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セゾン・ド・ユー

時々更新フォトダイアリー、北の四季とエトセトラ

始動・昔少年少女隊

2014-04-19 21:17:19 | 山や森や川や渓

雪解けを待ちかねるように、隊が始動した。

今回の調査は、ユー地区の基線が発する場所の背面高台。

この高台では、過去に、古代人が日々の生活を営む物証が出土している。

その調査の手始めとして、移動しやすいこの時期に現地を確かめに出動したもの。

 

ここからの眺めは、以前紹介したことがある。

今回もHDR画像処理をして、メインの眺めをトップに。

 

 

 

 

 

 

スタートは、近くの駐車帯から。

坪足だったり、スノーシューだったり、クロスカントリースキーだったりと、足回りは
それぞれ。

 

 

 

 

naomintは30年以上前のクロカンスキーを持ち出してみた。

だが、これには残念な結末が…。(後述)

 

 

 

 

 

 

来し方を振り返ると、雪原の向こうにユー地区市街。

 

 

 

 

 

 

高台を詰めると、向こう側の沢の上へ。

古代人は、この沢を遡って、ここに住み家を作ったのか?

 

 

 

 

 

 

それぞれ、快適に移動しているように見えるが、当方のクロカンスキーのバランスが
取れず、何度も尻餅をついてしまう。

こんなはずではなかったのに…、とココロで思っても身体は言うことを聞かない。

仕様がないので、潔く?スキーを脱いで坪足組に合流。

はぁ。

 

 

 

 

 

 

雪の上なので、古代人の気持ちになって、専ら「地形」「地勢」を見ることに徹する。

ここは多分、無雪期に再訪することになると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

調査移動している内に、大型の足跡発見。

この場所で、これだけ大きなのはあれしか居ない。

いえいえ、雪男ではない。

オヤジ、いわゆるヒグマのこと。

比較的新しいので、昨日あたりここを通ったのだろう。

 

 

 

 

 

 

ぐるっと巡って、高台の突先(とっつぁき)に。

ここに来ると、ユー地区市街地が遙かに見える。

アイヌコタンの人々は、ここにチャシ(砦)をつくったらしい。

いったい、何を見張り、何から守る目的で?

 

 

 

 

 

 

HDR画像ではない、ユー地区市街地遠望の図。

しばし、アイヌの人たちの気持ちになって考えてみる。

「ヒトは、高く眺めの良いところがスキ」というのが、当方の結論。

 

 

 

 

 

 

 

 

調査のついでに、隊のメンバーをいつものフクジュソウの谷に誘った。

 

 

 

 

 

花は、少し開き気味で、花びらの汚れやキズが目立つ。

やはり、ここの花に関しては、もう一週間早いのが正解。

 

 

 

 

 

 

それで、最後はやっぱりエゾリス・チビトト。

ここ数日姿が見えなかったので、てっきりお山へ帰ったのかと思っていたが…。

もうそろそろだよ、キミ!

 

 


四線湿地へ

2013-06-30 17:27:07 | 山や森や川や渓

水無月最後の日、ユー地区市街からほど近い四線湿地に足を延ばした。

ここは、昭和40年代に周囲に明渠(乾燥化用の素堀側溝)が掘られて、
ある程度乾燥化したが、笹の侵入を許すほどには水位が下がらず、奇跡
のように残った湿地だ。

それでも、いくつかの種は失われ、今また絶滅に瀕している数種の植物が
ある。

久しぶりの四線湿地は、春の花が終わり、エゾカンゾウやカラマツソウなど
初夏の花も終わろうとする微妙な時期だった。

強いてこの時期の代表選手を上げれば…、ワタスゲかな。

 

 

 

 

 

 

今年は、例年になく多いような気がするが、単にこの端境期に来ていなかった
だけということ?かも。

 

 

 

 

 

 

下弦の残月浮かぶ、四線湿地。

周囲をヤチダモなどに覆われて、中心部にぽっかりと湿性植物の楽園が広がる夢の
ような場所。

だが、こういった価値にたくさんの理解が及んでいないのが現実。

 

 

 

 

 

 

もしや、と思って来てみた、クロバナハンショウヅルがぽつりぽつりと開花していた。

絶滅危惧種に数えられるが、この湿地では極めつけの普通種。

ここからほど近い六線湿地にも多く生育しているので、当面、絶滅の心配は薄い。

肉厚でもじゃもじゃの花が下向きに咲く風情が、玄人衆に人気だ。

 

 

 

と、いうことで、もうワンカット。

エゾカンゾウをバックにした、クロバナハンショウヅル。

 

 

 

 

 

 

 

湿地の仲間、サワギキョウ(左)は、生育途上。
多様な花色を見せるショウジョウバカマは、もう花が終わっていた。

 

