goo blog サービス終了のお知らせ 

長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マイアミ・バイス』

2018-06-18 | 映画レビュー(ま)

マイケル・マンが80年代にプロデュースし、人気を博したTVシリーズのセルフリメイク。タイトルコールも人物紹介もそっちのけでロケットスタートする冒頭の気迫に圧倒される。陽光煌めくマイアミなんか今さら映す気はさらさらないのか、ハードでクールな夜間撮影から『ヒート』のようなリアル犯罪捜査路線をアップデートしようという気概が伺えるではないか。“世界で最も夜景をクールに撮る男”マイケル・マン監督によってマスターショットが連発されるカメラワークは必見だ。

 しかし、マフィアの愛人に扮したコン・リーの登場により、作品からは途端にハードなムードが消えてしまう。いつもなら目線と甘ったるい音楽の“マイケル・マン方程式”で早々にメイクラブさせる所だが、やけにメロドラマに時間を割いて低調だ(コン・リーのうなじを注視したカメラワークに後年『ブラックハット』でタン・ウェイを起用したマンのフェチズムが見える)。

 マイアミが舞台なのにキャストは英国勢ばかりなのがユニークだ。コリン・ファレル、ナオミ・ハリス、エディ・マーサンらに加え、冒頭ではジョン・ホークスも顔を出す。ジェイミー・フォックスは後に『ベイビー・ドライバー』でも明らかになるが、チンピラ臭さが拭えず“ハードアクション”が似合わない。方やここ一番で「アタイの弾丸が秒速800mでアンタの脳天をブチ抜くよ」と超絶カッコいいセリフを吐いて場をさらうエリザベス・ロドリゲスに“マイケル・マン映画至高のトップ下”ポジションを進呈したい。


『マイアミ・バイス』06・米
監督 マイケル・マン
出演 コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス、コン・リー、ナオミ・ハリス、エリザベス・ロドリゲス、エディ・マーサン、ジョン・ホークス
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『22ジャンプストリート』 | トップ | 『ブラックハット』 »

コメントを投稿

映画レビュー(ま)」カテゴリの最新記事