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委員長の配分-その2

いやはや、会期末が近いとはいえ、更新が滞ってしまい、反省です。

さて、今回は、間が少し空いてしまいましたが、「委員長の配分-その1」の続きです。

委員長の権限については、国会法と議院規則を、委員長の配分については、先例録を引用しながらそれぞれ紹介してきましたが、今回は、前回の最後に書いた、野党委員長が存在する意味について、思うところを少しだけ書いてみたいと思います。

まず、前回も紹介しましたが、衆参の常任委員長の所属政党の割合です。

衆議院の常任委員長は、17の常任委員会のうち、自民13、公明2、民主1、維新1
参議院の常任委員長は、17の常任委員会のうち、自民10、公明2、民主5


衆議院では、17ある常任委員会のうち、野党委員長は、民主1、維新1の2人に過ぎませんが、参議院では、同じく17ある常任委員会のうち、野党委員長は、民主で5人います。

参議院で維新出身の常任委員長がゼロなのは、前回のブログで紹介した、常任委員長の割り当て条件である会派所属議員15人以上、という要件を満たしていないためです。

では、次に、17ある常任委員会のうち、省庁に対置して設置されている11の常任委員会に絞って委員長の所属政党を見てみます。
              

衆議院では、すべて与党で占められていますが、参議院は、内閣・経産・国交が民主出身の委員長となっています。

そのうち、機会を見つけて議会における「過半数」、「絶対安定多数」、「3分の2」の意味を紹介したいと思っていますが、議会として、緊張感ある運営に繋がるのは、野党委員長が存在する方ではないかと考えています。

先日、衆議院厚生労働委員会で、開会や採決を巡って混乱があったことは、ご存知の方も多いと思います。

もし仮に、当該委員長が野党出身であれば、与野党筆頭理事間の協議がまとまらないため、開会はしないはずです。

もちろん、現在の衆議院の構成を見れば、与党が3分の2超の議席を持っていますから、上記の常任委員長ポストが与党で占められるのは数の力からすれば、当然です。

翻って、参議院においては、内閣・経産・国交の委員長ポストが民主に割り当てられています。

昨年の第187臨時国会において、内閣総理大臣が衆議院解散を表明した後、審議が続いていたどの常任委員会においても、次世代の党を除き、すべての野党が審議に出席しない状況となりました。

審議が続いていた常任委員会のうち、与党出身委員長の委員会は、与党と次世代の出席だけで審議を続けましたが、野党出身委員長の委員会は、与野党で合意が整わない以上、開会できない状態となりました。

国会運営全体を考えたとき、政府・与党がより慎重になるのは、省庁対置の常任委員会委員長のすべてが与党だけで占められている衆議院ではなく、野党委員長が存在する参議院であることに相違ありません。

何か問題が起こったとき、当該委員会のみの混乱で収束すれば、政府・与党から見れば問題が少ないのかもしれませんが、これが国会全体に及んだとき、野党出身委員長の委員会は開会できない状態になり、法案審議が滞ることに繋がるからです。

いずれにしても、最後は数の力なのですが、いくら数の力といっても、適度なバランスがあった方が、緊張感ある議会運営になるのではないかなぁ、と思う今日この頃です。
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