 

 

 

 

 

ヤマドリゼンマイかな?と思われる、シダの原を抜けて…、

 

 

 

 

 

 

ヤチダモの林に踏み入り、エゾハルゼミの時雨に濡れる。
(動画挿入)

 

 

 

 

 

 

湿地を囲む林の中では、コバイケイソウが満開。

 

 

 

 

こんなに満開の時期に、ここに来なかったのかも知れないが、足の踏み場もない
ほどの満開。

 

 

 

 

 

 

ついでに、で悪いが、ウバユリの大きなつぼみがそこここに見られたから、これが
開花の時期に来ると、また違った林の表情に会えるかも知れない。

 

 

 

 

 

 

湿地の端では、まだ、カラマツソウの白い花が風に揺れていた。

 

 

 

 

エゾカンゾウもつぼみはあるが、最盛期を過ぎて終わりに近い。

ユー地区の初夏は、夏本番へと動く。

 

 


早春賦

2013-04-20 15:59:39 | 山や森や川や渓

風は寒いが、谷には早い春が訪れていた。

いつもの小さな谷沿いの斜面を登ると、ひときわ鮮やかに咲いていた。

 

 

 

 

 

谷頭では、雪解け水がせせらぎを作り始めている。

 

 

 

 

 

 

 

小さな谷だが、その昔は一面が黄色く見えるほどのフクジュソウが咲いていたものだ…、
というのは、年寄りの話。

半分に聞いておいても、さぞ見事な眺めだったろうと思う。

 

 

 

 

 

 

南向きの斜面では、一面に、とまではいかないが、こんな小群落がまだかなりある。

エゾシカの足跡が気になるが、有毒のフクジュソウを口にすることはないようだ。

市街地から近い場所なので、この画像を見て「採りに行こう」とは思わないで欲しい。
一時は乱獲で、かなり数を減らしたのだが、最近は回復傾向にある。

 

 

 

 

 

 

 

一昨年も書いたが、この地のフクジュソウは、キタミフクジュソウという亜種になる。

一株に一輪、花びらより萼が大きい、葉の裏などに短毛が生えている…などの
特徴を持つ。

レッドデータブックでは、絶滅危惧種ということになっている。
庭で見るより、野山に咲くのが似合う早春の花だ。

 

 

 

 

 

 

 

今年は、かなり早めに来たつもりだったが、花は少し汚れていて、既に数日前から
咲いていたようだ。

来年は、もう少し時期を早めて来ることにしよう。

 

 

 

 

 

 

足場を気にしながらフクジュソウを撮っていたら、いつものやつも芽出ししていることに
気づいた。

 

 

 

 

 

 

「いつものやつ」、ギョウジャニンニクだ。
この辺りでは、この時期、単に「ネギ」といえば通じてしまう。

フクジュソウの咲く頃、こいつも芽出しを始めていることを覚えておこう。

今日は、何となく採る気にはならなかった。

「花の御利益?」といえば、そうなのかも知れない。

 


加須美の滝、右往左往

2012-07-15 12:00:39 | 山や森や川や渓

数日前に下見した函岳環境調査を終えて、この地区随一と言われる加須美(かすみ)の滝へ。
今回は、道中を後回しにして滝の勇姿から。

7~8メートルの落差だが、豊富な水量と深い滝壺があるので、実際よりも大きく見える。

 それでは、以下、滝に至る調査隊の足跡?を辿る。

 

 

 

 

 

 

 

林道から河床に降り、まず滝があるとおぼしき場所を求めて川を下る。

 

 

 

 

 

本流は相当の水量があり、足を濡らさずに下るのは難しい。

 

 

 

 

 

かなり下ったが、滝に行き当たらないので、斥候隊を出すことに。

「行ってきます」と残留部隊に手を振る。
(画像は、手を振り返す残留組)

 

 

 

 

 

 

斥候隊二人。さらに下るが、小滝にしか行き当たらず、残留組のもとへ戻ることに。

時間は、だんだん残り少なくなり「幻の滝」に終わるのか、と思い始めた頃。

 

 

 

 

 

 

一同、来た川を戻る。

誰しも、「撤退」の二文字が頭をよぎる。

 

 

 

 

 

川に降りた場所からさらに遡ると、突然、真新しい公共工事の跡に出た。
工事標識によると、どうやらここ数年で施工された施設のようだ。

撤退も検討されたが、一縷の望みをかけてさらなる上流へ。 

 

 

 

 

 

 

少し遡ると、両岸を大きな岩壁に囲まれた場所が出現し、滝に近づきつつあることを
実感する。

 

 

 

 

 

