リッスン・トゥ・ハー

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ペーパー・ドライヴァーズ・ミュージック/キリンジ

2010-06-13 | 若者的図鑑
名盤名盤言われてうるさいぐらい、キリンジのファーストアルバム、わたしもようやく聞けました。ツタヤの力は偉大です。
結構な品揃えですね。最近よくあまり知らなかった人たちの音楽を借りてはiPodに入れていく日々です。
レンタルの方が品揃えよいようですね。知りませんでした。

このペーパーですが、いやあ、噂通り名盤ですね。わたしはキリンジ2枚目のアルバムから買っているんですが、その時点でもすでに完成されてて、隙のなさ、がまとまりすぎている印象を与えているのではないんじゃないの、いや、いいものは確実にいいと思うけどさ。という感想を持っていたのです。
そこにきて、あらためてペーパー、荒削り。まさにペーパー、免許とっても自転車に乗り続ける頑固さ、全く向上しない運転技術です。向上しないのではなくて、したくないのだ、と反抗的な態度。
その後のキリンジの片鱗はすでに見せつつ、まだ足りない部分、そこにわたしたちは入り込む余地を見つけ、無遠慮に入り込んでいるわけです。その心地よさ。他人の身体を借りて、世界を斜に構えてみる快楽がここにはあります。

緻密さを欠いたアレンジ、あくまでも、その後のキリンジに比べてですがね。
冷たさを感じるボーカルにはまだ、ぬくもりがあり、共感がわいてくる。共感です。
共感してほしい、というのがまだ残っている。突っ切ってしまうのもいいですが、このほんのわずかに媚びた感。
いやそんなことないと言われるでしょうが、そう感じました。

なんと言っても、わたしは冬のオルカが大好きです。いや、汗染みは淡いブルースもいいですねえ。とおもいきや、五月病、野良の虹や、うん、捨て曲はなし。まったくありません。流れるようにその時々の、一瞬の輝きを聞きましょう。

世界の海を侵略する日本産ワカメ

2010-06-13 | リッスン・トゥ・ハー
予想以上の速度で増殖している。もはや海は黒くゆらゆらとしたワカメだらけ。もう青かったあの頃の海の姿はない。言うなれば海は青年期を経て、成熟へと向かっている。ちょうど脂ののってきた頃の、仕事も面白くって仕方がない頃の、恋愛も落ち着いてきているが、異性からなぜかもてる時期。さあこの日本のワカメの腰を見んかい。これが世界水準のトレンドじゃい。海という海がワカメを履いて社交場に顔を出す。社交場では、ダンスを踊ったり、酒を舐めたり、ソーセージを噛んだり、異性に声をかけたり、海は忙しい。フィーリングが合えばふたりで抜け出して静かなバーで飲み直す。自己紹介なんかせずに、知らないままでいい、今が楽しければ何でもいい。投げやりなふたりは暗い夜道、月だけが知っている道筋、肩を組んで歩く。丸くともるイルミネーションの群れ、まれに見るコンビニエンスストアのチェーン店で、俺はヨーグルトを購入し、もう乳製品なんていらないと、お前は言う。食うのは俺、だから何も言わせない、唇引っ付ける。メール着信、確信、これ女房のだ。いつの間にか脱いでいたワカメを着て、海、駆けていく。人間ていいな、歌いながら駆けてく。