなく、別のアプローチでした。スイマセン)。

並々ならぬ努力で時代を切り拓いてきた彼女が病気や年齢を押してもなお戦い続けるのはもちろん、トランプが原因だ。大統領就任後、次々と保守系の判事を任命した事で最高裁はその右傾化が顕著であり、だからこそ彼女は踏み止まらなければならない。社会にはなぜ”反対意見”が必要なのか、そして社会は如何にして多様な意見を取り入れていくべきなのか。常に弱者を見つめ、時に辛辣な言葉で権力を批判する彼女の聡明さから学ぶ事は多い。そんな彼女が”ノトーリアスRBG”の異名で若者を中心に大きな支持を得ている事が僕には実に羨ましく思えた。

 

『RBG 最強の85歳』18・米

監督 ジュリー・コーエン、ベッツィ・ウエスト


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