遡行十数分で、遠くに滝の姿を捉えた。
どうやら、最初は、滝があると思われる場所を誤って行動していたようだ。

幻に終わらず、本日の成果とすることができそうだ。

 

 

 

 

 

 

ごうごうと、落下する水の音が聞こえそうな画像。

 

 

 

 

 

 

 

めったに釣り人が来ないためか、滝壺に釣り糸を垂らすと、型の良いイワナが次々掛かる。

ゆっくり釣りたいところだが、すでに予定時間を過ぎているので撤収することに。
釣ったイワナは全てリリースする。

 

 

 

 

 

 

名残惜しさと、少しの満足感を胸に、滝を後にした。

 

 


函岳荒れ模様

2012-07-12 21:01:24 | 山や森や川や渓

いつもの、昔少年隊の調査下見で、ユー地区最高地点の「函岳」に下見に
出かけた。

下見と言うからには、本番があるのだが、二日後の14日がその予定。
メンバーもほとんど変わらないので、下見もいらないのではと、思うのだが…。

この日の函岳は荒れていた。

 

 

 

 

 

 

昔、少年少女のメンバーは、カッパで完全武装しながら山頂のレーダー施設への道をゆく。

横殴りの雨風は、弱まりそうにない。

 

 

 

 

 

頂上に標柱は立てども、風雨激しく視界不良。

標柱にある、1,129.03mは、ユー地区最高点。

山名の由来は、頂上が函のような岩でできているから。
アイヌ語山名の多い北の国にあって、函岳の由来は希な部類かも知れない。


ただし、付近にはアイヌ語にちなむ名前も残る。
この山から派生した沢に「ポロウツナイ」とあり、「大きな山のところにある沢」。

「シュポペルシケ」は、近くの屋根棟山(やねむねやま)の付近に記されていて、
「真の川上にある荷を負うもの」で、馬の背のような山容をよく表現している。

函岳は、せっかくのユー地区最高峰なのだから、もっとそれらしい名が付いても…、
と思うのだが。


この山、ずっと昔は、残雪期にスキーなどを使って来るしかなかったが、二十年
ほど前に隣町が立派な道路を付けて、車で来られるようになった。

便利になった反面、頂上に立つ感動は半減以下になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

せっかくなので、少し辺りの様子を画像に残す。

 

 

 

 

 

 

 頂上の岩場に生えるグラス類が、強風で吹き流し状態になっている。

 

 

 

 

 

 

岩場の隙間に葉を広げる、コケモモ。
花は、まだなかった。

 

 

 

 

ゴゼンタチバナは、やや花盛りを過ぎていた。

 

 

 

 

 

花が終わった、キバナシャクナゲとエゾイソツツジ。

 

 

 

 

足下に、か弱そうに咲くリンネソウの小群落。

スイカズラ科の、これでも小低木。
その名の由来は、言わずと知れた瑞典の大博物学者カール・リンネによる。

和名は「夫婦草」で、漏斗状の花が「やじろべえ」のように対になって咲くところから。

 

 

 

 

 

 

 

頂上には、立派な休憩所もある。
火気厳禁は、大切な山頂を守るルール。

「熊出没注意」は、ここがまだヒトのテリトリーではなく、ヒグマの縄張りにある
ことを示している。

 

 

 

 

 

 

小屋の傍らにある、エゾカンゾウの群落。

千メートルを超える山頂にあることに、若干違和感を覚える。
何とすれば、この花は、ユー地区属するイー町の海岸線にも咲く花だから。

 

 

 

 

 

 

 

函岳からの戻り道、少し弱まった風雨を横目に野草観察。

上から、エゾノシモツケソウ、キンバイソウのなかま、アザミのなかま。
はっきりしないときには、「なかま」は、便利だ。

 

 

 

 

下山途中の小滝。

 

 

 

 

橋から見下ろした渓流。

さて、下見は強風雨の中で終えたが、本番はいかがなることか。

車で行けるといっても、ユー地区市街から1時間以上も要する山中。
そう、頻繁に出かけられるものでもない。

その日の晴天を祈るのみ。

 

 


東へ西へ

2012-05-28 22:08:50 | 山や森や川や渓

五月に入って、「昔少年調査隊?」の活動が俄に活発化している。

このブログは曲がりなりにも、「ときどき更新フォトダイアリー」なので、
時系列的に活動記録を残す。

ただし、何を調査したかの記録は、長くなるので割愛。

 

 

 

 

19日の土曜日は、ユー地区の西のS峠へ。 

残雪の沢を詰める。

 

 

 

 

 

沢筋では、エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)が満開で迎えてくれるが…

 

 

 

 

 

