リッスン・トゥ・ハー

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対談:光

2010-05-18 | リッスン・トゥ・ハー
「足りないのです圧倒的な光りの量が」

「どういうことでしょう?」

「つまり我々人間を含めたあらゆる生物は、光りがないと生活できない。生きていけない。これはわかりますか?」

「なんとなくですが、真っ暗闇を好むのは少数派だということはわかります」

「いやそういう次元ではなくて、光りがないと、例えば光合成もされないわけですから、酸素も作られないということです」

「ええ!酸素が?そうするとすごく苦しいですねえ」

「苦しいなんてものではありませんよこれは、もう、一瞬ではあんです」

「はあん、とはなんでしょうか?」

「その世界に足を踏み入れたとたん、酸素がないので、苦しくなって」

「くるしくなってるじゃないですか」

「ちょっと最後まで聞きなさい、苦しくなるけれどそれはもう一瞬のことで、次の瞬間には意識不明で、酸欠状態になり、死にますわね」

「それまでどこにいたんですかいったい?」

「シェルターかなにかで、ちゃんと酸素が或る場所ですよ、そこから外に出た場合のことをわたしは今言ってるんです」

「しかしシャルターに入る前は大丈夫なんですか?死なないんですか」

「もうそれぐらい切羽詰まるとね、生まれた時からシェルターだよね、もうずっと、シャルター内で生まれてシェルター内の学校に行って、シェルター内で運動会なんかもして」

「うわあ、なんだか楽しそうだなあ、その生活あこがれるなあ」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ、外は酸素ないんだから」

「でも中はあるわけでしょ?酸素」

「あるよ、ないとなにもかもはあんだからね。しかしシェルターということは限られてくるわけで、なんとか外に出たいし」

「何人ぐらいですか?」

「は?」

「そのシェルターには何人ぐらいの人がいるんですか?一体」

「まあ、せっかくだから巨大なものを作るだろうから、300人ぐらいかな」

「それだけいれば恋もできますよね?トモダチもできますよね?いいじゃないですか」

「よいかわるいかはそれぞれの価値観次第だろうね、わたしはよいとはおもえないが」

「ぼくは良いと思います。そこでみんな仲良く暮らすんです。家族みたいなものだし」

「しかし、酸素が尽きてくるんだよ、最後の酸素を巡って争いが起きるかもしれない」

「サバイバル!」

「楽しんでるばあいじゃないよ、もっと危機感を持ってもらわないと、本当に困りますよ」

「で、光りの量が足りないと?」

「そうです」

「シェルター生活が今にはじまると?」

「その可能性が高いですなあ」

「やったね♪」

「わかってないんだからもう、ぷんぷん」


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