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内閣総理大臣の指名の決選投票

〇衆議院先例集67

内閣総理大臣の指名は、記名投票で指名される者を定め、その者が指名されたものする。

内閣総理大臣の指名は、記名投票で指名される者を定め、その者について指名の議決があったものとすることになっている。その手続については、衆議院規則第18条、同規則中議長の選挙に関する規定及び先例に準拠している。

内閣総理大臣の指名の記名投票においては、投票の白紙のもの、被指名者の氏名を記載していないもの、投票者の氏名を記載していないもの、国会議員以外の氏名を記載したもの、被指名者を2名以上連記したもの、決選投票の場合に決選投票を行うべき2人以外の氏名を記載したものは当然無効であるので、議長がその無効を宣告する。(以下略)


内閣総理大臣の指名についての流れは、以下のとおりですが、第50回衆議院議員総選挙の結果を受け、にわかに決選投票の可能性が高まっています。

  

この決選投票については、例えば、過去の会議録を見てみると、議長から次のように宣告がなされます。

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第129回国会衆議院会議録第32号(平成6年6月29日)4頁。

〇議長
休憩前に引き続き会議を開きます。
これより内閣総理大臣の指名の決選投票を行います。
決選投票は、村山富市さん、海部俊樹さん、この両名のうち1名を記載し、かつ、投票者の氏名を記載の上、木札の名刺を添えて持参されることを望みます。
(中略)
〇議長
投票総数504。名刺の数もこれと符合しております。
投票中、被指名者の記載してないものが29票あります。これは当然無効であります。
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衆先67にも明記されていますが、「決選投票の場合に決選投票を行うべき2人以外の氏名を記載したものは当然無効であるので、議長がその無効を宣告する。」とされており、決選投票に残った2人以外の氏名を書けば、それは当然に無効です。

敢えて無効票を投じるのは、言葉を選ばずに言えば、どっちつかずにしておいて様子見をすることにつながるといえます。こうした政局的な動きに理解を得られるか、疑問なしとはしません。

国民の信託を受けた国会議員として重要な職責の一つである内閣総理大臣の指名に際しては堂々と態度を表明した上で、目指す政策の実現に向けて邁進するのが筋ではないでしょうか。

そして、無効票になることが分かっていながら投票を行うということは、結果として、多数を得ることになる候補者に与することになります。無効票を増やすことは、すなわち指名を受けるためのハードルを下げることになるからです。

具体的な数字を出してお示しすることは控えたいと思いますが、その結果につながるということは、いくら無効票であったとしても、どちら側に立つかが明らかとなり、どんなに言い繕って綺麗事を言おうとしても、結局のところ、そういうことなのです。

仮に決選投票になった場合、与野党それぞれに立ち位置があることは承知していますが、議長が、「〇〇君、〇〇君、この両君のうち1名を記載」と明確に宣告する以上、議院に議席を預かる議員としては、どんな背景や思いがあったとしても、このいずれかを記載するのが本筋であると思います。
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