エゾシカの足跡やら、山おやじ(羆)の足跡やらも…。
どうも、少し離れたところで、息を殺して見られているようで落ち着かない。

人数を頼みに、前進、また、前進。

 

 

 

 

旧道跡には、苔むした大木が点々と連なる。
うち捨てられた道路は、木が育つにかっこうの環境だったのだろう。

沢筋のこの道では、春先に水が付いて使えなかったと思われる。

でも、百年近く前、naomintの祖父は、この道を辿ってユー地区に
足を踏み入れたのだった。

 

 

 

 

開けたところで小休止。
隊員それぞれ、周囲で植生調査など開始の様子。

 

 

 

 

 

残雪に、サクラ咲く。

右は、見事なヤチダモの木。

 

 

 

 

この沢には、石灰岩の盤が水の流れで穿たれた石窟様の場所が連なる。

もっと大規模な岩屋があったという記録も残っているが、どうやら道路の
改修時に埋まってしまったようだ。

 

 

 

 

沢を下った土手筋に、カタクリの小群落を見つけた。

ユー地区のカタクリは、この周辺にしか自生しない。

 

 

 

 

一面の、ヤチブキと水芭蕉の原を横目に、また何本目かの沢を登る…。

 

 

 

 

 

そして、1週間後の26日、土曜日。

この日は、ユー地区の南部の川沿いへ。

タイトルは「東へ西へ」だが、気にしない。
調子と、勢いの問題だ。

少し斜面を登って振り返ると、蕗の原。

その向こうは、雪解け水を集めて早いトクシベツ川。

 

 

 

 

どうやら、何かを探しているらしい。

怪しげな面々。

 

 

 

 

 

左のにはちゃんと足がある。
エゾサンショウウオの眠りを覚ませてしまったらしい。

可憐な、スミレ草も。

 

 

 

 

でも、ここでの本命は、このウド。

形の良いのが、たくさん採れた。
これで、今夜の肴は決まった。

 

 

 

 

 

近くに立つ、見事な大木。
木肌を見ると、どうやらセンの木(ハリギリ)らしい。

センは、タラノキと同じウコギ科なので、若芽を天ぷらなどにすると
とても旨い。

でも、この高木で若芽を摘むのは、ちょっとしんどそうだ。

 

 

 

 

川は、滔々と流れる。

この流れには、春になったら遡上するサクラマス何かが、たくさん
棲んでいるのだろうな。

 

 

 

 

平地で終わったニリンソウも、ここでは満開。

調査隊の成果も少しは出たようなので、この日の撤退となる。

 

 

 

 

翌27日、日曜日。

 

ウドが、あんなになっているのなら…、と見当を付けて入った竹藪(ネマガリダケ)
には、案の定、山菜の王様がにょきり、にょきりと尖ったアタマを出していた。

ユー地区の春は、豊かだ。

と、実感する日々は、まだしばらく続く。

 

 


調査隊、西へ

2012-05-06 21:53:41 | 山や森や川や渓

連休最後の午後、雪解けを待ちかねたように隊が動いた。
今日は、これから始まる各種調査の足慣らし的な行動となる。

最初は、これまで何回かエゾエンゴサクで紹介したことのある
ユー地区の鎮守の神社。

小高い岩山に建つ、本殿の裏側に回ってみた。
明治の頃から、ユー地区の来し方を見てきたお社だ。

 

 

 

岩山の下に、クサノオウが芽吹いていた。

茎や葉を傷つけると、液が出てオレンジ色になるのでこの名が付いたという。
だから「草の王」ではなく、「草の黄」だ。

ケシ科の有毒植物。

 

 

 

 

ここの名物エゾエンゴサクと、エゾイチゲ。

エゾエンは足の踏み場もなく、イチゲは林内にひっそりと咲いていた。

エゾエンゴサクは、同じケシ科でも食草。
エゾイチゲは…、食草のニリンソウ(フクベラ)と同属同科だが、食べたこと
ありません。

 

 

 

 

 

境の楡(さかいのにれ)は、ユー地区と以前最寄りの鉄道駅があった
S頓別との中間にあることから誰言うともなく呼ばれるようになった。

ハルニレとしては、ユー地区随一の巨木と思われる。

 

 

 

 

根もとには、大人一人入られるような洞があって、大きな口を開けている。
(念のため覗いてみたが、トトロはいなかった)

樹齢が尽きかけているようにも思えるが、ここに立つと何かに圧倒される。

老樹が発する「気」「木霊(こだま)」のようなものかも知れない。

 

 

 

 

 

花の名所、ケトベツの地蔵堂へ。

ここでも、エゾエンゴサクが満開だった。
でも、ここの一番はエゾエンではない。

 

 

 

 

