セゾン・ド・ユー

時々更新フォトダイアリー、北の四季とエトセトラ

夏サイロ

2009-08-05 21:57:59 | ぐるりのこと
ようやく夏の日差しが戻ってきた。
春に切りそろえた、木蔦も上へ上へと伸びてきた。
サイロもようやく夏の顔。


サイロは、元来牛の飼料を発酵・貯蔵するために造られた施設だが、
最近では、ロール牧草やバンガーサイロといった新機軸が主流と
なったことから、昔風のサイロは急速に姿を消しつつある。

注1:ロール牧草→文字通り、牧草をバームクーヘンのように丸めて
 ビニールで密閉し、飼料とするもの。
注2:バンガーサイロ→コンクリートで固めた地面などに、牧草を
 積み重ねて圧縮し、ビニールなどで密閉した上に廃タイヤなどで
 覆って発酵させ飼料として保存するもの。


何れも、従来はこのようなタワー型のサイロでしか作れなかった飼料
(サイレージ)を、大げさな施設を使わないでも可能とした革新的な
技術なのだが…、赤屋根の牛舎とタワー型サイロといった、某メーカー
のバターパッケージにあるような北海道的原風景は、その内見られ
なくなるかも知れない。



その昔は、牧草やデントコーン(飼料用のトウキビ)を細かく切り込み、
それサイロがいっぱいになるまで人力で踏み固めて、冬の間の飼料を
確保した。
そして、上から刻み牧草が降ってくるサイロの中に入るのは、多くは農家の
子ども達の役割だった。

注3:牧草をサイレージ化するための乳酸発酵は、空気を嫌う「嫌気性発酵」の
 ため、できるだけ空気が入らないように、踏み固める。
 そうしないと、飼料が発酵しないで腐ってしまう。

肉体的には大変な労働だったが、ご近所から手伝いの人も集まって、賑やかで
酪農家の一大イベントだったかも知れない。