水無月最後の日、ユー地区市街からほど近い四線湿地に足を延ばした。
ここは、昭和40年代に周囲に明渠(乾燥化用の素堀側溝)が掘られて、
ある程度乾燥化したが、笹の侵入を許すほどには水位が下がらず、奇跡
のように残った湿地だ。
それでも、いくつかの種は失われ、今また絶滅に瀕している数種の植物が
ある。
久しぶりの四線湿地は、春の花が終わり、エゾカンゾウやカラマツソウなど
初夏の花も終わろうとする微妙な時期だった。
強いてこの時期の代表選手を上げれば…、ワタスゲかな。
今年は、例年になく多いような気がするが、単にこの端境期に来ていなかった
だけということ?かも。
下弦の残月浮かぶ、四線湿地。
周囲をヤチダモなどに覆われて、中心部にぽっかりと湿性植物の楽園が広がる夢の
ような場所。
だが、こういった価値にたくさんの理解が及んでいないのが現実。
もしや、と思って来てみた、クロバナハンショウヅルがぽつりぽつりと開花していた。
絶滅危惧種に数えられるが、この湿地では極めつけの普通種。
ここからほど近い六線湿地にも多く生育しているので、当面、絶滅の心配は薄い。
肉厚でもじゃもじゃの花が下向きに咲く風情が、玄人衆に人気だ。
と、いうことで、もうワンカット。
エゾカンゾウをバックにした、クロバナハンショウヅル。
湿地の仲間、サワギキョウ(左)は、生育途上。
多様な花色を見せるショウジョウバカマは、もう花が終わっていた。
ヤマドリゼンマイかな?と思われる、シダの原を抜けて…、
ヤチダモの林に踏み入り、エゾハルゼミの時雨に濡れる。
(動画挿入)
湿地を囲む林の中では、コバイケイソウが満開。
こんなに満開の時期に、ここに来なかったのかも知れないが、足の踏み場もない
ほどの満開。
ついでに、で悪いが、ウバユリの大きなつぼみがそこここに見られたから、これが
開花の時期に来ると、また違った林の表情に会えるかも知れない。
湿地の端では、まだ、カラマツソウの白い花が風に揺れていた。
エゾカンゾウもつぼみはあるが、最盛期を過ぎて終わりに近い。
ユー地区の初夏は、夏本番へと動く。