一面の、フクジュソウ(キタミフクジュソウ)とアズマイチゲが見頃になっていた。

誰かが、山から移植したものが増えたものか、限界集落に近いこの地区で、
毎春静かに咲いている。

 

 

 

 

 

ポールンベツの岩屋跡へ。

ここは以前、石灰石を採掘していた場所だが、古代人が使った岩屋があった。
しかし、岩屋自体が石灰石でできていたため、発破で破壊し大切な遺産が
失われてしまったという。

 

 

 

岩山へ上ると、真下に大きな池ができていた。

 

 

 

 

更に奥へと進むと、山の傾斜に沿って遺物が見つかった。

どうやら石灰工場の跡らしいが、古代遺跡の神殿のような風情でもある。

 

 

 

 

 

遺物の両脇には、幅の狭い階段が作られており、原石を人力で運び上げた
ものか。

夢の跡を見るような、不思議な場所だった。

 

 

 

 

ここでは、ナニワズとキバナノアマナのイエローコンビ。
キバナノアマナは、黄花甘菜でユリ科の鱗茎や葉っぱに甘みがある。

どちらも、この時期に山や渓を巡ると良く見つかる春の花たちだ。

 

ユー地区の西方をぐるり巡って、連休後半も終わりを告げた。

 

 


「音夢路」の森へ

2011-08-28 22:26:37 | 山や森や川や渓

ユー地区市街地からほど近い、森を散策しに来た。

「音夢路」と書いて、「オムロ」と読む。
オムロは、「オムロシュベツ」の略で、アイヌ語の「出口が塞がった川」を意味する。

この地区から出るオムロシュベツ川が本流に合流する場所が、上流からの流れで
塞がったように見える。
今更ながらに、アイヌの人たちの観察眼に感心する。

そのオムロに数年前、民有林の森が整備されて、誰でも入られるように解放された。
一山一週、4キロほどの「癒しの森」の散策コースだ。

 

 

 

コースの初めには立派な看板が建っている。
看板の下にある棒は、杖。
この地区も高齢者が多くなっているので、その配慮か。

看板の横にある木に、拍子木が架かっている。
これは熊除けと思われる。
この辺りの山は、人とヒグマが共存している場所だ。

杖も、拍子木も持たずに出発。

 

 

 

径は緩やかな登りになる。
両側の立木が涼しげな木陰をつくっているが、この日のユー地区は、盆過ぎとは
思えないほどの暑さ。

 

 

 

ユー地区市街を見渡せる、ビュースポットに着いた。

 

ユー地区市街が森に囲まれた場所であることがわかる。

 

 

 

 

道端の草花。
ゲンノショウコ、エゾアジサイ。

 

 

 

シダ類、ウドの花。

 

 

 

 

途中、生産の森と名付けられた場所がある。
いろいろな「ほだ木」が、キノコの種を植え付けられて埋められたり、置かれたり
している。
もう少し経てば、収穫の時が来ると思われるが、今は、まだその気配はない。

同行者は、ややお疲れ気味。

 

 

 

 

 

 

森を半周廻ったところから少し入ると、この森の主である樹齢350年の
ミズナラの巨樹がある。

 

 

 

この森は一度皆伐された二次林だが、この木は神木として残されたようだ。
この地区が拓ける頃から見続けていることから「開拓の木」という名が付いている。

 

 

 

 

 

   

森の下草を見ながら歩く。
あとで図鑑を引かなければ、わからないものも。
左はヤマハハコか?

 

 

 

径は、続く。

 

 

 

 

ユズリハの類と、シオンの類。

 

 

 

 

 

もう、ずいぶん歩いた。
最後の休憩所か?

開けた方向には、この辺りの最高峰の山が見渡せる。

 

 

 

 

途中、何度か姿を見せていたメスグロヒョウモンのメスが葉に留まった。

この蝶のオスは、一般的なヒョウモンチョウの姿をしているが、メスはこのとおり。
オス・メス一緒の撮影を試みたが、上手くいかなかった。

 

 

 

 

 

一周してスタート地点に戻った。
運動不足の身には、アップダウンもあり丁度良い距離だ。

ユー地区、森の中の街だが、このように自由に踏み込める場所となるとあまりない。
四季に応じて、変化を楽しみながら歩くのもいいだろう。

 

 

 

 

 

ふと、看板のところの台を見ると、バッタが一匹。
場所柄から考えると、どうも、何かご意見があるらしい。

秋も深まった頃、また体脂肪消化のために来てみようかな。

 

 


深山の奥へ

2011-06-13 21:09:27 | 山や森や川や渓

日曜日の午後、時間を拾うようにしてある山の奥へと向かった。
稀少植物の調査が目的の奥山行きだが、むろん半日での行程には限界が
ある。

それでも、道なき道を探るようにして進むと、野草たちが誰のためでもない
季節の営みを見せていた。

以下、ほとんど解説なしで奥山行きの画像を貼り付ける。

 

