長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『アニー・イン・ザ・ターミナル』

2019-08-17 | 映画レビュー(あ)

マーゴット・ロビーを初めて見たのは2013年のマーティン・スコセッシ監督作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』。まばゆいブロンド、目鼻立ちのはっきりした顔立ち、そして抜群のスタイルは主演ディカプリオの添え物で終わらない存在感、貫禄があった。当時23歳!そんなルックスゆえに所謂、お色気要員的な扱いも多く、DCコミックの映画化『スーサイド・スクワッド』のハーレー・クイン役で見せたエロ可愛さは彼女をスターダムへ押し上げる決定打となった。
マリリン・モンロー以後、なおも残る“ブロンド美人は可愛くても頭が弱い”というタイプキャスティングを払拭すべく、ロビーは懸命にセルフプロデュースを行っていく。2017年、米スケート界の問題児トーニャ・ハーディングを演じた『アイ、トーニャ』を製作、主演し、ついにオスカーノミネートを勝ち取った。続く『ふたりの女王、メアリーとエリザベス』では白塗り、カツラで美貌を封印。俳優組合賞にノミネートされるなど、ここでも演技力を実証している。

というワケでいい加減セクシー路線から脱却しても良い頃合だと思うのだが、彼女ほどのケバい色気があるとジャンル映画によくハマってしまうのである。本作で長編デビューとなるヴォーン・スタイン監督は既に明確なヴィジュアルスタイルを持っているが赤、青、緑の原色がひしめき合うライティングはまるで歌舞伎町の歓楽街さながらで、程なくして胸焼けを起こす。真面目に見ていてもプロットが機能しているとは思えないB級作品だが、ロビーの大らかさは良く映えてしまうのだ。彼女のファンであればしっかり元は取れる映画だろう。

売れっ子のロビーは新作も続々待機中だ。『スーサイド・スクワッド』のハーレー・クインを主人公にしたスピンオフでは製作も兼任。エロ可愛いだけでは終わらない、時代に即したエロ格好良さを見せてくれるだろう。そして『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではあのシャロン・テートに扮する。監督タランティーノのことだ。きっと非業のブロンド美女を現在ならではの視点で“供養”し、ロビーの人気を再点火してくれるだろう。


『アニー・イン・ザ・ターミナル』18、米・英・香・アイルランド、ハンガリー
監督 ヴォーン・スタイン
出演 マーゴット・ロビー、サイモン・ペッグ、デクスター・フレッチャー、マックス・アイアンズ、マイク・マイヤーズ
 

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