幻のチャーリー・チャプリン

「チャップリンさんですよね？」

「・・・」

「あれ、何にも言わないや、映画と同じで基本的にしゃべらないんだ」

「・・・」

「ちょっと。待ってくださいよ、どこに行くんですか」

「・・・」

「この方向だと、ジャスコですか？」

「・・・」

「じゃあ、パチンコか」

「・・・」

「いいですよそんな隠さなくとも、恥ずかしいことじゃないです、僕も行きますんで一緒に行きましょう」

「・・・」

「そんな邪見に扱わないで、まだ昼前なんですから、ゆっくり心を落ち着けて」

「・・・」

「パチンコはね、焦ってちゃダメです、勝てません、落ち着いて冷静になることが大切です」

「・・・」

「そして、欲を出さないことです、欲を出したとたんに負ける」

「マジか」

「しゃべった。しゃべれるんじゃないですかチャップリンさん」

「それマジか」

「なんです、パチンコのこと？そうです、これはコツですよ、覚えておいてください」

「チャップリン感激」

「うわあ、モダンとレトロとが同居してる」

「ではいきましょう」

「待ってください、そろそろ競歩はやめてください」