 

蔦ウルシ生える、道なき道を進む調査隊。

 

シダなどが密生するトレールは、渓流に沿って高度を増してゆく。

 

クルマバソウ(英名ウッドラフ)と、常緑性のエゾユズリハ(アイヌ語では、越冬する葉を
意味するリヤハム)。

 

ミズキの若木。
赤みのある細い枝と、瑞々しい若葉に目が行ってしまう。

 

シャクの葉と思われるが、葉の縁が黄色味を帯びている個体が多くあった。
(理由は不明)

 

クジャクシダの仲間。
観葉植物のアジアンタムも同種で、姿が良いので山取りしてきても、乾燥に弱く
栽培は難しい。

 

うまそうな饅頭が二つ並んでいる。
サルノコシカケの類と思われるが、詳細は不明。
キノコは、奥が深い。

 

何の変哲もないシダだが、同心円に広がる葉を見ると、ついカメラを向けたくなる。

 

ヒトリシズカが満開を迎えていた。
四枚の葉の上に、モジョモジョした白い花を付ける様子がいい。

 

この山行きも、この日の最奥に達したらしい。
一人では、なかなか来られない深山・奥山だ。
こうした自然は、密やかに生育する野草にとって楽園なのかも知れない。

 

左、チシマフウロにしては花色が薄いのでトカチフウロか?

オオアマドコロは、根や茎に甘みがあることから名付けられたと言うが、
花の時期なら味見をしなくとも姿でわかる。

 

 

葉陰から向かいの山を望むと、山頂付近には残雪が見える。
引き返す時刻が来たようだ。

下山の途中から雨が降ってきた。

 

 

一週間ほど前から、ユー地区を含む周辺で黄色い粉が舞う現象が見られた。
家の屋根にも車にも、更にはアスファルト道路までもがうっすらと黄色くなった。
このシダの葉の上にも、痕跡を残している。

新聞によると、マツ花粉らしいとのことだが、当初は季節はずれの黄砂を疑った。
しかし、水たまりやオホーツク沿岸の海水に浮く様子から、黄砂説は早々とボツ。

この日の山行きでも、この花粉が舞って気管支に入り込むらしく喉がいがらっぽく
なるのに閉口した。
さぞ大量の花粉を吸い込んだものと思われるが、スギやシラカバ花粉のように
アレルギー性の強いものではないらしく、うがいとあめ玉で、その症状も薄れた
のは幸いだった。

 

 

雨で洗われた、オヒョウの葉が美しい出発地の河畔に戻り、この日の調査行は終了。

今回は半日の行動だったが、全日行動なら範囲も奥へと広がり、体力も消耗するので、
このくらいがロートル含む調査隊には丁度良いのかも知れない。

けっこうハードだったのに、帰りの車中で次の行動計画を練るのが、この隊の習慣に
なっている。

 


春の森を抜けて

2011-05-22 21:59:08 | 山や森や川や渓

週末になると、お天道様がお隠れになる。

天気が良くないと屋根の下にいても仕様がないので、南の森へ出かけた。

 

以前から続けている、学術?作業のためと言えば聞こえが良いが、外の

空気を吸いたくなったのだ。

 

 

さすがに、桜前線も北の地に到着したようだ。

エゾヤマザクラやキタコブシがあち、こちと花を付けている。

 

 

 

 

学術活動の様子は割愛するが、こんなのが顔を出してきて、しばしば作業は

中断となる。

 

 

 

 

時折、小雨がぱらつく空模様だが、芽吹きを始めた森の木々はしっとりと

煙るように立つ。

雪解けに増水した川も、そろそろ水が澄んできたようだ。

 

 

 

 

一日の作業を終えて、帰りがけに花の名所に立ち寄る。

一面のコキンバイの群落。

 

 

 寒い春の始まりだったが、野草たちは、確実に次のステージへと歩みを

進めたようだ。

 

 


川下へ川上へ

2010-11-03 14:12:57 | 山や森や川や渓
いつもの別働隊が雪を前に動いた。
この日は、いくつかのテーマを少しずつに分けて短くなった
一日を使うことにした。

最初は、Pa川。
アイヌ民族が「川下にある川」と呼んだ、往事砂金採取で
賑わった川だ。

河床と川岸に青粘土が露出している場所があり、土器制作の
ための原料採取が目的。







採取場所は落差の小さな滝になっていて、その付近も脆い粘土質
のため毎年のように流れを変えているという。
エゾシカの通路となっているらしく、たくさんの足跡と獣道が
河畔に行き交っている。








粘土を採取し、河床を調査。
隊のメンバーは水辺が好きである。








「ゆすり板」を持ち出して川床をさらう隊員も。
「ゆすり板」は、砂金採取の道具である。

「日が短いぞー」と声を掛けて次の目的地へ。










道なき道を悪路に強めの車両で移動。
暖かで天気の良い日は、軽トラの荷台が快適。

その昔、川下の澱粉工場まで水を引いていた用水路を見つけた。
人力でこれだけの距離を掘り進むのは容易ではなかっただろう。

本当は、近くの旧金山の建物跡を探しに来たのだが、笹藪に
覆われていて、すぐに探せる状態ではないことが解った。
これは、また出直しとする。











今度は、途中昼食を取りPe川の支流の沢へ転進する。
Pe川は、「川上にある川」の意となる。

黄葉が進み、沢は彩られていた。
そんな中を、荒れた道なりに奥へ。









まず目に付いたのが、柳の倒木に大量に発生しているユキノシタ。
この季節を代表するキノコで、エノキタケが正式名称。

通称のとおり、雪が降るこの頃に大量に発生し、クセがなく似た
毒キノコも少ないため人気が高い。
栽培のひょろひょろしたエノキタケとは比較にならないほど美味い。

で、撮影会の後は、採集会となる。








更に進んで次に目に付いたのが、ボリボリの房なり。
こちらの正式名称は、ナラタケ。
どうも、今日は当たりが良いようだ。

当然、こちらも撮影後に採集会となる。
名前どおり、ボリボリとした感触で採集。








実はこの沢には「石炭」の露頭があり、かなり以前には沢の
住人が小さな商売をしていたこともあったという隊員情報が
入ったので、その確認に来たのだ。

上のボリボリに目が行ってしまったが、そのすぐ近くには
夏の大水でえぐられた山道に石炭層が現れていた。



触るとぼろぼろと崩れて、質は上等とは言えないが、確かに
石炭(~亜炭)である。
十分に乾燥すると、火が点きそうな感触がする。
この沢の住人が当時燃料として使い、一部を売っていたことも
頷ける。

隊としては新しい発見(確認)だ。








この日の目的をほぼ達したので、日が傾く前に戻ることに
する。

山道の傍らにはイケマ(有毒!)が種を飛ばしていた。
アイヌ語で「大きい根」という意味だそうだが、残念ながら
根を掘って確かめたことはない。
これも宿題としておこう。









この日は何も事件が起きないな、と思っていたら、
隊に欠かせない戦力の軽トラが、落ち葉に隠れた道端の石を
踏みパンクしてしまった。

スペアータイヤと交換するのに少し手間取ったが、
大事に至らず帰還することができた。

多分、今シーズンの隊のフィールドはここが最後。
宿題をたくさん残したので、来シーズンもあちこちと出没
することになりそうだ。







カワシンジュガイ

2010-07-06 20:35:57 | 山や森や川や渓
かって、カワシンジュガイ(川真珠貝)は、ユー地区にも
普通に見られた二枚貝だった。

昔は、その貝の色から「カラスガイ」と呼んでいたが、
前記が正しい名称。

清流に棲み、幼生はイワナやヤマメなど魚類のエラやヒレに
付着し、これらとともに移動するという。
成長が遅く、寿命は100年以上と記述している本もある。

最近はめっきり減ってしまい、本流ではほとんど見られなく
なってしまった。

幻のカワシンジュガイを求めて、上流へと向かった。







この支流の上流に人家は無く、河川環境が良好に保たれて
いることが、何よりの生息条件となる。

そして、カワシンジュガイの生息習性から、ヤマメやイワナ
などの渓流魚がいなくてはならない。






カワシンジュガイは、タチガイとも呼ばれている。
川底に身を縦に埋めて、口を出している様子から付けられた
別称だ。(中央下)






ちょっと探しただけで、これだけの貝が見つかった。
かなり生息密度は高そうだ。



アイヌの人たちは、この貝を研いでナイフ代わりに使ったという。
以前食べたことがあるが、身がしなくて食用には不向きと見た。
この貝がこれからも生き残っていくためには、幸いというべき
だろう。

貝を流れに戻してこの場所を去った。



ポロヌプリ山へ

2010-05-16 21:35:26 | 山や森や川や渓
先週に続いて「隊」が動いた。
道路が開かないため延期となっていたポロヌプリ山を
目指すことに。

パンケナイ川沿いに車で十数キロ入り、そこから更に
徒歩で取り付きまで遡行する。

川水は底の砂利が見えるほどキレイだ。
地区の水瓶としてこの水を見ると安心する。





取り付きの沢から胸突き八丁。
尾根まで上がると、この木に至る。
ダケカンバの幹からアカエゾマツが伸びている不思議な姿。

同行隊員は、この木を指さしてもしばらく解らない。
ダケカンバの下にマツの幹が続いていないことに気付いて
「あっ」となる。






行き先の頂が木の間隠れに見えてきた。





更に、ポロヌプリ山の全貌が目の前に。
ポロヌプリは、アイヌ語で「大きい山、親なる山」を指し
この山から流れ出る川の多くから砂金を産する。
百年以上前には、川の上流に砂金取りが入り込み、
一攫千金を夢見た。







町界の尾根まで上がると、地区南の山々が見えてくる。





東側に目をやると、オホーツクの海。





直下の急斜面を上り詰めると、今度はハイマツの海。
もう少し早ければ、雪の上を歩けるのだが…。





山頂の一部には裸地が広がる。
高山植物盗掘の跡だ。
こうなったら、浸食が進むのみで二度と回復はない。




山頂からの眺め。(北方向)





崖下には、ペーチャン川の源流部がうねって見える。






そして、遙か向こうに日本海を隔てた利尻の山が。






山頂近くに誰が置いたのか、「ポロヌプリ山841m」の板きれを
見つけた。




昼食を取り、強風の山頂を後にする。







山頂を振り返りつつ下る。
登りのペースとはまるで違う早さ。






樹林帯まで下ると、さすがに上着を着けているのが熱く
なってくる。






沢水が見えているところでは、エゾリュウキンカが
花をつけている。
クマゲラの穿った穴のある木の遙か下に流れが見えて
来た。







朝からの行動時間、約8時間。
雪解け水で水量を増したパンケナイ川沿いを、駐車場に向かう
足取りには、やや疲れが見えていた。




〔翌朝〕

翌朝、ユー地区から見るポロヌプリ。
ハイマツを漕いだ山頂辺りの雪解けが進んでいるのが
わかる。






峠へ沢へ谷地へ

2010-05-09 21:25:38 | 山や森や川や渓
雪解けを待ちかねたように、「隊」が動き出した。
今回は、地区でただ一カ所と言われるカタクリの自生地の確認を
メインに、フクジュソウ自生地やユー地区市街地にほど近い谷地
(やち)を訪れる。
まずは、さる峠に近いカタクリ自生地へ。



峠の旧道を辿り、雪解けで増水した川を渡渉しつつ目的地に近づく。
案内人も十数年ぶりの再訪となるので、少し心許ない。





しかし、まだ雪が残る峠近くの斜面にカタクリはあった。
少し早いようで開花は数輪だが、蕾を付けた多くの株を確認できた。
カタクリよりも、一緒に生えているギョウジャニンニクに目を奪われる
同行者もいたが、それはそれでよしとする。




峠はまだ雪が多く、ミズバショウもこれからといった風情。
半日で、数カ所を巡るスケジュールのため、先を急ぐ。






途中、廃校となった学校でエゾイチゲ、オクエゾサイシン
(エゾヒメギフチョウの食草)、エゾエンゴサクなどを見る。







フクジュソウ自生地を回ったが花期は終わりに近く、葉が繁茂
している。
一方、ニリンソウは咲き始め。








市街地に近い谷地へ。
花には少し早いが、「隊員」の案内を兼ねて早足で巡る。
水面に映る木々に、芽出しを見ないものも多い。





この谷地は、植生が豊かだ。
クロユリ、エゾキンポウゲと薄紅に染まった蕾を持つニリンソウ、
仏様をホウで囲ったようなザゼンソウも比較的多い。





アズマイチゲは小さな群落を作っていて、数輪が開花している。




ミズバショウもエゾリュウキンカも、花の盛りはまだ早い。
しかし、季節や自然の営みに、早いや遅いがあるはずもなく、
その日、その場所に足を運ぶことだけが彼らを知ることの一歩。







帰りがけ、トリカブトの葉の上に先の訪問者の落とし物を見た。

そういえば、途中エゾシカ達の足跡を踏みながらここまで来た
のだった。
俗に獣道(けものみち)というが、人も歩きやすい場所を選ぶと、
無意識に彼らと同じ道を辿るようだ。





川閉じる

2010-01-19 21:40:53 | 山や森や川や渓
地区の中を流れる川が雪と寒さで閉じ始めた。
その昔、冷蔵設備のない時代は、この川から氷を切り出し、
おが屑の中に保存して夏場の用に充てたという。




光の彼方を眺めると、僅かに流れが顔を出している。






水面も、雪の川床も光って見える。
もうすぐすると完全に川は塞がれ、春分の頃の川開きを
待つばかり。




本流の傍らでは、川原の石に鞠のように雪が積もり、
面白い造形を作っている。